東京は(東京なりの)大雪、たいへんでしたね。
今日もまだまだ路面凍結などありますのでみなさん気をつけて。
ある方に頂戴したコメントに思うところがあり書いてみます。
タイトルはなんだか物々しいですが(笑)過激な内容ではないのでどうぞご安心を。
その方の想いを要約すると、
同僚や上司にいわゆる「日本酒通」がいらっしゃって、奨めて戴く「辛口の酒」がどうも苦手なんだそう。十数年日本酒を飲んできた熟練の飲み手は何故フルーティな酒を毛嫌いするのか不思議なんだそう。
なるほどなぁ、と。
ただ、僕の文章を読んで少し自信を持てたそうで、有り難いことです。
で、僕が気になったところはその先の一文でして。
「つい先日も新年会で少し嫌な想いをしました。」
うーん、あるよね。問題はそこだったりするんです。
まず考えてみたいのは、「日本酒通」ってなんでしょうね。
長い期間日本酒を飲んできた方?→ならば近所のお爺ちゃんみんな日本酒通
有名日本酒居酒屋さんを数多く訪ねた方?→それは暇人か金持ちという見方もある
旅行に出るたび蔵をいっぱい見学している方?→それは単なる蔵マニアかもしれん
勉強して造りのことをよく知っている方?→そしたら造り手みんな日本酒通
*余談:なんかさ、辛口好きっていうと「日本酒通だね~~~」って言われる風潮ない?(笑)
まぁ、日本酒通ってものに明確な定義なんかあるわけもなくて、
勝手なイメージとしては「なんか日本酒にうるさいオヤジ」みたいな感じはしますねぇ。
なんだか嫌なイメージだねぇ(苦笑)
でもその証拠に「あなた日本酒通ですね」って言われるとほとんどの人が「いえいえ違いますよ!」って否定するところを見るとこの概念はあながち間違いでもないような気がします。
で、話は変わり先ほどのコメントの疑問、「日本酒通≒十数年日本酒を飲んできた熟練の飲み手は何故フルーティな酒を毛嫌いするのか」。これについてはひとつの僕なりの仮説があります。
十数年飲んできた飲み手とは、たぶん若くて40代後半、上は60~70代以上の方を指すのだと思います。話は戦後まで遡りますが、米不足に端を発したいわゆる三増酒(現在は法律が改正され三増酒は存在せず二増酒まで、興味があったら調べてみてください)が幅を利かせる時代が長く続きました。
手間を掛けた旨い三増酒もありましたが、多くは大手に代表されるような量産主義、醸造用アルコールで三倍に薄めた薄っぺらい酒を糖類や酸味料、化学調味料などで味を調整するものですから不自然に甘くてくどい酒が世の中に溢れてしまったわけです。
そんな甘くてベタベタした酒ばっかりの中にキリッとした辛口が現れたら日本酒愛好家は飛びつきます。今から見ればただ薄っぺらい(味のない)辛口もあったでしょうけれど、それでもベタベタよりはマシ。製法に関してもいろいろぶち込んだ酒に比べれば確かに本物という見方もできる。
その結果、剣菱が持ちあげられ、越の寒梅がブームになり、八海山・久保田がいまだにエライ高値でスーパーの酒売り場に並ぶ現状があるわけです。いわゆるフルーティな吟醸酒がそれなりの市民権を得たのはせいぜい昭和60年頃からなんですよね。
そんな「辛口(≒淡麗辛口)が本物の酒だ」という時代に20~40代を生きてきたら辛口好きになっちゃうよね。だって美味しい甘口に滅多に巡り逢えない時代を生きてきちゃったんだもん。飲み屋さん入ってもベタベタの甘口しか出てこないなら、あまり美味しいものではないとわかっていても「辛口くれ」って言う習慣がついてしまった、というのもわかる気がするのです。「ベタベタの甘い変な日本酒を回避するための止むを得ぬ措置」としての「辛口くれ」がいつしか「酒は辛口に限る」に変化した可能性も否定はできないかなぁ、って。
*余談:だから口を開けば「辛口、辛口」っていうおじさま方を「わかってないなぁ」と蔑むのはちょっと一方的かな、と考えています。試しに「甘口でもキレのいい酒」を飲んでもらうと「甘口でも美味いんだなぁ」という柔軟な方もたくさんいらっしゃいます。(そうでない方の方が多いような気もするけどw)
人はみんな慣れ親しんだ味を好み、求め、他人に奨めます。
その気持ちに悪意なんてあるわけはなく、気持ちの根底には「これが美味いからおまえも飲んでみろよ」という善意に基づいているはずです。その結果、日本酒通のおじさま方は「これが美味いからおまえに飲ませたい」という好意的な信念の下に辛口酒を奨めてくれているわけです。
なので、日本酒通の方に辛口を奨められ飲んでみて好みに合わなかったら「ごめんなさい。いいとは思うんだけど僕の好みに合わなくて・・・」と、好意に感謝を示しつつ、しっかり好みを伝えることが大切と思うのです。そして奨めた方も「そうかそうか、君の好みはフルーティなタイプだったか。じゃぁ次は他のお酒を頼もう。」と、いろいろなお酒を楽しめばいいのです。
そうすればお互い、嫌な想いをせずに楽しい酒席になる、
・・・はずなんですがw
ならないことが多々ある、らしいのです。
これは僕自身が何度も目撃している風景なのですが、先ほどのような反応を示した時に日本酒通の方から出てくる言葉。
「これがわからんようじゃまだまだだなぁ」
「ダメダメダメ、甘い酒なんか酒じゃないよ」
・・・・・やめなさいって、恥ずかしいから。
だから日本酒通のおじさまは偉そうだって言われちゃうんだって。
自分の好み以外は認めないってのは傲慢以外の何物でもなく。
せっかく若い衆(笑)が日本酒に興味を示しているのにその芽を摘んじゃうような真似だけは本当に止めて欲しいのですよね。
*余談:そういうおじさまって今まで偉そうに演説していても「僕はきき酒師で、地酒専門の酒屋を経営していて、全国の蔵元と親交があって、蔵に通って酒造りも学んだ人間なんですが、」と前置きして話し出すといきなり黙っちゃうんだよね。←意地悪?w
日本酒通のみなさんにお願いです。
自分の好み以外のお酒にも人権(酒権?笑)を。
相手を尊重し自分の好みを無理に押し付けないで。
どんなに高名なソムリエさんや、どんなに有名な酒屋のご主人に「これは絶対に美味い!」と言われたとしても、最後まで自分の舌を信じてあげてください。あなたの好みはあなたが世界で一番ご存知なんです。十人いれば十人の好みが違ってて当たり前、だからこそたくさんの蔵元がたくさんの種類のお酒を造る意味・意義があるのです。
日本酒の楽しみ方は、自身の主張と相手への想いやり。
結局は人生と一緒なんだよなぁ、なんて思うTAKEでした。
みんなで「素敵な日本酒通」目指そっ♪