1978年のアルバム(その61 Octave / The Moody Blues)
1978年のアルバム・シリーズ
いよいよ登場するのは・・・
The Moody Blues
自分が洋楽を聴き始めた頃から、その名前は聞いていました。
ただ、ちょうど新しいアルバムをリリースしなくなった頃・・・
ちょうど少し後に、初来日公演(1974年1月)も行われましたが、中学生になったばかりの自分は行けるわけがありません。
その後、Moody Bluesは、フロント・マンと言えるJustin HaywardとJohn Lodgeがデュオ・アルバム Blue Jaysをリリースしたり、各メンバー、ソロとして活動していましたが・・・
解散を表明したわけではありませんでした。・・・
しかしその間に、Moody Blues名義でリリースされたのは、アンソロジーと言えそうな、1974年リリースの2枚組ベスト・アルバム This Is The Moody Bluesと、1977年にリリースされた 1969年のライヴに5曲の未発表曲がプラスされた2枚組アルバム Caught Live + 5・・・
ということで、当時としては、異例と言えるべき、長いブランク
全米No.1アルバムとなった 1972年の Seventh Sojourn以来約6年ぶりとなる新作が、1978年にリリースされたのでした。・・・タイトルは・・・
Octave
日本でも当然待望視され、すぐにリリース
邦題は「オクターヴ~新世界の曙」
・・・ということで、自分としては、リアルタイムでの The Moody Bluesは初めて
ただ、この発表時に、かつてはリーダー格だった Mike Pinderは、脱退していたのでした。・・・
尚、海外でのLPレコードの初回盤は、何と水色だったようです。
レコーディングは、1977年10月~1978年4月
ロスアンゼルスのThe Record Plant
マリブのIndigo Ranch Recording Studiosにて・・・
アメリカレコーディングというのは、当時、Mike Pinderが西海岸に住んでいたからとのことです。・・・
メンバーは・・・
Justin Haywardヴォーカル、ギター、キーボード
John Lodgeヴォーカル、ベース、キーボード
Ray Thomasヴォーカル、フルート、ハーモニカ、タンブリン
Graeme Edgeヴォーカル、ドラムス、パーカッション
Mike Pinderヴォーカル、オルガン、シンセサイザー、メロトロン、ピアノ、エレクトリック・ピアノ、アコースティック・ギター
その他、R.A. Martinホーン、サックス
エンジニアリングは、Chris Brent、Dennis Hansen、Gary Ladinsky、Pete Carlsen、Richard Kaplan
マスタリングは、Sterling Soundにて、Ted Jensen
プロデュースは、Tony Clarkeです。
アルバム・ジャケット、カバー・コーディネイターは、Richard Rothです。
レコードA面、針を下すと環境音のような音がフェイドインしてきて・・・
シンセサイザー、ギターによる叙情的なインストゥルメンタルに・・・そしてドラムスが入ってきて・・・
Steppin' In A Slide Zoneでスタート
John Lodgeの作品で、歌もJohn Lodge、アップ・テンポのロック・ナンバー
メンバーがコーラスを付けるのも、Moody Bluesならでは
後半、ギターもフィーチャーされます。
アルバムから、第1弾シングルで、全米No.39
5年半ぶりの待望のシングルだけに、もっとヒットしてほしかったです。
邦題は短縮形で「スライド・ゾーン」でした。・・・
2曲目、がらりとイメージが変わり、フルートの音色、バックにはストリングス・・・
Under Moonshine、Ray Thomasの作品で、歌もRay Thomas
優しく説得力のある歌声を聴かせてくれます。・・・
メンバーのコーラスも重厚、この曲だけ聴くとクラシカルなムードに・・・
邦題は「月の光の下に」でした。・・・
3曲目、アコースティック・ギターに、ハーモニカ・・・フォーク・ソング風に始まる・・・
Had To Fall In Love、Justin Haywardの作品で、歌もJustin Hayward
そう、Nights In White Satinをはじめ、Moody Bluesの代表曲をほとんど歌っているJustinの歌声、3曲目に登場です。
Rayと思われるハーモニカも効果的に、美しいコーラスをバックに歌う Justin
癒される気分になってきます。・・・邦題は「旅路の果てに」でした。・・・
4曲目、ポップなギター音のイントロから軽快に始まる・・・
I'll Be Level With You、Graeme Edgeの作品
Justin Hayward中心ですが、Mike Pinder、Ray Thomas、John Lodgeと4人で歌っています。
後半はギター・ソロも・・・ストリングス、シンセサイザーが効果的
邦題は「君と共に歩もう」でした。・・・
5曲目、ギターのカッティングから、フルートが加わり・・・
Driftwood、Justin Haywardの作品で、歌もJustin Hayward
静かに歌うJustinに、サックスも加わってきます。
Justinの歌から、広大な自然界の様子が描かれるようです。・・・
邦題は、「流木が漂うように」
アルバムから、第2弾シングルとしてリリース、全米No.59
全米アダルト・コンテンポラリー・チャートでは、No.38
じっくり聴かせる名曲ですが・・・シングル向きではないと思いました。(苦笑)
B面1曲目、ここまでのムードとは一転して、サックスもフィーチャーしたオールドタイム・ロックン・ロール風のナンバー
Top Rank Suite、Justin Haywardの作品で、歌もJustin Hayward
軽快でノリがいいだけに、シングル・カットされればいいのに
そう思っていました。
2曲目、軽快なギターに、フルートが絡んで・・・
I'm Your Man、Ray Thomasの作品で、歌もRay Thomas
Rayの優しい歌声、心地よく、この曲などまさに当時のAORの先駆け
そのように聴こえます。
3曲目、シンセサイザー、ギター等によるイントロがフェイドインしてきて・・・
Survival、John Lodgeの作品で、歌もJohn Lodge
メロディアスなナンバーで、メンバーのコーラス、ストリングスも重厚に・・・
Beatles、特にPaulの作品を思わせる部分も
この当時、Denny Laineは、WingsでPaulの片腕的存在だったわけで・・・
元々、Moody Bluesのルーツと、Beatlesは共通したものがあるのでしょう。
4曲目、エレクトリック・ピアノの音が聴こえ、低音のヴォーカル
One Step Into The Light、Mike Pinderの作品で、歌もMike Pinder
キーボード類を駆使したサウンドをバックに、語るように歌うMike
Moody Bluesもプログレッシヴ・ロックなんだと感じるナンバー
邦題は「永遠への回帰」
Mikeの置き土産・・・但し浮いた感じはないでしょう。・・・
5曲目、ギターのストロークとキーボードのイントロから・・・
The Day We Meet Again、Justin Haywardの作品
長めのイントロで、インストゥルメンタルと思いきや、コーラス、そして・・・
Justin Haywardの歌が入ります。
そしてギター・ソロもフィーチャー
後半、歌とコーラスのリフレイン、ずっと続くかのようにフェイドアウト・・・
と思いきや、切れるように終わります。・・・
アルバムのラストらしいナンバー
邦題は「再会」・・・ですが、Mike Pinder、そしてプロデューサーのTony Clarkeに捧げるナンバーのようにも聴こえます。・・・
CD化され、2008年のExpanded Editionからは、本作収録の・・・
Steppin' In A Slide Zone、I'm Your Man、Top Rank Suite、Driftwood、The Day We Meet Again
以上、5曲のライヴ・ヴァージョンが、収録されています。・・・
1979年5月25日、シアトルでのライヴ
The Day We Meet Againは、1978年12月7日、ヒューストンでのライヴ
キーボード奏者としては、元YesのPatrick Morazが参加
新生Moody Bluesのスタート
臨場感のあるプレイを聴かせてくれています。
全米アルバム・チャート最高位No.13
(ということで、ここに登場)
全英では、No.6
あれだけヒット・アルバムをリリースした Moody Bluesの6年ぶり
・・・の新作の割には今ひとつのチャート・アクションと思いました。・・・
しかし、実のところは、6年ぶりではあるものの、このアルバムは、Justin Haywardが加入していくつかのヒット・アルバムや、Nights In White Satin等のヒットを生み出したMoody Bluesの1つの終焉といえるアルバムなのでしょう。・・・
そして、このアルバムのCD時代になってからのボーナス・トラックが、示す通り、Patrick Morazを加えて、心機一転勢いづいて、’80年代、再び快進撃を続けることになるのでした。・・・
一方、日本では、「サテンの夜(Nights In White Satin)」と1974年の来日公演がピークといった感じで・・・
以降、残念ながら、Moody Bluesの名前が大きく取り上げられることは、ほとんどなくなったようです。・・・
やはり約6年の沈黙というのは、当時は、かなり長い期間であったと思っています。(苦笑)・・・