国際版 少年少女世界童話全集⑰ 《こうのとりになった王さま》 | TAKAYAN'S ROOM

TAKAYAN'S ROOM

主に本を楽しんでいます。
読みにくい場合はPC版で閲覧してください。

あまり印象に残っていない作品です。



この機会に読んでみることにしましょう。



それでは、ケースから取り出して…




この巻には七つの作品が収録されています。



ある日のことです。王様の城に一人のが老人訪ねてきました。
老人は王様に小さな箱を差し出します。箱の中には粉が詰まっていました。
老人の話では、これは魔法の粉だそうです。
この粉の匂いを嗅いで『ムタボール』という魔法の文句を唱えれば、
動物に化けられるらしいのです。
また、動物に姿を変えている間は笑ってはいけないそうです。
笑ってしまうと、『ムタボール』という文句を忘れてしまって、

元の姿に戻れなくなるのです。




次の日、王様は大臣を連れて、魔法の粉を試してみることにしました。
池の近くに二羽の鸛(コウノトリ)がいます。

王様と大臣は粉の匂いを嗅ぐと、声を揃えて『ムタボール!』と唱えました。
たちまち二人は鸛に姿を変えました! 
それと同時に、二羽の鸛の声が聞こえてきます。


『あの五位鷺の奥様って、嫌な方ですよねぇ』

『そうですわねぇ』

『この間のことですわ。カエルを捕まえたから持っていってあげましたの。
 すると、『私たちはドジョウしか食べません』なんて言ったのよ』

『まあ! 失礼しちゃいますわね』




話を聞いていた王様と大臣は思わず笑ってしまいます。

『し、しまった! 大臣、魔法の文句は覚えているか?』

『それがさっぱり…』

一大事です! このままでは、二人は鸛の姿で一生を過ごすことに…




それから四~五日が過ぎました。
王様と大臣が城の上で羽を休めていると、騒がしい一団がやってきます。

『新しい王となったミズラ様に拍手を!』

町の人々が歓声を上げています。

『あのミズラが王だと!?』

王様の顔色が変わりました。ミズラというのは非常に悪賢い男です。
今までに何度も城を乗っ取ろうとした悪人なのです。

『魔法の粉を持ってきた老人はミズラの手先だったのだ!』

ミズラは王位を奪うために、あの老人を城へ送り込んだのです。
王様たちはミズラの計略に引っ掛かって、鸛になってしまったというわけです。

『王様、これからどうしましょう?』

『とりあえず隠れよう。そして今後のことを考えるのだ』

王様と大臣は空へ飛び立ちました。



しばらく飛んでいると、廃墟が見えてきました。
崩れた柱や壁… どうやら昔は立派な城だったようです。
王様と大臣は廃墟に舞い降りました。おや? どこからか声が…

『誰かが泣いているような… 行ってみようか』

『王様、およしなさいまし』

大臣は止めましたが、王様は声の聞こえる方へ近づいていきます。



声の主は梟でした。何か悲しいことがあったのでしょう。
王様は梟に優しく声を掛けました。

『梟さん、何を嘆いていらっしゃるのかね?』

『あら? 鸛さん、こんな所に何の用が?』

『いやいや、こう見えても我々は人間なのです』

王様は今までのことを梟に話しました。話を聞いた梟は言います。

『ある日、一人の魔法使いがやってきました。
 この城の一人娘である私に、『ミズラと結婚しろ』と言うのです。
 私が断ると、魔法使いは父を殺しました。
 そして私も梟に変えられてしまったのです』

『許せん!』

しかし、鶴の姿のままでは、どうすることもできません。

王様は元の姿に戻って、ミズラを懲らしめることができるでしょうか?



秘密の部屋を覗くと…



あの二人は何を話しているのでしょう。




パンを作るカエル…?



突然、目の前に見たこともない景色が…



氷の上で歌い続ける少女…



いくつもの嘴が襲ってきます!


世界に伝わる童話だけのことはあります。楽しく読むことができました。
他の収録作品も熟読したいですが、なかなか時間が…