1980年のアルバム(その30 Hotter Than July/Stevie Wonder)
1980年のアルバム・シリーズ
30枚目ということで、登場するのは、大御所・・・
Stevie Wonder
Songs In The Key Of Lifeで金字塔を打ち立てた彼が、あまりにも大きな期待の中、3年ぶりに'70年代最後に遂にリリースしたのが・・・
Stevie Wonder's Journey Through The Secret Life Of Plants
映像作品のサウンド・トラックでもあった本作、Send One Your Loveという名曲は大ヒットし、さすがにStevieと思いましたが・・・
一般に幅広く受け入れられるアルバムではありませんでした。
日本語で子供たちが歌っていた「愛の園」、日本では西城秀樹さんがかナーしましたが、日本ではStevie Winderファンや、洋楽ファン以外からは・・・
「ヒデキ、何でこんな童謡歌っているの・・・」
そう思われたことも否めないでしょう。・・・
そういったこともあってかどうかは、定かでありませんが・・・
1980年、先ずStevie Wonderがリリースしたのは、シングル
Master Blaster (Jammin')
力強いドラムスから、ベースが響き、熱いレゲエ・ビート
そう、ディスコでも大ヒットしそうなポップなレゲエ・ナンバー
そして歌詞にも出てくるBob Marleyに対するオマージュと言えるナンバー
シングルB面には、同曲のダブ・ヴァージョンが収録され・・・
早くもヒット・チャートを急上昇、日本でもヒットの兆しといった感じに・・・
そして、アルバムも登場、タイトルは・・・
Hotter Than July
そう、Master Blaster~の歌詞にも登場する言葉・・・
そして今回は、ポップな音作りということ・・・
さらには、Martin Luther King, Jr.牧師の誕生日を「国民の祝日」にしよう・・・
そんなメッセージが込められた歌
Happy Birthdayが収録されていることも話題となっていました。
・・・で、自分もアルバム Hotter Than July
日本盤発売と同時に購入しました。
レコーディングは1979年~1980年
カリフォルニア州、ロスアンゼルス Wonderland Studiosにて・・・
Stevie Wonderリード・ヴォーカル、シンセサイザー、ドラムス、フェンダー・ローズ、ベース・シンセサイザー、クラヴィネット、ARP、ピアノ、バックグラウンド・ヴォーカル他、マルチ・プレイヤーぶりを発揮
その他主な参加ミュージシャンは・・・
Nathan Wattsベース、バックグラウンド・ヴォーカル
Benjamin Bridgesギター、バックグラウンド・ヴォーカル
Dennis Davis(Stevie以外の)ドラムス
Earl DeRouenパーカッション、バックグラウンド・ヴォーカル
Isaiah Sandersキーボード、バックグラウンド・ヴォーカル
Hank Reddサックス、Robert Malachサックス、Larry Gittensトランペット、Rick Zunigarギター
バックグラウンド・ヴォーカルとして、Shirley Brewer、Alexandra Brown Evans
その他、曲ごとにゲストミュージシャンが参加しています。・・・
エンジニアリングは、Gary Olazabal
アシスタント・エンジニアリングは、Bob Harlan、Jimmy "Rock & Roll" Sandweiss、Lon Newmann、Peter Vargo
ミキシングは、Wonderland Studiosにて、Gary Olazabal
マスタリングは、Crystal Soundにて、Arnie Acosta、Jeff Sanders、Larry Ernerine、Stephen Mercussen
シンセサイザー・プログラミングは、Bill Wolfer
メロディアンのサウンド・デザイナーは、
技師は、Lou Hyland、Mick Parish、アシスタントとして、Charlie Brewer
プロジェクト・マネージャーは、Brenda M. Boyce
アルバム・ジャケット、デザインは、John Cabalka
イラストレーション、カバー・コンセプトは、Al Harper
コーディネイターは、Stephanie Andrews
インナー・スリーブには、Martin Luther King,Jr.の顔写真が載っています。
共作を含め、全曲、Stevie Wonderの作品、プロデュース、アレンジです。
A面1曲目、唸り声()が大きくなって、ベース音が響き、ホーンが加わって・・・
Did I Hear You Say You Love Me、アップ・テンポでノリよく歌うStevie
キーボードのIsaiah Sanders、ここではピアネットをプレイ
躍動感のあるホーンには、トランペットで、Nolan A. Smith Jr.も加わり・・・
バック・コーラスには、レコーディングに参加しているメンバーほぼ全員と・・・
Ed Brown、Susaye Greene Brown、Charlie Collins、Mary Lee Whitney Evans等が参加
" I Love You~"とStevieの歌との掛け合いで盛り上げていきます。・・・
邦題は「愛と嘘」、アルバムから第5弾シングルになりました。
尚、ライヴでは、Stevieが客席に唸り声を出すように煽って、始まります。
2曲目、前曲の歌のかけ合いから急に一転、フェンダー・ローズの音へ・・・
All I Do、Stevie Wonder作曲、Clarence Paul、Morris Broadnax作詞
少し前に書かれたメロディアスなミディアム・テンポのナンバー
Stevieは力強く歌い、バックアップするコーラスは・・・
Eddie Levert、Jamil Raheem、Walter Williams、そして何と Betty Wright
さらには、Michael Jackson、"All I Do, Is Think About You~"と・・・
Stevieを兄のように慕うMichaelの声は際立っています。
Stevieは、ベル、フルート・シンセサイザーもプレイ、効果的に挿入されます。
サックス・ソロは、Hank Redd、後半はMichaelたちのコーラスのリフレイン
それにかけ合うように熱唱となります。
邦題は「キャンドルにともした恋」、ヒット性があると思いましたが・・・
シングル・リリースはありませんでした。
3曲目、スローダウンで、やはりフェンダー・ローズでメロディアスなイントロ・・・
Rocket Love、スキャットから優しい歌声で歌うStevie
アコースティック・ギターもフィーチャー、メローな歌はStevieの多重録音
また彼自身、シンセサイザーを多用した音作りをしています。
楽曲をドラマチックに盛り上げるストリングス・アレンジメントは、Paul Riserです。
4曲目、軽快なリズムに合わせていきなりStevieが歌い始める・・・
I Ain't Gonna Stand For It、Hank DeVitoがスチール・ギターで参加
それでどことなくカントリー調・・・Lionel Richieと類似点も・・・
Stevieの歌をバックアップするのは・・・
何とThe Gap Bandの Charlie WilsonとRonnie Wilson
ギター、ベースもフィーチャーされ、歌のリフレインでフェイドアウトしていきます。
アルバムから第2弾シングルで、全米No.11、全米R&Bチャート No.4、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.20、オーストラリア No.61、カナダ No.9、西ドイツ No.50、アイルランド No.6、オランダ No.29、ニュージーランド No.2、全英 No.10、世界中で大ヒット
邦題は「疑惑」、Stevieは漢字2文字の邦題が多いようです。(笑)
尚、なんとEric Claptonがカバー、2001年のアルバム Reptileに収録
シングル・リリースもされ、東欧等では、ヒットしたようです。・・・
5曲目、前曲から力強いピアノをブリッジに、ノリの良い曲調に・・・
As You Read My Mind、軽快に歌うStevieを途中からバックアップするのは・・・
そう、お馴染み Syreeta Wright、そしてハーモニカ・ソロ
これこそ、唯一無二のStevie Wonderの世界
邦題は「目を閉じれば愛」です。
B面1曲目、打楽器類がフィーチャーされ、レゲエ・サウンドに
Master Blaster (Jammin')、ベースが響き、熱く熱唱する Stevie
途中から、コーラスで加わるのは Angela Winbush
日本人ウケしそうなナンバーとも思います。
前述の通り、先行シングルで、全米No.5、全米R&Bチャート No.1
1981年の全米年間シングル・チャートで、No.69
その他の国では、オーストラリア No.2、オーストリア No.1、ベルギー No.3、カナダ No.22、西ドイツ No.9、アイルランド No.3、イタリア No.1、オランダ No.2、ニュージーランド No.1、ノルウェー No.4、スペイン No.10、スウェーデン No.1、スイス No.1、そして全英 No.2、世界中で大ヒット
Cash Box誌の方では、全米No.1(1980年の年間No.38)となっています。
2曲目、バスドラムが響いて、軽快なリズム、そこへ子供の声も・・・
Do Like You、ここでも力強く、ノリよく歌うStevie、ハープシコードもプレイ
ホーンとともに、Stevieをバックアップするコーラスは・・・
Delores Barnes、Melody McCulley
ホーンとともに、サイが投げられる音とともに子供の声でエンディング・・・
邦題は「孤独のダンサー」です。
3曲目、ベースの効いたややスローなファンキーサウンドから、歌うStevie
Cash In Your Face、楽曲を盛り上げる手拍子、Stevieを中心に、サックスのHank Redd、Stephanie Andrews、Kimberly Jackson、Trevor Lawrence、Dennis Morrison、Bill Wolferと関係者が参加
邦題は「哀しい絆」です。
4曲目、ムードも一転して、美しいピアノが流れ・・・
Lately、ここは、Stevieの独壇場で、じっくり聴かせ、途中からは盛り上げます。
アルバムから第3弾シングルで、全米 No.64、全米R&Bチャート No.29、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.33、オーストラリア No.17、西ドイツ No.64、アイルランド No.6、オランダ No.36、ニュージーランド No.15、そして全英 No.3、地味ながら世界中で大ヒット、この後になって、スタンダード・ナンバーとして定着しました。
5曲目、メロディアン(サウンド・デザイナーはHarry Mendell)によるイントロ・・・
Happy Birthday、軽快に明るくノリのいいナンバー
そう、前述の通り、Martin Luther King, Jr.牧師のことを歌ったナンバー
ここでは、あらゆる楽器をStevie自身が担当・・・
後半、"Happy Birthday~"のコーラスに合わせて、King牧師の言葉をStevieが朗読・・・コーラスのリフレインはいつまでも続くように・・・フェイドアウトしていきます。
アルバムから第4弾シングル、全米R&Bチャート No.70、オーストラリア No.31、ベルギー No.13、西ドイツ No.18、アイルランド No.5、オランダ No.12、ニュージーランド No.23、スイス No.8、そして全英 No.2・・・
英国では、Stevie Wonder最大のヒットとなりました。
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.3
年末ということで、強敵が多く、No.1には、届かなかったようです。・・・
全米R&Bアルバム・チャート No.1、こちらは、1980年から1981年にかけて・・・
13週連続 No.1と独走していました。・・・
1981年の全米年間」アルバム・チャート No.21、プラチナ・ディスク獲得
その他の国では、オーストラリア No.3、オーストリア No.2、カナダ No.18、オランダ No.4、フランス No.1、西ドイツ No.12、ニュージーランド No.2、ノルウェー No.5、スウェーデン No.3、シングル・カット曲のヒットが続いたこともあって、全英 No.2・・・世界中で、ビッグ・セールス
そして日本、オリコン・アルバム・チャート No.29
さすが、Stevie Wonderですが・・・
ただ日本においては、Songs In The Key Of Life以降と・・・
Superstition、You Are The Sunshine Of My Lifeしか知らない・・・
俄かファンが多かったことも否めないでしょう。・・・
Songs In The Key Of Life等に収録されたナンバーのようなハイ・テンションは感じないものの、さすがにメロディ・メイカーとして、卓越した才能を実感させる・・・
やはりそのようなアルバムと思っています。
さて Stevie Wonder
Songs In The Key Of Lifeで、あまりにも神格化された存在になっていたので・・・
もう簡単に日本には来てくれないだろう・・・
そのように思われていました。
それが・・・
1981年、東京音楽祭の特別ゲストとして来日決定
そして何と一般公演も行われる
このチケット争奪戦が大変なことになるのでした。・・・