怪人二十面相が奥多摩の鍾乳洞で逮捕されてから、数年後の事件です。

機械人間なんて、本当に存在するのでしょうか。
ある日の真夜中、奇妙な歩き方をする男が交番の前を通り過ぎていきます。
男の洋服のポケットの中には銀色の何かが詰め込まれています。
この男は銀座通りの時計店から高価な時計を盗んでいたのです。
警官たちは慌てて男を追いかけますが、男の足は異常なほどに速いのです。
男の顔は青銅のような色をしていました。いや、顔だけではありません。
全身がブロンズ色の化け物なのです。青銅の魔人です。
銀座通りの事件が起きてから数日後、青銅の魔人は手塚氏の家にやってきました。
そして息子の昌一君に伝えます。
『アシタノバンダヨ。ヤコウノトケイ』
〈夜光の時計〉とは手塚昌一君のおとうさんの宝物です。
プラチナの枠が付いていて、無数の宝石で装飾された時計です。
もはや時計というよりも立派な美術品でした。
そんな大事な物を盗まれるわけにはいきません。
手塚氏は明智探偵事務所に向かいます。幸いにも明智は事務所にいました。
明智小五郎は快く手塚氏の依頼を引き受けるのでした。
更に大勢の警官が手塚さんの家に張り込んでいます。
これだけ厳重な警戒をしていれば、青銅の魔人も時計を盗むのは無理でしょう。
ところが、青銅の魔人は既に手塚邸に忍び込んでいました!
突然、浴室から出てきた魔人を見て、女中さんは悲鳴を上げます。
どうせなら美人の女中さんが入浴中のときに出てくれば…(←いや、冗談です)
そして青銅の魔人は手塚さんの部屋に潜り込んできました。
こいつが相手では、どんな警備も無意味です。結局、〈夜光の時計〉は盗まれてしまいます。
明智小五郎の助手の小林少年は浮浪児を集めました。
この浮浪児たちは学校へも行けず、寝泊まりする家もありません。
けれど、彼らは少年探偵団の団員とは違って、深夜でも行動することができます。
名付けてチンピラ別動隊です。小林君はチンピラ別動隊に明智を手伝うように命じました。
浮浪児の中には青銅の魔人を恐れる少年は一人もいません。
名前こそ良くないですが、なかなか頼もしい仲間です。
警官たちに追い詰められ、煙突の上に逃げた青銅の魔人…
物語の後半で真犯人が明らかになります。
明智は青銅の魔人の秘密を見事に暴いてみせるのです。







