1978年のアルバム(その84 Bursting Out / Jethro Tull)
1978年も多くのライヴ・アルバムがリリース
Peter Framptonの成功以降、その傾向は続いていたのですが・・・
凄いと思えるものは、少なくなってきたように思います。・・・
そのような中、これは名盤と言えるライヴ・アルバムは、少し前に登場した・・・
Little Featの Waiting For Columbusとか、なのですが・・・
遂に登場したのが・・・
Jethro Tull
ライヴ・パフォーマンスには定評がありましたが、公式フル・ライヴ・アルバムは、まだ出ておらず・・・
さらにクラシカルな要素を含む長めの演奏を行なうプログレッシヴ・ロック系のバンドの多くは、素晴らしいライヴ・アルバムを世に送り出しています。
Yes然り、EL&P然り、Genesis然り・・・
そして、勿論、Jethro Tullも・・・タイトルは・・・
Bursting Out
待望のライヴ・アルバムです。
ライヴの方は、1978年5月~6月
欧州での Heavy Horses Tour
La Maison Rougeにて収録
個々の楽曲の収録場所の詳細は記されていないようです。
日本でもすぐに発売され、タイトルはシンプルに・・・
「ジェスロ・タル・ライヴ」でした。・・・
アルバム ・ジャケット・・・
スリーブ・デザインは、Ramey Communications
写真撮影は、Brian Cooke、Ruan O'Lochlainn
ライナー・ノーツは、Ian Anderson自身によるものです。
Jethro Tullメンバーは・・・
Ian Andersonヴォーカル、フルート、アコースティック・ギター
Martin Barreエレクトリック・ギター、マンドリン、マリンバ、バッキング・ヴォーカル
John Glascockベース、エレクトリック・ギター、バッキング・ヴォーカル
John Evanピアノ、オルガン、シンセサイザー、アコーディオン、バッキング・ヴォーカル
David Palmerオルガン、シンセサイザー、キーボード、バッキング・ヴォーカル
Berriemore Barlowドラムス、パーカッション、グロッケンシュピール、フルート、バッキング・ヴォーカル
バンド史上ベスト・メンバーと言える6人
エンジニアリングは、Christopher Amson、Pavel Kubes、Robin Black
アレンジは、Ian Anderson
そして、プロデュースは、勿論、Ian Anderson
インストゥルメンタル・ナンバー等以外全曲、Ian Andersonの作品です。
レコード1枚目A面・・・
スイスのプロモーター、Claude Nobsの紹介で、ライヴはスタート
(この部分は、1978年5月28日、ベルン公演で収録とのこと・・・)
Ianのフルートと Martinのギターのかけ合いから・・・
No Lullabyでスタート、アルバム Heavy Horsesから・・・
ギター、ベースに導かれるように静かに歌う、Ian、そしてフルート
ドラムスのビートが刻まれ、アップ・テンポに、ギターもフィーチャー
ここでは短縮ヴァージョン、Martinのハードなギターが続き・・・
Sweet Dream、1969年のシングル
ハードなロックの中にもフルートが栄え、そしてMartinのギター
この曲の後、Ianが開口、そしてメンバー紹介・・・
「ギターのMartinは力強いマリンバ、ベースのJohn Glaslockは、6弦ギターも弾くよ・・・ピアノは古い友達、John Evan、ドラムスのBarriemore Barlowは青で決めているスポーツ・マン、Dacid Palmerは英国紳士・・・」
そんな風に紹介し、アコースティック・ギターをバックに・・・
Skating Away On The Thin Ice Of New Day、邦題「スケーティング・アウェイ」
アルバム War Childから、シングル・リリースもされていました。・・・
アコーディオン、その他、パーカッションも入り、軽快で楽しいナンバー
「今夜は若いアメリカ人もいるようだね・・・英国の光景を思わせる曲だよ・・・」
Davidがオルガンを、そしてアコースティック・ギターでIanが歌う・・・
Jack In The Green、Songs From The Woodから、邦題は「緑のジャック」
トラディショナル・フォーク調で、心地よくシンプルに響き、続いて・・・
「スコットランドの詩を元に、一匹のはつかねずみ、感謝の気持ちを歌った・・・」
そう言って、やはりフォーク調に・・・
One Brown Mouse、アルバム Heavy Horsesから・・・
邦題は「茶色のはつかねずみ」
シンセサイザーで作られたと思われる色々な楽器の音が挿入され・・・
最後はアコースティック・ギターでエンディングとなります。・・・
レコード1枚目B面、「2枚目のアルバムから、古い曲だよ・・・」
A New Day Yesterday、その通り、アルバム Stand Upから・・・
ブルース・ロック調ですが、Ianの歌、、フルート
そしてこのような曲では、Martinのギターが栄えます。
そして、Ianのフルート・ソロへ・・・
Flute Solo Improvisation、熱いフルート・ソロから、曲は・・・
God Rest Ye Merry Gentlemen
お馴染みのクリスマス・キャロルだけに客席も手拍子、そして・・・
Bouree
言うまでもなく、Jethro Tullが定番として欧州諸国で大ヒット
ここでは大歓声が起こります。
邦題は「フルート・ソロ (メリー・ジェントルメン~ブーレ)」
Jethro Tullのライヴの見せ場の1つでしょう。
フルートにかけ声も加わりエンディング、そして・・・Ianの歌から・・・
Songs From The Wood、同名アルバムから・・・邦題は「大いなる森」
トラディショナル・フォーク調ですが、徐々に盛り上がっていきます。
「この曲を覚えているよね」
アコースティック・ギターのイントロで、場内絶叫、勿論・・・
Thick As A Brick、彼らの最大のヒット作である同名アルバムから・・・
作者は、Gerald Bostock(Ian Andersonの変名)
邦題は「ジェラルドの汚れなき世界」
アコースティック・サウンドから、エレクトリック・ギターをフィーチャーしたアップ・テンポなロック
続いてハードにドラムスのビートが刻まれ、フルート・ソロ
オルガンをバックに語るように歌うIan、そしてハードなMartinのソロに
オルガンが入ってきて、やや軽快なタッチで歌うIan、フルート・ソロも
また曲調が変わり、アコースティック・ギター・サウンドへ・・・
"Thick As A..."
そして観客が、"Brick"
やや短縮版ですが、お決まりのエンディングとなりました。・・・
レコード2枚目A面(C面)・・・今度は、Ian AndersonによるMC・・・
ベースのJohn Glaslockのことを面白く言って、「女性に捧げるよ・・・」と・・・
Hunting Girl、アルバム Songs From The Woodから、邦題は「女狩人」
フルートとギターによるメインのフレーズが印象的、そこで Ian
ややアップ・テンポの中、フルート、ギターも交互にフィーチャーされます。
そして、Ianが、自分のことのようにコミカルに紹介して・・・
Too Old To Rock 'n' Roll: Too Young To Die、同名アルバムから・・・
「ロックンロールにゃ年だけど死ぬにはチョイと若すぎる」
元々、コンセプト・アルバムのテーマ曲だけに、メロディアスな部分から、アップ・テンポへとドラマチックに曲も変化、それに合わせて歌うIan
尚、シングルとしてもリリースされていました。
一転して、ハードなロック・ギターのイントロ・・・
Countdrum、Martin Barre、Barriemore Barlowの作品
ハードなロック・インストゥルメンタル
Martinのプレイは、Jeff Beck等も思わせ・・・
Barriemore Barlowのドラム・ソロ
パワフルなロック・サウンドを満喫できます。・・・
静まったところへ、キーボード音、アコースティック・ギター、Ian歌い始める・・・
Minstrel In The Gallery、同名アルバムから・・・「天井桟敷の吟遊詩人」
Martinのギターで一変、Johnがベースを刻み・・・
今度はIanがパワフルに歌う、ロック・ナンバーに
そして、ここでもフルートが入って締められます。・・・
尚、シングルとしてもリリースされ、全米No.79でした。・・・
レコード2枚目B面(D面)・・・
Ianがフルートで軽くウォーミング・アップをして、ハードなリズムへ・・・
Cross-Eyed Mary、アルバム Aqualungから・・・
Ianの歌もパワフルに、フルート、そしてMartinのギターも
彼らの曲で人気曲で、このライヴでの観客の盛り上がり方からも伺えます。
Iron Maidenがカバーしたことでも有名です。
Ianは、"Bye Bye..."とここで、本編は終了のよう、そしてアンコール()は・・・
Martinのギターが響いて、Barriemoreがリズムを刻み・・・
Quatrain、Martin Barreの作品
それぞれのメンバーのプレイもフィーチャーしたインストゥルメンタル・ナンバー
・・・ですが、Martinのギターが奏でるフレーズ
この変わり目のカッコよさ
"Sitting On A Park Bench~"と、Ian、そう・・・
Aqualung、言うまでもなく同名アルバムのタイトル曲
ハードにパワフルに始まり、そしてアコースティック・ギターで叙情的に・・・
そのままアップ・テンポに・・・Martinのギターがフィーチャーされ・・・
再び静かになり、そしてエレクトリック・サウンドに・・・
ドラムスもパワフルに、"Aqualung"、ドラマチックにフィナーレです。
満場の2度目のアンコール()の拍手の中、John Evanのピアノ・・・
ホイッスル音が入り、軽快に、そこへMartinのギター・・・曲の方は・・・
Locomotive Breath、パワフルに歌う Ian
アルバム Aqualungから、これも人気曲、アンコールの定番になっています。
ハードな演奏の中で、Ianのフルートも熱く、場内も最高潮へ
邦題は「蒸気機関車のあえぎ(ロコモーティヴ・ブレス)」
1976年にシングルで、全米No.62となりました。
エンディングと思ったところで曲は続いて・・・
The Dambusters Marchへ・・・そう、英国の作曲家 Eric Coatsの作品
Martinのギターを中心に、エンディング・テーマと思いきや、ハードなロック・インストゥルメンタルに・・・そして・・・Ian
なんと、Aqualungのワン・フレーズを歌い・・・
"It's Only..."・・・"Me"ではなく、"Could Be Anyone"と言ってフィナーレ
大歓声の中、ユーモアのセンスの塊のような Ian Andersonならではの幕切れでした。
尚、CDの時代となり、最初は、Sweet Dream、Countdrum、Quatrainの3曲がカットされ、シングルCDとしてリリースされていましたが・・・
2004年のリマスター盤からは、LPレコードと同じ2枚組のフル・アルバムに
そして、1枚目と2枚目の最初のMC部分が、それぞれ、Introduction By Claude Nobs、Introduction By Ian Andersonとして、独立してチャプターが区切られるようになりました。・・・
ここに登場させた通り、このライヴ・アルバム
全米最高位No.21、全英No.17
そして全米では、ゴールド・ディスクに輝きました。
実は、少し前に登場させたアルバム Heavy Horsesは、そこでも記した通り、あまり聴いていないアルバムだったのですが、このライヴ・アルバムは、Heavy Horses Tourからのものであり、このアルバムを登場させる以上、やはり Heavy Horsesは外せないと思い・・・投稿させていただいた次第です。
Jethro Tullの来日公演
ようやく見に行けたのは、2005年
この時は、渋谷公会堂で、2公演見に行きました。
(うち2公演目は、Aqualung全曲再演でした。・・・)
1989年のグラミー賞で、新設されたヘヴィー・メタル部門で、本命視されていたMetallicaでなく、Jethro Tullが受賞
当時、そのことで色々言われたのですが、この来日公演で、Ian Andersonはその時のことを冗談混じりに「Metallicaじゃなかったんだ・・・」とか話していました。
しかし、このJethro Tullでの Martin Barreのプレイ
これは、若手ヘヴィメタル・バンドなんか、足元にも及ばない
そんなハードなプレイを聴かせてくれていました。
もっとも、AqualungでのMartinのギターは、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル・ロックのお手本のようなプレイと言えるでしょう。
2019年、インタビューで体調不良の話をしていた Ian Anderson
無理はできないでしょうが、また元気な姿を見せてほしいと思っています。
1978年にリリースされたロックのライヴ・アルバムで間違いなくベスト3に入る
それが、この Bursting Outと思っています。
(1978年のアルバム その81 Heavy Horsesに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12625833530.html
(1977年のアルバム その52 Songs From The Woodに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12583219211.html
(1975年のアルバム その62 War Childに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12354392466.html
(2013年4月 Ian Anderson来日公演での日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-11514385892.html