1981年のアルバム(その14 LongDistanceVoyager /MoodyBlues)
1981年のアルバム・シリーズ
全米最高位 No.1のアルバムを続けていますが・・・
ブリティッシュ・ロックを代表するロック・バンドの1つ・・・
The Moody Blues
Jethro Tull同様、米国でも大人気のMoody Bluesですが・・・
’70年代のアルバム・リリースは少なく、そんな中、1978年の前作Octaveを最後にオリジナル・メンバーのMike Pinderが脱退・・・
しかし、その後任として参加したのが・・・
Patrick Moraz
そう、スイス出身、Refugeeというバンドで活動後、Rick Wakeman の代わりとして Yesに参加
アルバムRelayerで高い評価を得た彼ですが・・・
Yesには、Rick Wakeman が復帰
それで忘れ去られるのはあまりにも・・・
そう思っていた人だけに、このやはりブリティッシュ・ロックの老舗であるMoody Bluesへの参加は、プログレッシヴ・ロック・ファンを中心に
世界中の多くのファンを歓喜させました。
そして、'80年代幕明けとなる新生 Moody Bluesの新作が完成
タイトルは・・・
Long Distance Voyager
ここからの先行シングルは、Gemini World
Justin Hatward、John Lodgeが交互に歌う軽快なロック・ナンバー
アルバムは日本でも発売され、邦題は・・・
「ボイジャー~天海冥」
当時の宇宙探査機にあやかったタイトルとして付けたのでしょう。・・・
シングルの方は、なんと「ジェミニ・ワールド」となっていました。
(当時、日本では早速、CMに使われました。・・・)
尚、自分は当時、輸入盤LPレコードで購入
そちらの方がかなり安かったからです。(笑)
レコーディングは、1980年2月19日~1981年4月14日
ロンドン Threshold Studios、RAK Studiosにて・・・
メンバーは・・・
Justin Haywardヴォーカル、ギター
John Lodgeヴォーカル、ベース
Ray Thomasヴォーカル、フルート、ハーモニカ
Graeme Edgeドラムス、パーカッション
そして、Patrick Morazキーボード🎹、シンセサイザー、アレンジメント
その他、楽曲によって参加ミュージシャンあり・・・
オーケストレーションは、The New World Philharmonic
音楽監督は、Pip Williams
レコーディング・エンジニアリング、ミキシングは、Greg Jackman
アシスタント・エンジニアリングは、Norman Goodman
マスタリングは、Strawberry Masteringにて、Melvyn Abrahams
米国盤マスタリングは、Ted Jensen
ストリングス・アレンジメントは、Pip Williams
マネージメントは、Jerry Weintraub
プロデュースは、Pip Williamsです。
アルバム・ジャケット、カバーは、Arts Union Glasgow
スリーヴ・デザイン、アートワークは、Cream
スリーヴ・コンセプトは、The Moody Bluesです。
A面1曲目、シンセサイザー音がフェイドイン、ピアノ🎹等、キーボード類が加わって
The Voiceでスタート、ドラマチックなイントロから一転、アップ・テンポに
Justin Haywardの作品でリード・ヴォーカル、邦題は「出帆の時は来た」
軽快にノリのいいロック・ナンバー、ギターも聴かせます。
アルバムから第2弾シングルで、全米 No.15、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.16、全米メイン・ストリーム・ロック No.1、カナダ No.9、オーストラリア No.91、オランダ No.46・・・Moody Bluesの新たなスタートを示しているようなナンバー、尚、日本ではシングル発売時、「魂の叫び」となりました。
2曲目、やはりシンセサイザーのイントロから、ミディアム・テンポの曲調に・・・
Talking Out Of Turn、John Lodgeの作品でリード・ヴォーカル
邦題は「巡りくる愛の世界」、メロディアスなナンバー
ストリングス等、キーボード類、ギター・ソロ、メンバーのコーラス
優しく語るようなJohnの歌を盛り上げ、最後もストリングス中心で締められます。
アルバムから第3弾シングル、全米 No.65、カナダ No.27となっています。
3曲目、シンセサイザーのイントロからノリのいいリズム、ギター等も入って・・・
Gemini Dream、Justin Hayward、John Lodgeの作品
リード・ヴォーカルは、JustinとJohn、コーラス部分は交互に歌います。
ディスコ風・・・ノリのいいナンバー、邦題はなぜか「ジェミニ・ワールド」
前述の通り、第1弾シングルで、全米 No.12、全米ダンス・チャート No.36、全米メイン・ストリーム・ロック No.13、カナダ No.1、オーストラリア No.36・・・
日本ではCMに使われたものの、ヒット言うには至りませんでした。・・・
4曲目、アコースティック・ギターのカッティング、効果的にキーボード音🎹・・・
In My World、Justin Haywardの作品で、リード・ヴォーカル
物語を語るように優しく歌う Justin、Rayのフルートが効果的に入り・・・
ギター、メンバーのコーラス、リフレインで盛り上げていきます。
途中、ブレイクがあり、後半は、ギター・ソロも含めたインストゥルメンタル・・・
ペダル・スティール・ギターは、B.J. Cole
コーラスも加わって、最後はフェイドアウト・・・ドラマチックな構成です。
B面1曲目、アコースティック・ギターとエレクトリック・ピアノ🎹で心地よく始まる・・・
Meanwhile、Justin Haywardの作品で、リード・ヴォーカル
ポップなナンバーで、後期のBeatlesを思わせます。
シンセサイザーが効果的に挿入、邦題はなんと「永却の挾間に」
全米メイン・ストリーム・ロックで No.11にランクされています。
2曲目、アコースティック・ギターで今度はややスローに、力強く・・・
22,000 Days、Graeme Edgeの作品、リード・ヴォーカルは・・・
Ray Thomas、Justin Hayward、John Lodge、3人で歌う・・・
トラディショナル・フォーク調のナンバー、交互にソロでの歌声も・・・
Rayのハーモニカ・ソロ、シンセサイザーも効果的に挿入されます。
全米メイン・ストリーム・ロック No.38、邦題は直訳で「2万2千日」です。
3曲目、静かにギターのピッキングに、フルートが加わって・・・
Nervous、John Lodgeの作品で、リード・ヴォーカル
優しく歌い始めて、途中からパワフルに盛り上がるロック・バラード
メンバーもコーラス、アルバムの中で、安らぎを感じるナンバーです。
4曲目、やや静まったところで、ポップなキーボード音🎹・・・
Painted Smile、Ray Thomasの作品でリード・ヴォーカル
語りかけるようにドラマチックに歌われ、ややミュージカル仕立て・・・
3拍子で、メンバーもコーラス、邦題は「描かれた微笑み」です。
5曲目、前曲に続いて、軽快な音楽をバックに男性のナレーション・・・
Reflective Smile、この声は、Dave Symonds、邦題は「微笑み返し」です。
(キャンディーズみたいですね。(苦笑))
6曲目、前曲のナレーターに紹介され、一転、ハードなロック・サウンドに
Veteran Cosmic Rocker、Ray Thomasの作品で、リード・ヴォーカル
ドラマチックに歌われるトラディショナル・フォーク調のアップ・テンポのナンバー
ハーモニカに続いて、フルート、そしてシンセサイザー・・・
再びRayの歌、Jethro Tullを思わせるナンバー
最後は力強く、余韻を残したフィナーレとなります。・・・
CDの時代になり、2008年のリマスター盤には・・・
The Voice (Single Edit)が、ボーナス・トラックとして収録されています。・・・
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.1
Seventh Sojourn以来9年ぶりの王座奪還となりました。
全米でプラチナ・ディスク獲得、1981年の全米年間アルバム・チャート No.27、その他、カナダ No.1、トリプル・プラチナ・ディスク獲得、オーストラリア No.7、ニュージーランド No.8、西ドイツ No.28、オランダ No.16、ノルウェー No.12、スウェーデン No.46・・・
そして本国、全英 No.7、シルバー・ディスク獲得
さすが、Beatlesの時代から活躍しているブリティッシュ・ロックの大御所
その貫録を見せつけました。
Patrick Morazという強力なメンバーを得たことで、音楽的にもスケールが大きくなった Moody Blues
特にレコード時代のA面は、全作品の中でも特に傑出していると思います。
また従来のブリティッシュ・ロック特有のトラディショナルな部分も入っていて・・・
まさに’80年代、新たにスタートを切った
そのようなアルバムと言えるでしょう。
因みに余談ですが・・・
自分はLPレコード時代は、A面ばかり聴いていました。(笑)
・・・で、日本・・・ですが・・・
Gemini Dreamが、CMに使われたり、The Voiceは、ラジオ番組等で、かなりオンエアーされていましたが・・・
あの Moody Bluesです。
そう、Stones、Who、Kinks等と同様に’60年代から第一線にいる
大物ブリティッシュ・ロック・バンドです。
欧米との日本との温度差は、'80年代に入って、さらに広がってしまった・・・
残念ながら、そう言わざる負えないでしょう。・・・