1981年のアルバム(その15 Precious Time / Pat Benatar)
1981年のアルバム・シリーズ
続いては、まさに旬の人と言える・・・
Pat Benatar
なんとこの年、2度目の登場
1980年から年を越えて1981年へ・・・
アルバム Crimes Of Passionが驚異のロング・セラー
そして、第23回グラミー賞で、Best Female Rock Vocal Performance受賞
早くもNo.1女性ロッカーの座を射止めた・・・そんな彼女ですが・・・
次作にただならぬ期待が寄せられるのは当然のこと
そんな1981年夏、Pat Benatar、3枚目のアルバムが登場、タイトルは・・・
Precious Time
まさに世界中の期待を集めての登場
シングルの方は、ミディアム・テンポのハードなロック・ナンバー
Fire And Ice
こちらも大ヒット必至といった感じ・・・そして話題の1つとして・・・
このアルバムには、なんとThe BeatlesのHelter Skelter が入っている
Pat Benatarの歌うHelter Skelter、それだけでも期待が高まります。
日本でも人気急上昇だけに、このPrecious Time
すぐに発売され、自分も日本発売日に購入したのでした。
レコーディングは、カリフォルニア州、ロスアンゼルス
Sound City Studios、Goodnight LA Studiosにて・・・
Pat Benatarリード・ヴォーカル、バックグラウンド・ヴォーカル
Neil Giraldoリード・ギターキーボード🎹、バックグラウンド・ヴォーカル
Scott St. Clair Sheetsギター
Roger Cappsベース
Myron Grombacherドラムス
Alan Pasquaピアノ🎹
エンジニアリングは、Keith Olsen、Chris Minto
ミキシングは、Goodnight LA Studiosにて・・・
マスタリングは、Artisan Sound Recordersにて、Gregory Fulginiti
プロデュースは、Keith Olsen、Neil Giraldです。
アルバム・ジャケット、アート・ディレクション、デザインは、Ria Lewerke-Shapiro
写真撮影は、Leon Lecash、タイポグラフィーは、Sue Reillyと記されています。
A面1曲目、ピアノ🎹とギターのピッキングに合わせて静かに歌い始めるPat
Promises In The Dark、Neil Giraldo、Pat Benatarの作品
一転して、スピードアップ、パワフルなロックン・ロール・ナンバーに
Patの女性ハード・ロッカーとしての本領発揮、オープニングに相応しく・・・
Neilのギターも唸り、キャッチーなソロも聴かせます。
またNeilは、シンセサイザーもプレイ、傑出したナンバーです。
アルバムから第2弾シングルで、全米 No.38、全米メイン・ストリーム・ロック No.16、カナダ No.31、フランス No.16・・・邦題は「見つめあう夜」
正直言って、全米チャートではもっと上位に行くと思いました。・・・
2曲目、ドラムスが刻むビートに、ベース音がリズミカルに・・・
Fire And Ice、Tom Kelly、Scott St. Clair Sheets、Pat Benatarの作品
語るように歌い始めて、その後にシャウト、パワフルに盛り上がるナンバー
Neilは12弦ギター、ギター・ソロは、作者のScott Sheets
プロデューサーのKeith Olsenはタンブリンで参加しています。
前述の通り、第1弾シングルで、全米No.17、全米メイン・ストリーム・ロック No.2、カナダ No.4、オーストラリア No.30、ニュージーランド No.22、そして
前年に続き、第24回グラミー賞、Best Female Rock Vocal Performance受賞
後の80年代の音楽シーン、特に女性ロッカーへの影響を感じさせるナンバーです。
3曲目、ドラムスとギターのカッティングから・・・
Just Like Me、Paul Revere &The Raidersの1965年の大ヒット曲
(全米No.11)、Rick Dey、Roger Hart、Terry Melcherの作品
ポップなナンバーですが、サビの部分はパワフルにシャウト、ハードに迫ります。
ここでの邦題は「愛を確かめたい」です。
4曲目、エフェクターを効かせたギター、スローな展開から、Patが歌う・・・
Precious Time、アルバム・タイトル曲
Linda RonstadtのHow Do I Make You等、その後も多くのヒット曲を送り出すソングライター、Billy Steinbergの作品
サビの部分で、スピードアップするノリはキマっています。
またギター・ソロの部分では、スローダウンでNeilがしっかり聴かせ・・・
再度盛り上がる・・・最後はリフレインでフェイドアウトしていきます。・・・
B面1曲目、ギターのカッティングから、レゲエのリズムに・・・
It's A Tuff Life、Neil Giraldoの作品、ギターだけでなくオルガン🎹も・・・
ドラムスは、スカ・ビート、熱いレゲエ・ナンバー
ハードになるところは、Patならでは、邦題は短縮で「タフ・ライフ」です。
2曲目、ギターもフィーチャーしたノリのいいイントロから・・・
Take It Anyway You Want It、Martin Briley、Neil Giraldoの作品
軽快に歌うPat、サビの部分のポップに転調するところがキマっています。
邦題は「恋の終り」です。
3曲目、いきなり歌い始めるPat、バックの音が加わって・・・
Evil Genius、Neil Giraldo、Pat Benatarの作品
サックス🎷で、Gary Herbig、Joel Peskin、Tom Scott、Larry Williamsと4人も参加、間奏部ではピアノ🎹がフィーチャー、その後でサックス🎷
Neilは、ギターも勿論、シンセサイザーもプレイ、邦題は、「魔性の少年」
ややミステリアスなムードも漂う、これもよく出来たナンバーです。
4曲目、軽快にギターのカッティング、ハードな演奏が加わって・・・
Hard To Believe、Neil Giraldo、Myron Grombacherの作品
軽快に歌うPat、メンバーもコーラスでバックアップ
Keith Olsenもシェイカーで参加しています。
5曲目、あのギター・フレーズ、Patがスピーディーに歌い始めるのは・・・
Helter Skelter、勿論、The Beatlesのナンバー
John Lennon、Paul McCartneyの作品
カバーする人は多いですが、Patには特に期待したかったナンバー
ギター、コーラスの入るところ等、オリジナルに忠実
但し繰り返しはなく(笑)最後はストレートにキマっています。
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.1
Pat Benatarとして初の快挙です。
全米ロック・アルバム・チャート No.2、ダブル・プラチナ・ディスク獲得
1981年の全米年間アルバム・チャート No.95・・・
その他、カナダ No.2、ダブル・プラチナ・ディスク獲得、年間 No.18
オーストラリア No.8、ニュージーランド No.2、フランス No.3、オランダ No.46、西ドイツ No.57、ノルウェー No.28、スウェーデン No.9・・・
そして全英 No.30、全世界で、ビッグ・セールスを記録
さらに日本も、オリコン・アルバム・チャート No.42
ちょうど同じ大手レコード会社から出た Sheena Eastonと同時期というのも功を奏したと言えるかもしれませんが、日本でも確固たる地位を築いていったようです。
Promises In The Darkは、大きなヒットにこそなりませんでしたが・・・
全9曲、力の入ったナンバーが揃っています。
前作でのKate BushのWuthering Heightsにも驚かされましたが・・・
今回もBeatlesのHelter Skelterをすっかり自分のものに
さすが凄いパワーです。
そして、この唯一無二の女性ロッカーをバックアップするのが・・・
(当時はまだ結婚していない)永遠のパートナーである・・・
Neil Giraldo
ギターは勿論、あらゆるプレイで、Pat Benatarの世界を完成させています。
尚、彼はここでのプレイに高い評価を受け、Pat Benatar以外にも多くのアーティストのレコーディング等にも参加
’80年代の音楽シーンにおいて重要な存在となっていきます。・・・
前述の通り、Pat Benatar初の全米No.1アルバム
意外なことに、唯一の全米 No.1アルバムでもあります。
・・・その割には、彼女の作品の中では、目立たない方のアルバム・・・
以降、インパクトの強い楽曲を連発したりしていくので、そのようにも思えるわけですが・・・
やはり、Pat Benatar、Neil Giraldoの作り出す傑出したナンバーが揃った
傑作アルバム
それは間違いないでしょう。