国際版 少年少女世界童話全集⑱ 《美女とやじゅう》 | TAKAYAN'S ROOM

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主に本を楽しんでいます。
読みにくい場合はPC版で閲覧してください。

18世紀に書かれた物語なのですね。




21世紀になっても、名作の魅力は色褪せません。



心優しい少女の名前はベル…




目次です。この巻は怖い話もあります。




商人である父親が事業に失敗して、ベルたちは粗末な家に住むことに…




しかし、ベルは一生懸命に洗濯や炊事をするのでした。



また、自分で畑を作って、野菜を育てたりもしました。
そんなベルを見ても、姉たちは嘲笑うだけです。
さて、不慣れな生活が始まってから一年が過ぎた頃です。
ベルたちの父親に一通の手紙が届きました。
『あなたが数年前に仕入れた品物を積んだ船が港に着いた』と書いてあります。
商人は全てを失ったわけではなかったのでした。
それらの品物を売れば、また裕福な生活に戻れるはずです。




『お金が入ったら、私は絹のドレスが欲しいわ』

『私は毛皮のマフラーよ』

二人の姉は好き勝手なことを言っています。商人はベルに聞きました。

『ベル、お前は何が欲しい?』

ベルは小さな声で『薔薇の花を一輪だけ…』と答えました。




商人は港を目指して出発します。




しかし、港に着いてみると、商人の品物は無くなっていました。
商人は多額の借金を抱えていたので、取り上げられてしまったらしいのです。
肩を落として帰ろうとすると、空が暗くなってきます。
瞬く間に大粒の雨が降ってきました。嵐です!
商人は必死に馬を走らせましたが、森の中に迷い込んでしまいます。

『このまま死んでしまうのか…』

そう思ったとき、森の奥に小さな光が見えたような気がしました。
商人は手綱を握ると、光の方へ馬を走らせます。やがて大きな城が見えてきました。




馬小屋には秣が用意されていたので、商人は馬を休ませます。

城の玄関を開けて入ってみると、そこは広い食堂でした。
テーブルの上には温かい料理が並んでいます。
商人は料理を食べると、ベッドの上に転がりました。
そして朝まで眠り込んでしまいます。
翌朝、目を覚ますと、汚れた自分の服の代わりに豪華な服が置いてありました。
商人は着替えると、城の人を待ちましたが、誰も現れません。

『申し訳ないが、帰らせてもらおう』

商人は馬小屋の方へ向かいます。庭には見事な薔薇が咲いていました。




『そういえば…』


ベルとの約束を思い出して、商人は薔薇を摘み取りました。すると…




野獣の顔を持つ男が現れました!!

『お前は何という恩知らずだ! 私はお前を城へ迎えてやった。
 温かい料理とベッドも用意してやった。
 それなのに、私が大事にしている薔薇を盗もうとするとは…』

『申し訳ありません。娘のことを思えばこそ…』

『娘だと!?』

商人の言葉を聞いた野獣は言いました。

『ならば、代わりに娘の一人を連れてくれば、許してやろう。
 だが、三ヵ月以内に戻ってこい』




商人は城を出て、娘たちの待つ家に帰りました。
そしてベルに薔薇を渡すと、野獣のことを話します。

『ベル、あなたが薔薇なんか頼んだせいよ!』

『どうするの!?』

二人の姉がベルを責めます。ベルは答えました。

『わかりました。私が野獣の城へ行きます…』



商人とベルは野獣の待つ城へ向かいます。




ベルは野獣の城で過ごすことになりました。

『神様、私をお守りください…』

涙が頬を伝います。

『いいえ、私自身が勇気を出さないと…』

ベルは自分自身を励ますように独り言を言って立ち上がると、
美しい泉の前に腰を下ろします。
いつか我が家へ帰れる日は来るのでしょうか。


個人的にはお気に入りの作品の一つです。

ありがちなストーリーですが、夢中になって読めると思います。