国と地方のあり方についてご示唆をいただいている日本政策研究センターのシンクタンク情報誌『明日への選択』4月号(平成31年4月1日発刊)に私のインタビュー記事が掲載されました。
【出典】http://www.seisaku-center.net/monthly
新たな元号「令和」が発表された本日4月1日から、改正災害救助法が施行となり、まずは9つの政令指定都市が救助実施市の指定を受け、災害への備えが一段進すすんだことも感慨深いものがあります。
以下、『明日への選択』から引用させていただきます。
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地方議員奮闘録(第十五回)
≪非常時には非常時のルールが必要≫
仙台市議会議員(二期) 菊地崇良(きくち・たかよし)
―― なぜ議員に。
菊地 私は陸上自衛隊で十八年間勤務してきたのですが、民主党政権時代、まさに国家を瓦解に追い込むような政治を目の当たりにし、「何のために命懸けで任務に当たっているのか」と葛藤するようになりました。そんな時に地元から話があり、政治家になることを決断したのです。
そして、東日本大震災の発生で延期された平成二十三年八月の選挙で、市議に当選させていただきました。
―― 注力してきた取組は。
菊地 やはり震災からの復旧・復興ですが、例えば、震災の教訓収集。私は自衛隊の作戦や訓練の中で、痛い経験は忘れる前に記録しないと同じ失敗を繰り返す、と学びました。行政には、被災直後で苦しいけれども今は記録すべきだと言い続け、その結果、平成二十五年三月、『震災記録誌』が完成しました。これは全国すべての都道府県と市町村に配布され、災害が発生した熊本市や総社市などの方々から、「役に立ちました」との声を頂戴しました。
また、仙台市には防災都市宣言しかなかったので、議員提案として条例案を作成し、平成二十九年三月十一日、「仙台市防災・減災のまち推進条例」が施行されました。防災に関する基本的な理念、災害対応の礎とすべきものを初めて体系化・明文化するとともに、地域の繋がりや助け合いの重要性を盛り込みました。
―― 自衛官の経験が生きている。
菊地 自衛隊は任務の遂行にあたり、最小限の資源で最大の効果を上げるため徹底した効率化と総合戦闘力の発揮を目指します。その観点から、もっとこうすればと思うことも。
例えば、震災後、仮設住宅が設置され、不足分はアパート等をみなし仮設として借り上げることになっていました。しかし、プレハブ仮設住宅の着工や、みなし仮設住宅の手続きが素早くできなかった。災害救助法では、被災者救助に関する権限が県にあったからです。政令市は、他の市町村に比べればマンパワーがあります。もし権限が移譲されれば、市内での救助を迅速に実行でき、そのぶん県は他の市町村の支援に専念することができます。それは結果的に、全体での被災者の苦しみをより早期に軽減することに繋がります。
そこで自民党仙台市議団は、全国の自民党政令市議員とともに、政令市への権限移譲を旨とする法改正を強く働きかけました。関係者のご尽力を受け昨年六月に同法は改正され、遂に今年四月から、首相が指定する政令市が、自らの事務として被災者を救助できるようになりました。
震災のような非常時は、平時とは異なります。非常時には非常時の考え方やルールが必要なのです。
〈文責・編集部〉