今日の京都の気温は35℃ 猛暑日です。
梅雨の晴れ間ではあるがそれにしても暑い!
それにも増して、今の京都は江戸時代の絵師伊藤若冲翁生誕三百年で熱く盛り上がっています。
岡崎にある細見美術館でも伊藤若冲展を開催中。これは観に行かねばなりません!
東京都美術館での「生誕三百年若冲展」は最長320分待ちだったと聞いてます。
多少の入館待ちは覚悟の上…の筈でした。
案に相違して全く行列なし…
サッと入場、肩透かし…
スイスイ鑑賞、拍子抜け…
若冲特有の動植綵絵の展示がないのが原因なのでしょうか?水墨画中心の展示も悪くはないと思うのですが…
相国寺の承天閣美術館でも若冲展を開催中とのこと。時間が余ったことでもあり、いっそのことハシゴするかとも思いましたが、以前から訪れてみたかった若冲所縁の五百羅漢で有名な石峰寺に行くことにします。伏見稲荷大社の南にある黄檗宗の小さなお寺ですが、駐車場が判りづらく細い道を右往左往しながら、結局コインパーキングに駐車します。
伊藤若冲は天明の大火で自宅を焼失したのをキッカケにここ石峰寺に庵を結びました。
テクテク(汗)
百丈山石峰寺 ひゃくじょうざんせきほうじ
朱色の門が目を引きます。
↑これが若冲のお墓…(合掌)
墓石には斗米菴若冲居士と刻まれています。
斗米庵とは晩年の若冲が画一枚を米一斗で売る暮らしであったことから付けられた号であるらしい。(相国寺にも若冲の墓があるそうです)
昭和60年に再建された本堂
本堂裏手の山にはお釈迦さまの生涯を表した五百羅漢の石像群があります。若冲はその下絵を描いたといいます。
羅漢参道唐門
五百羅漢を観るためには300円(安い!)の拝観料を払い、さらにこの石段を上がります。
テクテク(汗)
鮮やかな緑が目に優しい…
時代を経て風化していますが、
かえって趣きを感じさせます。
撮影禁止なのですがこっそりシャッターを押しました。
ゴメンなさい m(_ _)m
伊藤若冲は京都・錦市場の青物問屋の長男として生まれました。23歳の時に継いだ家督を40歳で弟に譲り、隠居後は好きな絵画に勤しんだといいますから随分と遅咲きです。緻密な写実と豊かな想像性で独自の世界を築き、円山応挙などと並び称される絵師となり、85歳で亡くなるまで創作活動を続けたそうです。当時としてはずいぶん長寿ですね。
なんと色鮮やかで精緻な筆でしょう!
好きなことをして長生きする…
家業に興味なく、酒も嗜まず、嫁も娶らず、ただひたすら好きな絵に没頭し85歳で天寿を全うする…理想的ですやん。
ならば私も若冲を見習って、好きな銭湯三昧と参りましょう!
帰り道に宝湯さんがある筈です。
府道35号を山科に向かい、伊達町の交差点を右へ曲がると看板があります。さらに細い路地を左に入ると突き当りに聳え立つ洋館風の立派な建物。
寳温泉…建物上部には旧字標記の看板。
この雰囲気、中書島の新地湯を思い浮かべます。
ひと足踏み入れると純和風。脱衣所との取り合いの引き戸には、マジックインクで男・女と書いてあります。
おっと!下足箱の番号も手書きです!
解ればいいのです!下足箱の番号に若冲のような精緻な鮮やかさなど必要ありません。
番台には笑顔の優しいおばあちゃん。
先客は一人いらっしゃいますが浴場に入ってはりますので、撮影するなら今がチャンスです。
「写真撮ってもよろしいですか?」
「今のうちにぎょうさん撮って下さい」
今度は撮影許可を頂いて堂々とシャッターを押します。
レトロ感を満喫できる脱衣箱と籐籠。
「雰囲気がありますねえ」
「天井と柱も撮っといてね」
言われて見上げると…目を見張りました。
装飾を施した真っ白な円柱!
見事です。
ルネサンス風?ゴシック風?バロック風?
知ってるだけの西洋建築を並べてみました…
明るくてキレイに手入れされていますね。
お馴染みのアナログ体重計の隣に身長計がありますが、誰が測るのでしょうか?
サウナは湿式、行儀よく入れば6人はOK。
深風呂の湯温はかなり熱めでした。
浅風呂は超音波気泡風呂と書かれており、底には2匹の鯉が泳いでます。
低周波電気風呂はそんなに強くなく、これなら安心、万人向けです。
酵素風呂の湯量はやや少なく、湯温もヌル目。じっくりと浸かりましょう。
そして何と言っても特徴的な湯槽はというと
人間洗濯機!
円形の浴槽の湯が時計とは逆回りに激しく回転しるのです。なるほど、洗濯機の中に入ったような気がします。
風呂上がりは優しいおばあちゃんと歓談。
「営業されて何年ですのん?」
「昭和6年からやってます」
「やっぱり石川県ご出身ですか?」
「いえ、京都なんですよ」
おばあちゃんによると…
レンガ工場の営業をされていたご主人のお父さんが、一晩で耳が聴こえなくなる病気になり退職を余儀なくされた。そこで父親が息子さんのために、耳が聴こえなくてもできる商売をということで洋館風銭湯を建て銭湯を始めたのが昭和6年。資産家だったんでしょうね。
いや、ちょっと待てよ…ということは
今年で85年目?
偶然にも伊藤若冲の生涯と同じ年齢です。
本日宝湯さんに寄らせていただいたのも
伊藤若冲翁のお導きかも?
まあ、そんなことはないでしょうが…
朝から晩まで若冲尽くし…
ご縁は宝、
宝湯さんで宝物をいただきました。
【宝湯】
京都市伏見区深草大亀谷西久宝寺町18