テレビに出ると、当初の予定とは違う設定になってしまうことがある。しかし、それは大したことのない変更であり、決して“やらせ”には当てはまらない。仕方のない変更はテレビにはありがちであり、だからこそ番組は上手く仕上がるのだ。今回は自分自身が体験したそんなお話です。
『パンチDEデート』の時は学生だった。番組にはふた組の男女が出るのだが、もうひとりの男がたまたま同じ大学の奴だった。これはマズいと思ったのか、制作サイドは急遽、老け顔だったもうひとりの方を社会人という設定にした。
また、その頃の私は当時としては珍しい保育園での男性保育士保父のバイトをしていたこともあって、ロリコン大学生というキャラクターになってしまった。まさに変更に次ぐ変更。そもそもロリコンは大人の女性とデートなんかしないのに…。
しかし、ラストでのハート型の電光掲示板のスイッチを押す押さないは演出ではなかった。ディレクターからは「押すか押さないかは君たちの判断に負かす。強制はしないよ。でも、女の子が点いて、男が点かないというのはねぇ~…」と、暗に“男はなるべく押した方がいい”みたいなニュアンスなことは言われた。演出ではないが半強制みたいなものだ。
昨日のブログで『アンビリバボー』に織田無道住職と出た時の話をしたが、実は…私は替え玉ライターだった。
番組で取り上げる恐怖体験をしたのは私ではなく、実際は別のライターだった。私はその時の話を住職から聞いて原稿を書いただけである。本来なら当人が出演して、怖い体験談を語るはずだったのだが、そのライターの都合がつかなかったのだ。そこで、当時住職とよく仕事をしていた私が呼ばれ、原稿を書いたのは私だったというのは事実なので、そのライターの代わりを務めたのである。
もっともこのことは私と住職しか知らない真実であり、局側のスタッフには全く知らされていないので“やらせ”とは言えない。
『鳴呼!バラ色の珍生』に出た時は相方がいて、最初はその人が主役で私が脇役だった。しかし、1ヶ月のロケが終わり、いざ放映日の新聞欄を見たら、私が主人公的な見出しになっていた。いざ番組を見ると、内容も私を中心に編集されていた。
後でディレクターに聞いたところ、私の方が主婦受けする顔だからと言われた。まぁ、内容は嘘ではなかったし、相方が目的を達成したシーンも感動的に仕上がっていたからいいけれど。主役の変更には戸惑ったものの、これも演出あっての成果の増し増しにつながったと思う。
積極的に自分を偽ってテレビに映ったことがある。当時話題になっていたお見合いパーティーに潜入取材をしたことが縁で主催者と親しくなった。その主催者から、「今度『ジャスト』というお昼のワイドショーのロケがあり、お見合い希望の一人の女性を追っかけるんですが、テレビに映っても差し支えのない男性陣を探しているので、その他大勢の一人として出てくれませんか?」というオファーがきた。もちろん喜んで受けた。
エキストラ気分だったので真剣に見合いをする気などなかったが、その女性に関わればその他大勢の参加者にはならず、テレビに映る時間も長いと思い積極的に話をしたりした。そして最後の告白時も本意ではなかったが、見た目はダサいが誠実そうな男性と争った。結果的に負けて恥をかいたが、積極的な行動による自滅に悔いはない。
出たことはないが、『月曜から夜ふかし』は大好きな番組だ。ロケ現場を見たことはあるが一度も取材を受けたことがない。あの番組に出た一般人はナレーションで滅茶苦茶にディスられるが、そうすることによって面白い内容に仕上がっている。
株主優待で有名な桐谷広人元プロ棋士の講演を聴きに行った時、本当にやりたくないことをやらされてイヤになったことが何度もあると言っていた。でも、そういう演出があったからこそ番組は面白くなっているのだ。悪質な“やらせ”でなければ、仕方ない変更は必要不可欠だ。
[編集後記]
『朝ズバ!』の街頭インタビューを受けたことがあるが、さすがに演出はなしだった。報道番組がそれをやっちゃあオシマイでしょ。