1979年のアルバム(その26 StevieWondersJourneyThrough~)
1976年のSongs In The Key Of Lifeによって、もはや神がかった存在となっていた
Stevie Wonder
多くの人が、~The Key Of Lifeには満足感を味わい、これ以上のものはない
そうも思われていたことと思います。
そんな中、Stevie Wonderの次のアルバムは映画のサントラ盤らしい・・・
そのような話が伝わってきました。
そして、先ず登場したのが、アルバムに先駆けてのシングル
Send One Your Love
ミディアム・テンポのバラード、これぞ Stevie
そんな名曲、そして嬉しいことに、彼のハーモニカによる間奏
邦題は「愛を贈れば」で、日本発売
そして、アルバムの方は・・・
Stevie Wonder's Journey Through The Secret Life Of Plants
当時、詳細はまだわかっていませんが、植物の生態を描いたドキュメンタリー映画のサウンド・トラック盤とのこと・・・
日本でもすぐに発売され、邦題は「シークレット・ライフ」
何といっても、~The Key Of Life以来ということで、自分も日本発売日に購入
尚、この時期ちょうどLed Zeppelin、Eagles、Fleetwood Mac・・・と、前作が大作でそれ以来3年ぶりくらいといったリリースが続き・・・
Stevie Wonderも然り・・・といった感じでした。
レコーディングは、1979年2月~4月
カリフォルニア州、アーバイン I.A.M. Studios、ここがメインで、他に・・・
カリフォルニア州、ハリウッド Crystal Recording Studios
カリフォルニア州、ニューポート・ビーチ Lyon Recording Studios
ペンシルベニア州、フィラデルフィア Sigma Sound Studios
カリフォルニア州、ハリウッド Motown Recording Studios
ルイジアナ州、ボガルーサ Sudio In The Country
当時としては、最新のPCM音源を使用した、デジタル・レコーディングです。
Stevie Wonder
全てのインストゥルメンタル、シンセサイザー、ヴォーカル、作曲、ほぼ全曲の作詞
それ以外では・・・
シンセサイザー、シーケンサー、プログラミングは・・・
Bill Wolfer、Clark Spangler、Gordon Bahary
コンピューター・ミュージック Melodianのテクニシャンは、Harry Mandell
ギターは、Ben Bridges、Michael Sembello、Rick Zunigar
ベースが、Nathan Wattsa、といったお馴染みのメンバー
曲によって、色々なミュージシャンが参加しています。・・・
エンジニアリング、ミキシング、アソシエイト・プロデュース、シンセサイザー・プログライングは、Gary Olazabal
その他のエンジニアリングは、Jay Mark
その他エンジニアリング、シンセサイザー・プログラミングは、John Fischbach
アシスタント・エンジニアリングは、Ann Bolling、Bob Harian、Charlie Brewer、Jim Dougherty、Laura Livingston、Lindy Griffin
マスタリングは、Stan Ricker
プロデュースは、勿論、Stevie Wonder
アルバム・ジャケット、アート・ディレクションは、John Cabalka
コーディネーターは、Keith Harris
アルバム・ジャケット・イラストレーションは、Margo Nathas
レイアウトは、Ginny Livingston
ライナーノーツ、アフリカのバンバラ語翻訳は、Abdoulaye Soumare
日本語翻訳は、Kanji Miura、Mary Ann Monkoski、Yoshi J.
尚、海外盤の初回ジャケットには、花の香りが付いていました。
レコード1枚目A面・・・ベース音を中心にフェイドイン・・・1曲目は・・・
Earth's Creation
前述のシンセサイザー等を多用したインストゥルメンタル・ナンバー
邦題は「大地の創造物」、重厚なフレーズのリフレインで文字通り、生あるものの生誕が表現されます。
鳥の囀り・・・そこから2曲目は・・・
The Furst Garden、邦題は「初めての庭園」
こちらもインストゥルメンタル・ナンバー
ハーモニカによる、このサントラのメイン・タイトルのメロディ・・・
後半は自然環境音、そして火山の爆発・・・そこから3曲目は・・・
Voyage To India、邦題は「インドへの旅」、インストゥルメンタル・ナンバー
先ずはストリングスでメロディアスな曲(Come Back As A Flower)が・・・
そして一転して、Ben Bridgesが奏でるシタール
軽快に響き、文字通り、インド音楽による旅、最後は波の音・・・
静まったところで、4曲目、ハーモニカ、ピアノ、ベースが入り・・・
Same Old Story、邦題は「果てしなき道程」
そう、ここで初めて、Stevieの歌、メロディアスなバラード調・・・
優しい説得力のある歌声、これには誰もが感動
この物語の導入部をStevieが紹介しているといったところでしょう。
後半、再びハーモニカ、心に染み入るものがあります。
また一転して、ノスタルジックなサウンドとなり、5曲目は・・・
Venus' Flytrap And The Bug、邦題は「食中花と虫」
Bug(恐らくハエ)の役で、声を変えて語っているのは、Stevie自身・・・
そして、最後はパクリと・・・食べられてしまい・・・
子供が「花が虫を食べた」と驚きの声、それを説明するStevie
何か暖かいものを感じます。・・・
また一転して6曲目は、何と琴のサウンド、重厚なストリングスが響いて・・・
Ai No, Sono、そう、日本語で「愛の園」
そして歌も日本語・・・日本人の子供たちの歌で・・・
「希望にあふれ、生きる喜び、幸わせに満ちて~」
歌詞は内ジャケットにも明記、まさに日本の唱歌のよう・・・
Stevieは「さくらさくら」にインスパイアされて書いたと思われます。
有名な話ですが、この大勢の子供たちの中に、Hikaru Nishidaと・・・
そう、当時7歳くらいの西田ひかるさんが参加しています。
尚、この翌年、西城秀樹さんが、日本で追詞を付けて、リリースしましたが・・・
前にも記した通り、自分は西城秀樹さん大好きですが、このことに関しては、単なる洋楽被れで邪道と思いました。(苦笑)
レコード1枚目B面、バックにStevieのIf It's Magicのオルゴール音が流れる中、子供を寝かしつけるおとぎ話()を話して・・・1曲目は・・・
Seasons、邦題は「四季」、ピアノ中心のインストゥルメンタル・ナンバー
続くように、軽快にエレクトリック・ピアノが響いて2曲目は・・・
Power Flowrer、Stevie、ここではファルセット気味に心地よい歌を
そして途中から、ハーモニカ登場、Stevieのハーモニカは唯一無二、絶品
最後は、"Flower Power~~"のコーラス・ハーモニーのリフレイン・・・
尚、作詞は、Michael Sembelloです。
ドリンクを注ぐ音から、男性の声、3曲目は・・・
Send One Your Love (Music)
そう、シングル曲「愛を贈れば」のインストゥルメンタル・ヴァージョン
ストリングスをバックに、ギターとピアノが中心
特にBen Bridgesによるアコースティック・ギターが心地よく響きます。・・・
ここでの登場人物の声は、映像を見なければ、わかり難いかもしれません。・・・
軽快なビートがスタートして、4曲目は・・・
Race Babbling、邦題は「生あるものの願い」
コンピューター・ミュージックを駆使したナンバー
Stevieはエフェクターを効かせた歌
サックスは、Hank Redd、トランペットは、Larry Gittensによるホーン
機械的なリズムをバックに効果的に加わります。
そして、途中加わる女性ヴォーカルは、Josie James
まさにこの当時、台頭してきたテクノ・ポップの先駆けといったナンバー
文字通り、命あるものの動きが表現され、ホーンのストップで曲も終わります。
レコード2枚目A面(C面)、チャイム音から軽快なリズムに・・・1曲目は・・・
Send One Your Love、「愛を贈れば」
Stevieの歌をバックアップすべく、終始重厚なコーラスも加えられています。
そして、後半はハーモニカ、4分の中身の濃い楽曲
そう、~The Key Of Life以来のStevieのニュー・シングル
全米No.4、全米R&Bチャート No.5、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.1、全英 No.52、オーストラリア No.52、カナダ No.7、ニュージーランド No.29、オランダ No.45・・・
まさに世界中が待ち望んだ新曲でした。・・・
2曲目、"La la la la~"とコーラスから、軽快に・・・
Outside My Window、邦題は「窓の外は愛の世界」
バックは、Michael Sembelloのアコースティック・ギター中心・・・
耳に残る印象的なメロディ・ライン・・・さすがStevie
アルバムから第2弾(国によっては第3弾)シングル・カット
全米No.52、全米R&Bチャート No.56、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.43、全英 No.52、カナダNo.77、隠れたヒット曲と言えるでしょう。
子供の声をブリッジに、ベースとギターが入ってきて、3曲目は・・・
Black Orchid、邦題は「黒の蘭」
Stevieが静かに歌い始める美しいバラード・ナンバー
サビの部分はパワフルに盛り上がります。
この曲の作詞は、Stevieとの共作ではお馴染みのYvonne Wright
国によって、アルバムから第2弾シングルとなり、全英 No.63でした。
Stevieの歌が3曲続いたところで、4曲目はオルガンの音に導かれるように・・・
Ecclesiastes、インストゥルメンタル・ナンバーで邦題は「ソロモンの言葉」
オルガンにストリングスも加わり重厚なムードに・・・心洗われる気分になります。
水の流れる音をブリッジに、弦楽器(コラ)が響き、5曲目は・・・
Kesse Ye Lolo De Ye、邦題は「ひとつぶの種子」
Stevieは、シェケレ(アフリカの打楽器)を叩き、歌もアフリカの民族音楽
ジェンベ(打楽器)、コンガ、ベル、ドラムス、ヴォーカルが、Ibrahim Camara
コラ、ヴォーカルが、Lamine Konte
それ以外では、Abdoulaye Soumare、Josie James、Kathy Collier、Susaye Greeneが歌で参加
アフリカ音楽をバックにコーラスのリフレインを聴かせます。
一転して、ピアノが響き、女性の歌声、6曲目は・・・
Come Back As A Flower、そう、ここでの歌は、Syreeta Wright
作詞も彼女自身、邦題は「花の精」
かつてStevieとは夫婦だけあって息の合ったところを聴かせる・・・
メロディアスな美しいナンバー
前述の通り、本アルバムの他の曲でもこのメロディ・ラインは出てきます。
尚、この歌が終わってから、少し静寂の時間があるようです。・・・
レコード2枚目B面(D面)、1曲目は、コンサート会場(疑似ライヴ)から・・・
アナウンスで、Stevie Wonderが紹介され・・・
A Seed's A Star / Tree Medley
邦題は「メドレー: ひとつぶの種子~大いなる樹」
ここでのメンバーは・・・
ベースは、Nathan Watts、ギターは、Michael Sembello、Ben Bridges
エレクトロニック・ドラムスは、Dennis Davis、フェンダー・ローズは、Ron Kersey
コンガ、ボンゴ、バッキング・ヴォーカルはEarl DeRouen、ベルはJoe Johnson
ヴォーカルは、Stevie Wonder、Tata Vega
バッキング・ヴォーカルとしては、Alexandra Brown、Angela Winbush、Isaiah Sanders, Jr.、Marva Holcolm、Rick Zunigar、Shirley Brewer
この曲の作詞は、Stephanie Andrews
ギターの音から、始まるアップ・テンポのロック・ナンバーと言えるでしょう。・・・
Stevieの歌には熱いものがあり、この臨場感あるムード
また"Tree"の部分で、Stevie はエフェクターを通した歌
再びメインの部分に戻り、大盛り上がりでフィナーレ
拍手喝采となっています。
入れ替わるように、鳩時計のアラームから、2曲目は、ピアノから・・・
The Secret Life Of Plants、そう、タイトル曲、「シークレット・ライフ」
ギター、ベースというシンプルなバックにピアノ弾き語り・・・
そのような感じで、じっくり聴かせる悲し気なメロディ・ラインの佳曲
前述の通り、メイン・テーマであるこのメロディ・ラインはその他の曲の中にも出てきていました。・・・
静まったところで、ピアノでフェイドイン・・・3曲目は・・・
Tree、邦題は「大いなる樹」、一部、前々曲でも歌われていますが・・・
こちらはインストゥルメンタル・ナンバー
心地よい楽曲ですが、コンピューター・ミュージックの活用で、大きな樹が壮大に育っていく・・・
そんな光景が目に浮かんでくるようです。・・・
前曲から続いて、古き映画のテーマ曲のような楽曲に・・・4曲目は・・・
Finale、インストゥルメンタル・ナンバー
Earth's Creation~Send One Your Love~Come Back As A Flower~Outside My Window~A Seed's A Star / Tree Medley~Ai No, Sono~The Secret Life Of Plantsとメドレー・・・
最後は、タイトル曲の部分が繰り返され、ドラマチックにフィナーレとなります。・・・
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位No.4
全米R&Bアルバム・チャートでも No.4、その他では・・・
全英 No.8、オーストラリア No.24、カナダ No.25、西ドイツ No.33、オランダ No.12、ニュージーランド No.16、ノルウェー No.8、スウェーデン No.13、世界中でベスト・セラー
全英、カナダでは、ゴールド・ディスク獲得
全米では、Motownと全米レコード協会との関係から、前に登場したCommodores同様、この年の認定がありませんが、かなりのセールスを記録したと思われます。
このアルバム、同名ドキュメンタリー映画、のサウンドトラックということですが・・・
ロード・ショー公開等されていないこともあり、自分自身、40年以上過ぎても、未だに見たことがありません。
これら素晴らしい楽曲からは、勿論、イメージが描かれる訳ですが・・・
Stevie Wonder自身、盲目・・・
そんなStevieの描いたイメージと同じようなものであれば、嬉しく思いますし・・・
そうでなくても、想像力を掻き立てるということで、それも素晴らしいことと思っています。
自分自身、Fulfillingness' First Finaleと、Songs In The Key Of Lifeは、聴き込んでいたものの、それ程、Stevie Wonderに詳しい人では、ありませんでしたが、このアルバムには、特別な思いを感じています。
映画が一般に知られていないし、さらには、'80年代にポピュラーなヒット曲を多く放ったStevieだけに、このアルバムに関しては、陰に隠れたような感じでもありますが・・・
自分としては、Innervisions、~First Finale、~The Key Of Life、そして~Journey Through The Secret Of Plants
この4作品が、天才Stevie Wonderの金字塔
そのように確信している次第です。・・・