奥多摩の鍾乳洞で二十面相は逮捕されましたが、新たな事件が起こります。

どこかの島の洞窟に金塊の山が…? 何だか夢のような話ですが…
ある日の夜、宮瀬不二夫君の寝室に誰かが忍び込んできました。
しかし、どういうわけか、カーテンの陰から出てこようとはしません。
いつの間にか不二夫君は眠ってしまいました。謎の侵入者は姿を消しています。
翌朝、不二夫君と書生の喜田村は家の中を調べましたが、特に何も盗まれていません。
…! この紙切れは何でしょう?
不二夫君たちの話を聞いた宮瀬氏は明智小五郎を呼びました。
すると、明智は見事に紙切れの謎を解いてみせたのです。
明智が暖炉の上の丸い彫刻を回すと、部屋の中にある獅子の彫像の口が開きました。
その中に入っていたのは…
何かの暗号のようです。この暗号文書のことを宮瀬氏は知っていました。
これは一億円もの価値がある金塊の隠された場所を示す暗号なのです。
破れてしまっているので、続きを読むことはできません。
実を言うと、残りの半分は宮瀬氏の兄が持っているのです。
けれど、宮瀬氏の兄は一年ほど前に他界したので、隠した場所はわからないままでした。
たった今、その暗号文書が見つかったというわけです。
そのとき、電話が掛かってきました。やっぱり相手は昨夜の侵入者の仲間です。
いや、仲間というよりも親玉と言ったほうが正しいようです。
なぜかはわかりませんが、親玉は暗号文書の半分を持っているようです。
親玉は宮瀬氏に『暗号文書の残り半分を下さい』と丁寧な口調で要求しました。
もし言う通りにしなければ、恐ろしいことが起こると言うのです。
恐ろしいこととは…? とっくに明智は気付いていました。
宮瀬氏が暗号文書を渡さなければ、賊は不二夫君を狙ってくるに違いありません。
そこで助手の小林少年が不二夫君に変装して、入れ替わることにしたのです。
案の定、賊は奇想天外な手段で不二夫君に変装した小林少年を誘拐します。
小林少年は賊の隠れ家に連れて行かれました。黒い服に身を包んでいるのが首領らしいです。
小林君は牢屋に閉じ込められましたが、万能鍵を持っているので、いつでも脱獄できます。
易々と誘拐されてしまったように見えましたが、小林君には目的がありました。
賊の隠れ家の場所に潜入して、もう半分の暗号文書を取り返すのです。
非常に危険な仕事ですが、やらなければなりません。
賊の隠れ家には美女もいるようです。首領の奥さんでしょうか?
暗号文書に記された場所とは? そこに金塊の山はあるのか? そして賊の首領の正体は?
読み進めていけば、それらの謎は解かれるでしょう。










