1981年のアルバム(その61 Heavy Metal / Music From~)
1981年のアルバム・シリーズ
'80年代に入り、ロック・バンドが色々とヒットを放つ中、登場したのは・・・
Heavy Metal / Music From The Motion Picture
映画のサウンド・トラック盤
ヘヴィ・メタル・ロックの音楽映画と思いきや、実は・・・
コミック誌「ヘビー・メタル」から生まれたSFアニメ映画
監督は、Gerald Potterton、そして音楽は、巨匠 Elmer Bernstein
そのサウンド・トラック盤もありますが・・・
今回登場するのは、その一方で、挿入曲である13アーティストによる全16曲
それらを収録したといえる2枚組サウンド・トラック・アルバム
Heavy Metalというタイトルですが、Iron Maiden、Judas Priestではなく・・・
どちらかと言えば、シングル・ヒットをよく放っている人たちのようです。(笑)
Heavy Metalのタイトルの楽曲は2曲収録、同名異曲で・・・
1曲は、Sammy Hagar、元Montroseで、’70年代半ばにソロ・デビュー
地道な活動の成果あって、'80年代に正統派ロッカーとして人気爆発
ただこの数年後に、Van Halen加入するとは・・・
当時は誰も思わなかったでしょう。
もう1曲は、Don Felder、勿論、Eaglesの・・・
当時活動休止中のEaglesですが、これが、ソロ名義で初登場
元々、ヴォーカル曲の少なかった彼だけにこれはレアなナンバーでしょう。
尚、翌年大ヒットとなるJourney の代表曲である Open Arms
元々は、このサウンド・トラックに提供された楽曲です。
A面1曲目、ハードなギターのリフから、ミディアム・テンポの典型的ハード・ロック
Heavy Metal / Sammy Hagarでスタート
Sammy Hagar、SurvivorのJim Peterickの作品
プロデュースは、Roy Thomas Baker、エンジニアリングは、Ian Taylor
Bill Churchベース、David Lauserドラムス
後にBostonに加入するGary Pihlリード・ギター
リード・ヴォーカル、ギターは、勿論、Sammy Hagar
ハードにパワフルに歌う Sammy、サビの部分はアップ・テンポに
後半、ギターもフィーチャーされます。
シングルとしてもリリース、また翌年のSammy Hagarの代表作
Standing Hamptonにも収録されます。
2曲目、ハードなギターのカッティングから、パワフルなロック・ナンバー
Heartbeat / Riggs、ギター、ヴォーカルのJerry Riggsの作品
プロデュースは、Roy Thomas Baker、エンジニアリングは、Ian Taylor
後半、かなりハードなギターを聴かせます。
3曲目、シェイク音からベース音、シンセ・ポップ・サウンドとなって・・・
Working In The Coal Mine / Devo、Allen Toussaintの作品
Lee Dorseyの大ヒット曲(1966年、全米No.8)、その後多くがカバー
プロデュースは、Robert Margouleff、エンジニアリングは、Michael Boshears
リズムに合わせて、単調に歌われますが・・・
"Lord, I Am So Tired, How Long Can This Go On?~"と入るところが印象的
このサウンド・トラックから、シングルとしてリリースされ、全米No.43、全米ダンス・チャート No.30、全米メイン・ストリーム・ロック No.53、カナダ No.17、オーストラリア No.20、ニュージーランド No.8・・・といったヒットに
尚、映画では、最後のクレジット・タイトルに登場します。
4曲目、力強くドラムスが響き、キーボード音🎹が加わって・・・
Veteran Of The Psychic Wars / Blue Oyster Cult
Eric Bloom、Michael Moorcockの作品
この年、リリースされたアルバム Fire Of Unknown Originにも収録
プロデュース、エンジニアリングは、Deep Purple等でお馴染み Martin Birch
リード・ヴォーカルは、Eric Bloomで、パワフルなビートに合わせて歌い・・・
そして、あのBuck Dharmaのドラマチックなギターも登場
最後は、Ericの熱唱でエンディング、邦題は「恐怖の精神戦争」です。
レコード1枚目B面1曲目、エフェクターを効かせたギターのリフが刻まれ・・・
Reach Out / Cheap Trick、Robert James、Pete Comitaの作品
前年のJapan Jam2からTom Peterssonに代わって参加したPete Comita
彼を迎えての初リリース、Robinがパワフルに歌うロック・ナンバー
プロデュースは、Roy Thomas Baker、エンジニアリングは、Ian Taylor
Rick Nielsenのギター・ソロもフィーチャーされ、ハードなリフと共に・・・
最後はリフレインでフェイドアウトしていきます。・・・
2曲目、ギター音がフェイドイン、ハードなフレーズが奏でられ・・・
Heavy Metal (Takin' A Ride) / Don Felder、Don Felderの作品で・・・
リード・ヴォーカル、リード・ギター、参加メンバーは・・・
David Whiteベース、Claude Pepperドラムス、Paulinho Da Costaパーカッション🥁、Ian Underwoodシンセサイザー、そしてバッキング・ヴォーカルで、
Don Henley、Tomothy B. Schmitと、Eaglesの盟友2人
エンジニアリングは、Joel W. Moss、アシスタント・エンジニアリングは、Bruce Hensal、Matt Forger、プロデュースは、Don Felder
イントロからハードなロックながら、彼に歌にはEagles色を感じ・・・
メンバー2人もバックアップで盛り上げ、ハードなギターも聴かせます。
このサウンド・トラックから、シングルとしてリリース、全米No.43、全米メイン・ストリーム・ロック No.5、Don Felder名義の初ヒットとなりました。
邦題は「ヘヴィイ・メタルよ永遠に」
尚、映画では、B17爆撃機の戦闘シーンに登場します。・・・
3曲目、エレクトリック・ピアノ🎹とともに、カリンバが響いて、ギターも
True Companion / Donald Fagen、Donald Fagenの作品
リード・ヴォーカル、バッキング・ヴォーカルカリンバ、シンセサイザーはDonald Fagen、参加ミュージシャンは、Steve Khanギター、Will Leeベース
Don Grolnickエレクトリック・ピアノ🎹、Crusher Bennettパーカッション🥁
Ed Walshシンセサイザー、Zack Sandersバッキング・ヴォーカル
エンジニアリングは、Elliot Scheiner、アレンジは、Donald Fagen
プロデュースは、Donald Fagen、Elliot Scheiner
前半は、Steve Khanが、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター
エレクトリック・ピアノ🎹をバックに心地よく聴かせ、後半は、Donald中心・・・
ヴォーカル・パート、重厚なコーラスで不思議なムードでエンディングとなります。
尚、Steely Dan活動停止後、Donald Fagen名義の初リリースです。
4曲目、アコースティック・ギターが響いて、一転、ハードなロック・サウンドに・・・
Crazy (A Suitable Case For Treatment) / Nazareth
Dan McCafferty、Darrell Sweet、Manny Charlton、Pete Agnew
メンバー4人の作品、当時はこのサウンド・トラックのみに収録
プロデュースは、John Punter、エンジニアリングは、Callum Macolm
Danのアクの強い歌声をメンバーがコーラスでノリよくバックアップ
そして、Manny Charltonのギターもフィーチャーされます。
レコード2枚目A面(C面)1曲目、イントロからストレートでハードなギター
Rader Rider / Riggs、Jerry Riggs、Marc Jordanの作品
プロデュースは、Roy Thomas Baker、エンジニアリングは、Ian Taylor
シンプルなサウンドをバックに、ハードに熱唱、パワフルなナンバー
尚、映画では、オープニング・ナンバーです
2曲目、一転して、ピアノ🎹のイントロから、Steve Perryのあの歌、そう・・・
Open Arms / Journey、Steve Perry、Jonathan Cainの作品
プロデュースは、Kevin Elson、Mike Stone、エンジニアリングもMike Stone
同年リリースのアルバムEscape収録で、翌年3枚目のシングル・リリースで・・・
全米No.2、全米AC No.7、カナダ No.2、カナダACNo.2等世界中で大ヒット
永遠のスタンダード化されていますが、元はこのサウンド・トラックへの提供曲
ここでは、最初の邦題「翼をひろげて」のままクレジットされていました。
3曲目、ジャーンと爆音、リズムが刻まれ、そこへ聴き馴染みのある歌声
Queen Bee / Grand Funk Railroad、そう、’70年代前半、一世を風靡した
あのGrand Funk Railroad、ここに復活、Mark Farnerの作品
エンジニアリングは、Jim Scheffler、Thom Panunzio
セカンド・エンジニアリングは、Bobby Gerber、Stuart Furusho
プロデュースは、Bob Destocki、Thom Panunzio
シンプルながら、ドライヴ感溢れるロック・ナンバー
Markは歌は勿論、ギターも聴かせます。
この年リリースの復活アルバム Grand Funk Livesにも収録されています。
この翌年Mark Farner、Don Brewer、Dennis Bellingerのトリオで
日本武道館で来日公演、熱い感動を呼び覚ませてくれたのでした。
(このQueen Beeもプレイされました。)
4曲目、効果音がフェイドイン、ギターが入り、シンプルなドラムス
I Must Be Dreamin'、Rick Nielsenの作品
プロデュースは、Roy Thomas Baker、エンジニアリングは、Ian Taylor
やや長めのイントロから、ファンキーなビートで、Robinが熱唱
最後に再びイントロ部分・・・そしてフェイドアウトしていきます。・・・
シングルとして、Reach Outとのカップリングでシングル・リリースされました。
尚、Pete Comitaはその後脱退、彼が参加した唯一のレコーディングです。
レコード2枚目B面(D面)1曲目、ハードなギターからアップ・テンポに
The Mob Rules / Black Sabbath
Terence Butler、Ronnie James Dio、Anthony Iommiの作品
プロデュース、エンジニアリングは、Martin Birch
リード・ヴォーカルは、そう、Ronnie James Dio
Ronnieが熱唱するスピード感溢れるハード・ロックン・ロール
プロデュースが、Martin Birchということで、Rainbowを思わせるところも・・・
彼が参加しての2作目 Mob Rules (邦題「悪魔の掟」)のタイトル曲
但しサウンド・トラックの方が先で別ヴァージョン
ここでの邦題は「群れをなせ」となっています。
2曲目、ギターが響いて、ややスローでメロウなイントロから・・・
All Of You / Don Felder、こちらもDon Felderの作品
リード・ヴォーカル、リード・ギターは、勿論彼で、参加メンバーは・・・
Abraham Laborielベース、Mike Bairdドラムス
Paulinho Da Costaパーカッション🥁、Alby Galutenシンセサイザー
エレクトリック・ピアノ🎹、オルガンは、Paul Harris、バッキング・ヴォーカルは、何と Mickey Thomas、Ricky "Goona" Washington、エンジニアリングは、Joel W. Moss、アシスタント・エンジニアリングは、Bruce Hensal、Matt Forger
プロデュースは、Don Felder、味のある歌声、勿論、ギターも・・・
そのEaglesを思わせるギターとコーラスでフェイドアウトしていきます。
Heavey Metal (Takin' A Ride)とカップリングでシングル・リリースされています。
3曲目、ドラムスのロールから、シンプルなハードなギターのカッティング
Prefabricated / Trust、Bernard "Bernie" Bonvoisinヴォーカル
Norbert "Nono" Kriefギターを中心としたフランスのハード・ロック・バンド
Bernard Bonvoisin、Norbert Kriefの作品、英詞は、Jimmy Pursey
プロデュースは、Trust、エンジニアリングは、Steve Parker
速弾きギターもフィーチャー、ストレートなハード・ロックを聴かせます。
4曲目、エレクトリック・ギターが刻まれ、聴こえてくるあの歌声
Blue Lamp / Stevie Nicks、Stevie Nicksの作品
参加ミュージシャンは・・・John Seigierベース、Andy Newmarkドラムス、Davey Johnstoneギター、David Adeisteinピアノ🎹
プロデュースは、Jimmy Iovine、エンジニアリングは、Shelley Yakus
アルバム Bella Donnaのアウトテイク・・・幾分、ロック色の強いナンバーで・・・
Stevieはシンプルにパワフルに熱唱、最後はフェイドアウトしていきます。
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.12
全米でプラチナ・ディスク獲得
カナダでもプラチナ・ディスク獲得しています。
映画の方は、7作の短編ストーリーのよるオムニバス形式・・・
それぞれに本作収録曲が効果的に登場します。
尚、当時日本では公開されず、自分もWOWOWで放映され初めて、でしたが・・・
正直、アニメとはいえ、残忍な描写とかがあり、そんな理由で公開されなかったのかもしれません。
しかし、1981年制作にしては、画像もよく完成度は高いと思っています。
さて本作ですが、その前年のUrban Cowboyのサウンド・トラック同様
人気ロック・バンドの新曲が、フィーチャーされています。
当時、FENでは、特に深夜の番組で、Sammy Hagarなど本作からのナンバーがよくオンエアーされていましたし・・・
また「ベストヒットUSA]では、当時、Open ArmsのPVがなかったので・・・
この映画の映像が使われていました。
勿論、Heavy MetalというSFアニメ映画のサウンド・トラックですが・・・
'80年代のその後のロック・シーンに繋がる重要なアルバムとも言えるでしょう。