1975年のアルバム(その52 Extra Texture / George Harrison)
元Beatlesのメンバーの中で解散後、1番成功していたGeorge Harrison
・・・でしたが、アルバムDark Horseが今ひとつ・・・
ということで、1975年を迎えました。
(それでも全米アルバム・チャート第4位)
(1975年のアルバム その24 Dark Horseに関する日記です)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12324142399.html
その通り、Dark Horseの頃は色々波乱万丈だったのですが・・・
一転、起死回生ということで、アルバムをレコーディングしているというニュースが伝わってきました。
そして、新しくDark Horseレコードを設立したGeorgeにとって、Appleレコードから最後のアルバムということでもありました。
そんな1975年の夏が終わった頃でしょうか。
Georgeの新曲がラジオで紹介されました。
タイトルはズバリ・・・
You
このイントロ
彼の代表曲What Is Lifeを思わせるポップなメロディ・ライン
これはいいぞと思いました。
・・・で、邦題が「二人はアイ・ラブ・ユー」
・・・えっ
Youだけなら、同名異曲も多いので、このような印象的な邦題にしなけfればならない・・・そういうことだったのでしょうか。
そしてアルバムも完成
タイトルはExtra Texture (Read All About It)
Georgeとしてはなんと1年も経たないうちにアルバム
リリースしたわけで・・・
まさにタイトル通り「号外」だったのかもしれません。
でも日本語タイトルが・・・
「ジョージ・ハリスン帝国」
まあインパクトはありますが(苦笑)それにしても・・・といった感じですね。・・・
アルバム・プロデュースは、勿論、George Harrison
そして今回は全曲Georgeの作品、参加ミュージシャンは凄い顔ぶれ
ドラムスのJim Keltner、ベースのPaul Stallworth
、そして当時はまだ若かった今をときめくDavid Foster
は多くの曲に参加しています。
(尚、彼ら3人は、Danny KortchmarとAttitudes
というバンドを組んで、George
のDark Horseレコードからアルバム
をリリースしていました。・・・)
その他、お馴染みのKlaus Voormann、Gary Wright
等、まさにGeorge
らしいオールスター・キャスト
です。
A面1曲目、カウントからそのYouでスタート
本来はRonnie Spectorに書いた作品、自らリリース
ギターに合わせて、Jim Hornのサックスもフィーチャー
Carl Radle、Jim Gordon
というDerek And The Dominos
のリズム・セクション
さらにピアノにはLeon Russell
そして、キーボードとシンセサイザーがDavid Foster
物凄い顔ぶれ・・・但しさほどヒットしませんでした。
2曲目は重厚なムードでGeorgeらしいミディアム・テンポのThe Answer's At The End
ここでもDavid Fosterのピアノが印象的
後半にはGeorgeのギター・ソロも出てきます。
3曲目は・・・This Guitar (Can't Keep From Crying)
Beatles時代のGeorge
の楽曲の人気TOP3の1曲、While My Guitar Gently Weeps
を彷彿させるナンバー
そのようなこともあって、アルバム・リリース時は1番の話題曲に
「ギターは泣いている」の邦題として第2弾シングルとしてリリース
Eric Claptonでなく、ギターで参加しているのはJesse Ed Davis
但し悪く言えば二番煎じというか・・・While My Guitar~のようなテンションは感じませんでした。(苦笑)
ここでもDavid Fosterのストリングス・アレンジメントが光っています。
続いて、Ooh Baby (You Know That I Love You)
そう、タイトル通り、Georgeが敬愛するSmokey Robinson
へのオマージュと言えるナンバー
Georgeの優しい歌い方が印象的
Chuck FindleyとTom Scott
がブラスで参加しています。
そしてDavid Fosterの奏でる悲しげなピアノのイントロから、World Of Stone
マイナー進行ですが、途中、テンポが変わるところはBeatles時代を思わせます。・・・後半でGeorge
のギターも登場します。
B面に行くと、先ずYouの短縮版といえるインストゥルメンタル、A Bit More Of You
でスタート
続いてミディアム・テンポのバラード、Can't Stop Thinking About You
やはりDavid Fosterの存在が光ります。
そして、Tired Of Midnight Blue
やや異質な感じもしますが、GeorgeのギターといいBeatles
時代を思わせます。
ここでのピアノはNicky Hopkins
です。
続いて重厚なイントロからDavid Fosterのピアノが印象的なGrey Clouds Lies
そして、アルバムの最後は友人Legs Larry Smithに捧げた、His Name Is Legs (Ladies And Gentlemen)
ここでは盟友Billy Preston、そしてサックスにTom Scott
、ベース、Willie Weeks
、ドラムス、Andy Newmark
・・・とどちらかといえば前作のメンバーが参加しています。
そのLegs Larry Smithもコーラスで参加
軽快に賑やかなナンバーでアルバムはエンディングとなります。
・・・ということで、このアルバム
豪華なミュージシャンをバックに、Georgeの歌も活き活きしていて、前作Dark Horse
への不満も払拭したアルバム
そう思いました。・・・
ただその割には全米アルバムチャートでは何とかTOP10に入ったくらい・・・
楽曲もThis Guitar~が1番目立つように、完成度が高いものの、もう一つインパクトが弱いような気もします。
確かこのアルバムに合わせたプロモーションもあまり行っていなかった気もしますし、Georgeは当時、既に次の方向に向かってのでは
と思います。・・・
そんな時に、例の「My Sweet LordはHe's So Fine
の盗作
・・・」といったあの一件が出てくるのですよね。
さてこのアルバム
自分として1番注目しているのがDavid Fosterの存在
既にSkylarkのメンバーとして活躍していた彼ですが、ここでの彼の仕事は際立ったものがあります。
彼は元々Beatlesによって多大な影響を受け、この世界に入った人だけに、そのBeatles
の一員であったGeorge
とプレイできること
これは本当に感動的で、彼にとって一世一代の出来事だったのでしょう。
ポピュラー音楽界の重鎮であるDavid Fosterの原点はここにある
そう思っています。
さてアルバムExtra Texture~
意欲作であり、一方でAppleとの決別で作らなければなかったアルバム
それを示すかのように、LPレコードの中央のレーベルは、リンゴの芯だけになっていました。・・・
尚、今回は1975年の「ジョージ・ハリスン帝国(Extra Texture (Read All About It))」の周辺についてのみ記させていただきました。・・・