1975年のアルバム(その33 Tommy / Original Soundtrack)
1975年といえば、まだ洋楽に興味を持ってから、2,3年でロックのこともまだまだこれから・・・
そんな時期でしたが・・・The Whoが1969年に発表したロック・オペラTommy
が映画化された
・・・
そんなニュースが話題、自分も大いに好奇心を抱きました。・・・
主演はThe WhoのRoger Daltrey
ですが・・・
何といっても、Eric Clapton、Elton John
ロックのスーパー・スターが出演していることが超話題に
さらにはAnn Margret、Oliver Reed、Jack Nicholsonといった大物映画スターが出演
監督がKen Russell
ということで、決してB級ロック映画ではなく、ロードショー公開の大作なのですが・・・
当時、日本公開の予定はない・・・とのこと・・・
雑誌に映画のことが載ったり、また音楽の方は、日本でもサウンドトラック盤がこの年の5月に発売されて、ラジオでもオンエアされ・・・
「見たいなぁ・・・」そう、思っていました。・・・
そんな時、中学のクラスメイトの1人が・・・
「Tommy買ったぞ
・・・」
そう言ってきました。
その友人は、どちらかといえば、クラシック・ファン
ロックに関しては「ヤカマシイもの」
そう言っていて、Carpentersは大好きな人でした。
その彼が・・・
因みにこの2年くらい前に、Jesus Christ Superstarに大いに感銘を受け、それに近いものを追い求めていた人でした。・・・
(因みに彼はQueenには関心を持ち始めていたようでした。・・・)
しかし、中学3年ということで、受験勉強に専念しなければいけない時期
ウチでもしっかり聴けないということだったので、それからしばらく経った頃、その彼が・・・
Tommy / Original Soundtrack Recording
この2枚組LPレコードを貸してくれたのでした。・・・
尚、この時点で、自分はThe WhoのTommy
はまだ持っていませんでした。・・・
(余談ですが、その友人は自分の薦めで、高校入試が終わった後、Quadrophenia(四重人格)を買っていました。(笑))
A面に針を下ろすと・・・インストゥルメンタルPrologue - 1945でスタート
(The WhoのTommy
での組曲Overture
ではありません・・・)
そしてナレーター役でもある音楽監督Pete Townshendが語るように歌う、Captain Walker / It's A Boy
Ann-Margret演じるTommyの母親Noraの新しい恋人Frankを演じるOliver Reed
が歌う、Bernie's Holiday Camp
は新たに加えられた曲、幼きTommyの歌と、Ann-Margret
の歌も入ってきます。・・・
1951 / What about the Boy?
オリジナルでは1921でしたが、第二次世界大戦時という設定だったので、1951
に・・・ここではBad Company
のMick Ralphs
のギター・ソロがドラマチック
このNoraとFrankの濡れ場に、Noraの夫Captain Walkerが戻ってきて・・・
彼は殺されてしまう・・・(オリジナルの話は愛人の方が殺されるのですが・・・)
そして、それを見ていたTommyに、NoraとFrankは・・・
「お前は何も見ていなかったんだ・・・」
そのショックでTommyは三重苦に・・・考えてみればひどい話ですね。・・・(苦笑)
ここでAmazing Journeyへ、歌うはナレーター役のPete
シンセサイザーも多用したロック・ナンバーですが、あのオリジナルのようなKeith Moonのドラムスは入っていません。(苦笑)
曲はオリジナルでは、ハードなロックだったChristmas
ここで少年の歌声で初めて、See Me, Feel Me~とドラマチックに出てきます。
オリジナルとは違えど、Oliver ReedとAnn-Margret
の歌でドラマチックな構成になっています。
(ここからTommy役はRoger Daltreyに・・・)
Tommyが連れて行かれる怪しげな伝道師役がEric Clapton
歌うは、Eyesight To The Blind
Sony Boy Williamsonのブルース・ナンバーですが、オリジナルにもThe Hawker
として入っていただけに、まさにEric Clapton
にはうってつけ
さらにECはカムバックしたものの、この時期はレイドバックということで、あまりギターをフィーチャーしていなかっただけにこれには嬉しく思った人も多かったでしょう。
レコードでは1枚目のB面・・・Tina TurnerのThe Acid Queen
まさに彼女のイメージ
ここでのギターはRonnie Wood、そしてドラムスは当時はFaces
での仲間であるKenny Jones
尚、このアルバムの楽曲では何曲かでドラムスを叩いているのですが・・・
とはいえ、この4年くらい後に、The Whoに入ることになるとは・・・
当時は想像もしなかったでしょう。
Do You Think It's Alright? (1)に続いて、Paul Nicholas
の歌う、Cousin Kevin
、Tommyを苛めて弄ぶ従兄弟ですが、本来はJohn Entwistle
の役
尚、Paul Nicholasは1977年にHeaven On The 7th Floor
という世界的な大ヒットを飛ばしますが、この映画の影響もあるかもしれません。
Do You Think It's Alright?(2)に続いて、Fiddle About
こちらはKeith Moon
彼が演じるUncle Ernieまさに彼が地でやっているといった感じ
どことなく志村けんさんを思わせるところもありました。・・・
Do You Think It's Alright?(3)今度はやや軽快に・・・そして、Sparks
オリジナルよりシンプルな感じ・・・
「Tommyがピンボールで勝ち進んでいる」というニュースのExtra, Extra, Extra
歌うはSimon Townshend
Peteの弟で、その後はWho
のサポート・メンバーとしてお馴染みですね。
そして・・・
重厚なコーラスから・・・
Pinball Wizard
当時は超スーパースター、Elton John
アルバムの中では勿論、最大の目玉
劇中では、Whoのメンバーがプレイしていますが、実際はNigel Olsson
たちElton John Band
のメンバー
最後にThe WhoのI Can't Explain
のフレーズが出てきて終わるのもイカしていると思います。
レコード2枚目、A面はAnn-Margretが色っぽく歌う、Champagne
これも映画のために新たに書かれたナンバーです。
シンプルなThere's A Doctorに続いて・・・
Go To The Mirror
Tommyの中の代表曲の1つですが、歌うは名優Jack Nicholson
キーを変えて、というか彼の歌いやすいように歌っているので、最初別のうたかと思いました。(笑)
ところで、ここでAnn-Margret演じるNoraに色目を使う専門医役なのですが・・・
この2人、この4年前のCarnal Knoeledge(愛の狩人)で激しい濡れ場を演じているだけに、可笑しく思いました。(笑)
Ann-Margretが情感をこめて歌う、Tommy, Can You Hear Me?
一転、ハードになって、Smash The Mirror
鏡が割れて・・・
I'm Free
そう、ここでTommyは全快
歌うは勿論、Roger Daltrey
オリジナルよりパワフルでシンプル
そして復活したTommyが改めて母と再会・・・Mother And Son
これも新たに加えられた曲
Ann-MargretとRoger Daltrey
のデュエット
かつてRogerがこの映画についてのインタビューで3歳しか年上でないAnn-Margret
のことを「お母さん、と呼ぶのはねぇ・・・」と苦笑いしていたのが思い出されます。
そしてこれもTommyの代表曲Sensation
今回はRogerが歌っています。・・・
レコードでは最後の面、Simon Townshendが歌う、Extra~
と同じ曲調のMiracle Cure
に始まって、ナレーター役Pete
が歌う・・・
Tommyの信者の女の子のことを歌ったSally Simpson
途中、Tommyの歌ということで、Rogerが歌う部分もあり、尚、この曲にはEric Clapton
が参加しているようです。・・・
そして曲はWelcome
Rogerが情感をこめて歌います。
ここでもう1曲、T.V. Studioというナンバーが追加、有名人になったTommyをバックアップすることになったNoraとFrank、Ann-Margret
とOliver Reed
が歌います。・・・
一転してシンプルな音、Uncle Ernie役のKeith Moonが歌うTommy's Holiday Camp
物語もクライマックスへ・・・
ピアノのイントロからのコーラスが加えられた・・・
We're Not Gonna Take It
お馴染みのTommy、即ちRogerの歌・・・
ギターの間奏から一転・・・
コーラス隊による反発の歌へ・・・
そして・・・
See Me, Feel Me
最後は・・・Listening To You
コーラスから、Rogerの歌
感動のグランド・フィナーレとなりました。・・・
アルバムだけでも十分に聴き応えのある2枚組アルバム
映画の方は翌年ついに日本公開されて、見に行きました。・・・
自分としての感想は・・・
とにかく、Ann-Margretの色気の部分が強調されているな
と思いました。
これが、実在の人物の私生活等を描くことが多かったKen Russellによるところが大きいのかなとも思います。
但しAnn-Margretも体を張っての熱演とも言えるわけで、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を受賞
アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされました。
でも何にも増して良かったのがRoger Daltrey
ここでのI'm Freeの時の水から顔を出した時の笑顔
そして走り回っている姿
最後のSee Me, Feel Meから、シャツを破り捨てて・・・
Listening To You~と、崖を登っていく・・・
このシーンは何度見ても、目頭が熱くなってきます。
そして、20代前半でこのコンセプトを書き上げたPete Townshend
彼は天才
Paul McCartneyに匹敵するソングライターとも思っています。
今やミュージカルとしても何度も何度も上演されているTommy
The Whoとしても近年でもライヴ
として再演しています。
そう、Tommyは永遠
そして映画化はこの時だけ
このサウンドトラックも最高のロック・アルバムであることは間違いないでしょう。
(2012年4月、Roger Daltrey Tommy再演日本公演の日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-11232543994.html