貴方の香り その11 | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。

  ご注意ください。

 

 それから数日は、ユニは友人達の尋問と、周囲の学生達の好奇の目に晒されることになった。かえって目立っちゃったんだけど、とは思ったが、始めてしまったことだし、少しばかり興奮もしていたから、ジェシンとすりあわせたストーリー通りに、二人の関係を説明し続けた。いつもはそれほど喋らない知り合いまで話を聞こうと側にいたり、どんな風に告白されたの、とかいつもどこに出かけるの、とか細かい事を聞いてくる人もいて、ユニは心底驚いていた。

 

 人の恋愛話って、こんなに盛り上がるものなの?

 

 その理由が、今まで男っ気のまるでなかったユニだから、というのと、相手が少々有名な目立つ男だったと言うこともあるのだが、ユニはそこのところにはあまり気が付いていなかった。それだけ周囲の相手をするのに必死だったし、それに感心もしていた。

 それは、ジェシンがユニに与えていたプチアドバイスが的中していたからだ。

 

 たぶんなあ、結構細かい事聞いてくるぞ。つき合って何ヶ月、とか、どっちから告白したの、とか、なんて言われたの、とか、いつもデートってどこでしてるの、とか。

 

 どうしたらいいですか?と聞くユニに、ジェシンはなんとなく答えを教えてくれた。つき合ってまだ二ヶ月ぐらい、告白はジェシンから、言葉は内緒、恥ずかしいもの、ジェシンもユニも忙しいから合うのはもっぱら大学で、それも図書館が多い、そんな風に。

 

 「どうしてそんなにすらすら出てくるんですか?」

 

 と首を傾げるユニに、ジェシンは本物の苦笑をこぼした。

 

 「・・・いるんだよ・・・そういう話が好きで、こっちが聞いてもいないのにべらべらと耳元で自慢話を垂れ流す馬鹿がよ・・・。」

 

 「お友達ですか?」

 

 「・・・まあ・・・付き合いは長いなあ・・・。」

 

 おかげでしょうもない知識ばっかり増えていくぜ、とぶつぶつこぼすジェシンに、ユニはまた首を傾げていたのだが、そのお友達のおかげか、ジェシンに教えられた事柄で大体の質問は躱せた。後は照れてる振りでもしてごまかしとけ、とは言われたが、それを実感したのは一人の突っ込みだった。

 

 「もうキスぐらいしたの?」

 

 へ、というユニの事などほったらかしで、他の友人達も興味津々に口々に言う。

 あの人年上だし、なんだか慣れてそうだもんね、手も早いんじゃない、そんな事を勝手に言っていてユニの事なんか放っておいたままにしておいてくれればよかったのに、やっぱり話の中心人物に注目が戻ってくるのは当たり前の事で。

 

 そして、この話題にはさすがにキャパオーバーのユニには、とる選択肢など一つしかなかった。

 

 首を小さく振って照れるユニを見て、ユニ可愛い~~、案外慎重な人なんだ~~、ユニが相手だからじゃない、などと賑やかなこと。ユニの本心は、キスという言葉で頭がパニックに陥っただけのことなのだが。つき合う振り、の中に、そんな行動は入っていない。少なくともユニの予定の中には。もっと変なこと聞かれたらどうしよう、と思っていると、だいたいユナが助けてくれる。ほらほらもう講義室に移動しないと、ユニは終わったらすぐバイトだよね、そう言って解散させてくれる。ホントにありがたい友人だ。親友だ。

 

 「そういうのを親友って言うんだよ。」

 

 とジェシンも賛成してくれた。質問攻めで大変、と数日後にこぼしたときに聞いたジェシンの感想。上手いことやってるじゃねえか、と大笑いした後でそう言ってくれて、ユニはそこは大きく頷いておいたのだけれど。

 

 「ジェシン先輩は大変じゃないですか?」

 

 なにが、と不思議そうにユニを見るジェシンに、ユニも不思議そうに首を傾げて見せた。今話していたのは、二人の交際について周りに騒がれて大変、って事だったよね、と。他に何もないわよね、とばかりに。

 

 ああ、と頷いたジェシンは、別に何もねえよ、と口の端を上げた。

 

 「聞いてくる奴はいねえこともないが・・・。」

 

 ユニはジェシンがどう対処しているか謹聴しようと姿勢まで正したのに。

 

 「いい女だろ、って言っとけばそれで終わりだ。」

 

 それだけ?とでも言いたげなユニのまん丸な目に、ジェシンは思わず吹き出した。

 

 

 

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