ファントム オブ ザ 成均館 その24 | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。

  ご注意ください。

 

 

 ユニは正味七日ほどの講義を休んだことになっていた。講義によって一回か二回飛んでしまっている。病故、欠席自体は許可されているが、試験範囲に温情はない。ユニは現在の講義を受けつつ、受けられなかった回の内容もどうにかしなければならなかった。

 

 書物自体は少女時代からの素読と弟ユンシクの病床での音読で読んだものばかりだ。しかし内容の解釈などは自己流か一般的なもの、深く思考し、現実世界とつなぎ合わせるという作業はしたことなく成均館に来ている。ユニにとっては新たな学問に等しい。同じ講義をとっているソンジュンや、すでに講義を取り終わっているジェシンやヨンハの手助けも借りて、膨大な学習量をこなさなければならなかった。

 

 しかし、どうもおかしい、と思ったのは、それほど内容に躓きがなかったからだ。まるで以前聴講したことがあるかのように、理解できることがほとんどだった。ソンジュンに聞きながら自分の本に手書きの付箋を貼っていく。しかし、不思議とどこかで聞いて知っていた気がした。

 

 ユニは、実家に父が遺した多くの本を、四書五経に限らず読み散らして学んできた。とにかく読んだ。亡き父は少数ではあるが人を教えていたぐらいの人なので、書物に不足はなかった。講義でとるものでも、すでに読んでいるものを使ってのものだが、ユニが父を亡くして以来、師がいない中で自己流で読んできたものだから、学問としては初めて取り組むと言っても間違いない。だから、言葉面は知っていても、内容を踏み込んで理解しているとは言えないのだ。しかしソンジュンが教えてくれる講義での博士からの教授内容に、ユニは初見でない理解が出来た。

 

 その違和感は誰にも言わなかった。それに、全てがまるっきり大丈夫だったわけでもなく、ソンジュンやジェシンに質問しなければならないところだってあったし、不安なところは博士に聞きに行ったりもしなければならなかったから。それでも、いつも講義中に覚える自分の中にないものを知る驚きが少ない事には気づいていた。

 

 体調を崩したためか、同室の二人のユニへの時間管理は厳しく、そしてユニ自身も遅れを取り戻すためにいつもより学問に没入煮なければならない時間が増えすぎて、二人に言われなくても、床に入れば泥のように眠る日々が続いた。だから5の日に霊廟に行くことができなかった。あの人のお話を聞きたい、とは思いながらも、気が付くと朝だった。

 

 「テムルよ・・・お前寝ているときに何か重いものに押しつぶされているような事はないか?体は辛くないか?」

 

 と聞いてくるドヒャンの様子に、あの人が見まいに来てくれていたことを知ったが、どうにか顔には出さずに、

 

 「サヨンに監視されて布団に入らされるの。すごく良く寝てるみたいで、僕元気だよ。」

 

 と答えると、

 

 「はあ~、コロの暴れっぷりは幽鬼にまできくのか・・・。」

 

 とドヒャンがジェシンを拝んで気持ち悪がられたりという騒ぎはあったが、そんな会話も2、3度ドヒャンとユニの間で繰り返されると、周囲も何も言わなくなった。皆それどころではないのだ。月末の試験前だからだ。

 

 「キム・ユンシクは今回成績は大丈夫なのかな。それなりの日数怠けていただろう。成均館にきて貧乏暇なしの習慣が抜けてしまったのではないか?」

 

 と厭味ったらしく言ってきたハ・インスに、試験に関しては確かに講義を抜かしていることもあって不安しかないから言い返せなかった。けれど怠けたと言われたことにはカチンとは来た。ただ、その前に、ハ・インスが、ユニが病になったのは自分の体調の制御ができていなかったからだ、というようなことを言っていた、とは聞いていたので、それについても反論しにくかった。

 

 「取り返すのに大変ですから、僕これで失礼します。」

 

 と慌てて迎えに来たジェシンの方へ逃げ出すしかなかった。悔しいけれど、ハ・インスもたまに正論を言うのだ。嫌みだけれど。

 

 ただ、インスも言ったようなことは起こらなかったのだ。

 

 ユニは月末の試験で、全ての講義の成績を今までより上げ、更に『中庸』の試験においては、ソンジュンに次ぐ二番の成績だったのだ。

 

 

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