豊洲市場に新しくできたエンタメと現在の築地 | だから言わずにいられない。

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人も食べ物も見た目より中身のほうが遥かに大事。できる限り本物を求めることをモットーとする私が目につくことは山ほどあり、お財布の中身は減り続ける刺激的な日々です。

2024年2月8日(木)

演歌と民謡が上手い友がいる。

彼女の親戚もみんな歌が上手いとは聞いていたが、かなりのものらしい。

その親戚のひとりが2週間後の連休の中日に、のど自慢のグランドチャンピオン大会に出場することになり、東北から親戚の応援団が7人で上京するのだそうだ。

そこで、相談されたのは、7人の高齢者が東京駅に到着してから大会が始まるまでの約7時間ほどの間にどこを観るのがいい?ということだった。

彼女は東京に長く住んでいるのに、あまり東京に詳しくないのだ。

 

はとバスや明治神宮などを私が提案したら、彼女は、「豊洲 千客万来」を見て食事してから明治神宮に行きたい、とメールしてきた。

そんなわけで、彼女のナビを成功させるべく下見の案内をすることになった。つまり、ナビのナビ。

 

東京駅丸の内口からバスで新豊洲駅前まで行き、「豊洲 千客万来」に入った。

江戸の町並みをイメージした建物にテナント店が並ぶ。

コンパクトな店構えが中心で、カウンターだけの店や立食・テイクアウトの店が多い。大きめのテーブルを備えた店もあった。

3階のフードコートは満席状態。海鮮バイキングの店もあるが、値段設定が高い。

お土産物店は都内の他のお土産物店で売られている商品と大きな差がない。エンターテインメント施設なのだから仕方がないと納得。

 

オープンしてまだ1週間だからか、大変な混雑で、高齢者を含む8人でゆったりと食事するのは難しいかな?と思っていたところ、彼女も意外に私と同意見。「わさわさしているし、外国人観光客が多くて落ち着かないね」と、当日のコースから外した。

そこで、来た時と同じ系統のバスに乗って築地まで行く。晴海通りに面したところに昆布専門店があったので、私は嬉しくて出汁昆布を買い込む。店員さんにお勧めのお寿司屋さんを聞いたら、いつも並んでいる店があると言うので、素直に入ってみたら、ランチタイムに4千円を超えるおまかせは見かけ倒しで「ハズレ」だった。がっかり、というか築地でこれはやばいんじゃないの?と思った。

 

それから築地を散策する。

昔ながらの鮮魚店、鰹節店、昆布と海苔の店、卵焼き店、水産加工品店のほかに、鮨屋やうなぎ屋もあり、本当に嬉しくて懐かしい。

というのは、話が長くなるが、30代の頃に、無添加無着色のちりめんじゃこやたらこ、昆布などを買うために築地に通ったことがあったのだ。

しかし、市場が豊洲に移転してからの築地は、インバウンドを意識した派手なメニューや高い値段設定の商品が増えているのも事実だ。実際に観光客の半分以上が外国人だ。

 

お客さんの注文に応じて魚を捌いてくれる鮮魚店や、鰹節を削って量り売りする店、いりこや昆布や椎茸などの乾物専門店は少なくなったのかも。昔の築地の空気が薄くなって、縁日のような雰囲気すら感じる。

 

豊洲に行くのは初めてで、築地を訪れたのは数十年ぶりの2度目だった彼女。明治神宮に参拝し、NHKホールの前を通り、渋谷まで歩いたら疲れたのだろう。電車の座席に沈み込むようにして眠った。

笑顔で別れて帰宅して、彼女からのお礼メールに気づいたのは深夜だった、夜7時前に送られていたのに。 

 

「大変お世話になりました。お陰様で今の東京という所が何処に向かっているのかが分かった気がします。どこもかしこも外国人観光客。そのための東京に成りつつある感じでした。唯一、明治神宮が私的には良かったです。ありがとうございました」。

 

どんな時も正直で飾らない彼女と、同じ思いを共有できたことが嬉しかった。

 

築地は平日でも外国人観光客で賑わっている

明治神宮