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(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

電車の中できれいな女性が本を読みながら涙を流していたので

何の本か気になってのぞきみたら

水木しげるさんの

ほんまにオレはアホやろか

だった

みたいなことがちょっと前の新聞の書評に書いてあった

(犬山紙子さんだったかな?)

ので気になって読んでみた。

 

きれいな女性が電車のなかで読みながら涙を流す

ってどんな本だろう?

っていう不純な動機。

 

読んでみて

ぼくはとくに涙を流すことはなかったけど

それにしても水木しげるさんの人生ってすごい。

 

ふつうこの人生だったら

途中で死んでる。

 

つまりは

たぐいまれなる数奇な運命をたどりながら

人生をまっとうしたひと

ってことになるのだろう。

 

水木しげるさんのような感じのひとで

みち半ばにして命を失ったひとはたくさんいるだろう。

 

戦前戦中とか戦後すぐとかはまだ

ひとの生き方にもバリエーションがたくさんあったのかもしれないが

現代は選択肢が限られているよね。

 

現代でも

水木しげるさんみたいなひとも先天的にはたくさんいるんだろうけど

生き残れないので矯正されるか淘汰されるかしているに違いない。

 

とにかくいろいろ規格外。

 

超マイペース。

 

それにしてもいろんな場面で

水木しげるさんが生き残ってくれてよかった。

 

ゲゲゲの鬼太郎が読めたり観れたりするしあわせ。

 

ゲゲゲの鬼太郎が流行りだしたのは

水木しげるさんが40代半ばの頃だもんな。

 

それまでひどい生活だったもんな。

 

よくぞ諦めずに続けてくれました。

 

っていうか

それまでには

新聞配達とか魚屋とか(ボロ)アパート経営とか紙芝居制作とか

いろんな仕事を転々としていたわけだけど。

 

結婚も40手前だしね。

 

すごく大器晩成だけど

そこに至る道のりがまた波乱万丈。

 

っていうか

40代半ばまで超忙しいのに超貧乏だったに違いない。

 

この本全体を通じて

独特のゆったりとしたユーモアが不思議でおおらかでやさしかった。

 

自然とつながっている水木しげるさんのひとがらそのもののようだ。

 

戦争で左腕が飛ばされるシーンなんかも

あっけないほどさらっと描写してるし。

 

けっきょくぼくはこの本で涙を流すことはなかったけれど

最後のところで

自然とつながり自然に守られている水木さんの世界が

描写されていて

くだんの電車の中のきれいな女性が涙を流したのは

きっとここだろうなと思った。

 

ここで涙を流す女性って

きっとこころもきれいなんだろうな

って思ったのはぼくの勝手な妄想です。

 

 

 

 

 

--ほんまにオレはアホやろか--

水木しげる

  あの茶封筒のなかのパンフレットのような冊子が何を意味するものだったのかはとうとうわからずじまいだったが、わからないからといって自分が困るとはまったく思わなかった。

 世の中にはわからないことなんて数えきれないほどあるのだ。いちいちすべてをわかろうとする必要はない。

 ひとつだけ気がかりがあるとすればそれは、あの喫茶店の店主のことば、主任が渡すようにと言っていた、ということだけだ。

 それにしても。

 そもそもあの電話の声の主はほんとうに主任だったのだろうか? それに、主任から今日、あの喫茶店に行くように命じられていたというのはほんとうだろうか? 覚えがない。ちっとも事情が呑み込めない。

 疑い始めると、何もかもが疑わしく思えてきた。しかしそれではきりがない。信じられることなんて、はなからどこにもありはしないのだ。

 おおかた、ちかごろ溜まっている疲れのせいで記憶があやふやになってしまっているせいなのだろう。めったにこんなあやふやな思考になることはないのだが。

 とにかく、いまは自分の明確な意思で電車に乗って次の駅に向かっているのだ。自らの自由な選択によって、あらたに定めた目的地に向かっている。

 それだけでも事態をよくするのに役立っているのではないだろうか。

 前に進むモノレール。運転席の後ろの座席からみえる景色。一本のレールがどこまでも続いている。

 白いコンクリートのレールが、雲の隙間からわずかに差し込む光をにぶく反射している。

「ちぇっ、だれか座っているよ。楽しみにしていたのに。ついてないな」

 背後で男の声がした。

「まあいいじゃないか。何度もあそこには座ったことがあるんだから」

 別の男の声が言う。

ぼくは不本意ながら権威に弱いところがあるので

ついついスタンフォードとかいわれると

読んでみたくなっちゃう。

 

たしか

ケリー・マクゴニガルさんは

TEDでもプレゼンテーションしてたような気がする。

 

べつに

自分の人生がうまくいっていないから

この本を読もうと思ったというわけではない。

 

ぼくの人生はまあまあ上出来な方だと思っている。

 

自己啓発書とか生き方指南書なんていうのは

自慢話かほら話だと思っているので興味がないのだが

読んでみたらこの本もある種の自己啓発書であった。

 

日経ビジネスアソシエという雑誌での連載用に

書かれたものをまとめた本というので納得。

 

たしかにビジネスパーソン向けの編集になってる。

 

レッスンごとにまとめのページがあったりする。

 

そこはちょっと鼻につくのだが

書かれている内容は至極まっとうで

たしかに

シンプルなルール

である。

 

6章立てで25の項目が書かれている。

 

さながら人生のマニュアルみたいな感じだ。

 

否定的な意味ではなくって肯定的な意味でそう思う。

 

このとおりすべてを実践するのは無理だとは思うが

自分の経験と照らし合わせても

こうした方がたしかにいいよな

と納得できる内容が多い。

 

わかってるけどそれができないんだよな

って感じではあるけど

でも本気で人生をいまよりもよくしたいとおもうひとなら

やってみる価値ありだと思う。

 

第4章の

マイナス(負)の感情・状況に、どう対処するか

っていうのがある。

 

妬みの感情や

「不安」を逆手に取る

についての考察はおもしろい。

 

嫉妬の感情はものすごくみっともないもので

ひとには絶対に知られたくないものだけど

自分は隠しているつもりでも

ほかのひとからはバレバレだったりする。

 

ぼくはかなり嫉妬の感情をコントロールできるように

なっているつもりだけど

まだまだ完全にはできてないので

精進したい。

 

第5章の

ストレスを、どう力に変えるか

っていうのもおもしろかった。

 

ここに書かれている方法は

自分でもすでにある程度実践できていると思う。

 

ちょっと斜めからの感想を言うとすれば

全体を通して

成功こそが幸福

幸福こそが成功

って感じで

アメリカのビジネス・パーソンが好みそうな雰囲気を

楽しめる本でもある。

 

日本的な幸福とはちょっとちがうかもね。

 

 

 

 

--スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール--

ケリー・マクゴニガル

泉恵理子 監訳