CT検査の結果は、
「悪性か良性か確定診断できません」
「念のため、内視鏡による検査をしましょう」
医師は続けました。
「術前検査で1日、術後の経過観察で2日。計3泊4日の入院です」
「お仕事もあるでしょうから直ぐでなくてもよいです。日程どうしましょうか?」
CT検査で「問題ありません。良性です」の診断結果しか考えていなかった私。
”念のため”のつもりだったのに、気づけばトントン拍子で入院することに。
健康だけが取り柄だと思っていた私が、まさか入院?
しかも物心ついてから初めての入院です。
その晩、妻に伝えました。
「CT検査では確定診断できないと言われたので内視鏡検査で入院することになった」と説明。
妻は穏やかに微笑みながら言いました。
「ゆっくり休んで。安心するための検査だから」
「もし万一の時にはその先どうするか考えよう」
「今ちゃんと向き合うことが、将来の安心につながるからね」と。
普段と何も変わらない日が何日も過ぎ、そして「今、自分の身体にちゃんと向き合う」と言い聞かせた入院の日を迎えました。
受付をすませ、寝巻やタオル等のレンタル用品の手配をし、薬剤師による現在服薬中の薬の確認を受け、迎えに来てくれた看護師の案内で病室に向かいました。
看護師と軽口をたたきながら歩く病院の廊下。すれ違う人は点滴スタンドを引きながら歩く人、ストレッチャーで運ばれている人、患者を見守る家族の心配顔の人。。。
明らかに診察棟とは異なる重く濁った空気の入院棟。
案内された部屋は12階の4人部屋。
白いカーテンに区切られた奥の窓側の空間がしばらくの間の私の住まい。
腕にアームバンドを巻かれ、検査の内容や施設の案内等を受ける。いよいよ3泊4日の病室生活が始まります。
初日の検査は胸部レントゲン・心電図・血液検査の3つの検査だけ。午前中に終了。
昼食はネギ味噌で味付けられた白身魚とサラダにご飯とみそ汁。しっかり味がついているし温かいので以外と美味くビックリ。
午後は、持参した本を読んだり、診察棟と入院棟を行ったり来たりのブラブラ散歩。
それでもなかなか時間は進まないものですね。
ゆったりとした時間をまったりと過ごしました。
同部屋の患者さんは私より年配の方のようです。
聞くとはなしに聞こえてくるカーテン超しの会話がどこか心に残るものでした。
「妻が認知症でね...。子どもが施設探しているんだけどなかなか空きがなくて」
「そのうえ俺も介護必要なのにどうしたらよいんだろう」
「ケアマネさんと介護ベッドのレンタルの相談をしているんだ」
認知症・施設・介護・ケアマネ・レンタルベッド。。。
これまでまだまだ先のことと感じていた言葉が急に近くに感じられました。
そうか、まだまだ先ではなく、まだ先が決して遠くない将来のことかもしれないと。
入院初日。
時間はたっぷりありました。
これからの人生、生き方、将来のこと。もちろん家族のことも。そんなことを思い巡らしていました。
眠りたのに眠れない。
頭の中は同じ想いがぐるぐるまわっている。そして聞こえてくるナースコール、少し苦し気な寝息、点滴交換をする音、ナースステーションで作業する音。。。
明日午後は内視鏡検査の日。
朝から一切の食事が制限され、点滴につながれた2日間が始まります。
眠っている間に胃の組織を採るんだとか。
ちょっと不安。でも自分の身体にちゃんと向き合う日がいよいよ始まりました。

