1976年のアルバム(その99 33 1/3 / George Harrison)
1976年も終わりに近づき・・・
そして、登場するのが、ベスト盤に続いて・・・
George Harrison
1976年、ちょうど自分が洋楽解禁になった頃、音楽雑誌にTULIPの財津和夫さん
が、George
に会ったという記事が載っていて、新しい動きに意欲的なGeorge
の様子も伺えたのですが・・・
この夏に病で倒れ入院、A&MからDark Horseへの訴訟、さらには例の、My Sweet Lordの「盗作問題」と、この年は、George
にとって厄年
・・・
そんなことも思わせたのですが・・・
Dark Horseレーベルは、A&M傘下から、Warner Bros.傘下へ移籍
その1976年年末に、全て吹っ切れたかのように、Dark Horseレコードより第1弾としてリリースされたのが・・・
Thirty Three & 1/3
おかしなタイトルのようですが、33 1/3とは、LPレコードの回転数と、レコーディング当時の自分の年齢(33歳4ヶ月)をかけたものです。
1976年5月24日から9月13日、George所有するFriar Park Studio
にてレコーディング
George Harrisonは、ギター
、ヴォーカル
は勿論、シンセサイザー、パーカッションとマルチ・プレイヤーぶり・・・
参加ミュージシャンは・・・
ベースは1974年のツアーでもお馴染み、Willie Weeks
ドラムスは、元Eric Burdon Band
のAlvin Taylor
キーボードもGeorgeのアルバム
ではお馴染み、Gary Wright
マリンバとして、Emil Richards
ピアノ、オルガンとして、Richard Tee
サックス、フルート、リリコンで、1974年のツアーでもお馴染みの、Tom Scott
エレクトリック・ピアノ、クラヴィネットは、当時はThe Attitudesのメンバーだった、David Foster
そして、ピアノ、オルガン、シンセサイザーとして、Georgeの盟友といえる、Billy Preston
まさにオールスター・キャスト
アルバム・デザインと写真は、Bob Cato
アルバム全10曲中1曲を除いて、George Harrisonの作詞作曲
プロデュースは、George Harrison
アシスタント・プロデューサーとして、Tom Scottも名を連ねています。・・・
そして、後にGeorgeと結婚するDark Horseのスタッフ、Olivia Ariasさんも、George
の公私に渡るパートナーとして重要な役割を果たしています。
A面・・・ドラムスとファンキーなスラップ・ベース
そこにクラヴィネットが入ってきて、スライド・ギター
そして、Georgeが歌うのは・・・
Woman Don't Cry For Me
ファンキーなビートのこのナンバーでスタート
実は、All Things Must Passの時に書かれたもので、数年の時を経て、David Foster
達によって、この時の最新のサウンドに
邦題は「僕のために泣かないで」
2曲目、オルガンと美しいギターのイントロから、Dear One
優しいGeorgeの歌で、リラックスしたムードに・・・
以降、Georgeにはこのようなナンバーも多い気がします。
3曲目、Billy Prestonのオルガンにリードされ、ギターのピッキング、ピアノが加わり、Beautiful Girl
そう、Oliviaさんのことを歌った、ミディアム・テンポのナンバーです。
4曲目、This Song
例のMy Sweet Lordの「盗作問題」に対してのアンサー・ソング
・・・
Billy Prestonのピアノも軽快な明るい曲調に・・・
アルバムから第1弾シングルとしてリリースされ、全米第25位
Tom Scottのサックス、後半にはGeorge
のギター
もフィーチャー
裁判の様子を茶化したプロモーション・ビデオも印象的でした。・・・
5曲目、Geogeらしいギターの音で始まる、See Yourself
フォーク・ロック調のナンバー
この曲も以前に書かれたようですが、ここでは当時の最新のサウンドに生まれ変わっているでしょう。
B面、ピアノ中心でカウベルも入ったビートの効いたイントロから・・・
It's What You Value
ホーン・セクションも、マリンバも効果的に挿入され、ポップに歌う、George
ここでも、David Fosterの力量を感じます。・・・
シングル・ヒット向き
アルバムから第3弾シングルとなりましたが・・・あまりヒットしませんでした。
2曲目、オルガンに、Georgeらしいギターが絡んで・・・
True Love
そう、Bing Crosby & Grace Kellyであまりにも有名なCole Porter
のスタンダード・ナンバー
ですが、ここではすっかりGeorge Harrison
スタイルに
イギリスでは、2枚目のシングルとなりました。・・・
多くの人がカバーしていますが、ロック系では、Elton John & Kiki Deeで1993年に全英チャート第2位まで上がるヒットとなっています。
3曲目、オルガンをフィーチャーしたイントロがフェイド・インしてきて、ホーンとギター、Pure Smokey
前作のOoh Baby (You Know That I Love You)
に続いて、George
が敬愛する、Somokey Robinson
へのトリビュート・ナンバー
歌詞の中に、You've Really Got A Hold On Me~とBeatles
時代にJohn
とカバーしていたSmokey Robinson
の曲名も登場
Georgeの優しい歌で心地よい気分になります。・・・
4曲目、一転、シンセサイザーとスライド・ギター
ポップというか、楽しい音作りで始まる、Crackerbox Palace
お伽話のような世界、Monty PysonによるGeorgeのFriar Parkの豪邸で撮影されたプロモーション・ビデオも印象的
アメリカでは2枚目のシングルとしてカットされ、全米第19位
アルバムから最大のヒット・シングルとなりました。
邦題は「人生の夜明け」
何かGeorgeも色々なものが吹っ切れた
そんな感じもする楽しいナンバーです。
アルバム最後は、エレクトリック・ピアノの美しい音色から・・・
Learning How To Love You
じっくり聴かせるバラード・ナンバー
邦題は「愛のてだて」
硬質のギター・ソロも印象的
バラエティに富んだ内容のアルバムも最後は静かにエンディングとなりました。
尚、2004年に再発売された際には、Tears Of The Worldが、ボーナス・トラックとして追加収録されていました。・・・
1976年、波乱万丈であったGeorge Harrisonのようですが、それが全て吹っ切れた
そういったこともあったのでしょうか・・・
ファンにとっては、前2作で不完全燃焼気味に感じていた不満を払拭する
そんな起死回生の意欲作と、思えました。
しかし・・・
全米アルバム・チャートでは第11位と、なんとAll Things Must Pass以降のアルバム
で初めて、TOP10入りを逃してしまいました。・・・
1975年にAppleレコードが無くなってしまい、前述の通り、1976年は元Beatlesのメンバーは全く再スタートの年となったのです。
PaulはWings
を率いて一足先に独自の活動を開始していましたが・・・
Johnは、Sean
誕生を機に活動停止・・・
Ringoはソロとして、活動を開始したものの、やはりそれまでの元Beatles
という枠の中にいた時とは状況は違っていたと思います。・・・
そして、それは結局、解散後、1番成功していた、Georgeも似たようなこと・・・
ここでは、元Beatlesでなく、Dark HorseのGeorge Harrison
としてのスタートだったのですね。
尚、余談ですが、この年、Dark Horseレコードから出ていた男性デュオ、Splinterが、Lonely Man
という曲を日本語版でもリリース
その日本語詞を書いたのが、中村雅俊さん
当時、人気番組「俺たちの旅」で、大人気の雅俊さんですが、その縁で、GeorgeのFriar Parkの豪邸に招待されたとのこと
未だに雅俊さんは、その話をよくされています。・・・
(1976年のアルバム その98 The Best Of George Harrisonに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12464768971.html
(1975年のアルバム その52 Extra Textureに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12350274097.html
(1975年のアルバム その24 Dark Horseに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12324142399.html
このGeroge HarrisonのThity Three & One Third
日本発売は、1976年12月、さらにシングルCrackerbox Palaceがヒットしたのが、1977年初頭ということで、1976年か1977年か迷ったのですが・・・
やはり1976年年末を飾るに相応しいアルバムと思ったので、1976年のアルバム・シリーズに入れさせていただきました。
33×3 = 99
ちょうど99枚目です。