津村記久子さんの作品は
ずいぶん久しぶりに読んだ。
最近映画化されていたので
それきっかけで読んでみた。
ぼくが過去に読んだ津村記久子さんの作品は
働くひとたちの物語だったんだけど
この作品は就職手前の大学生の話だったので
とても新鮮に読めた。
あれっ?津村記久子さんの作品ってこんな感じだったっけ?
って思えた。
いい意味で。
青春には年齢は関係ないなんていうけど
やっぱり大学生の青春がいちばん輝いているような気がする。
もっとも主人公は全然地味で
ポチョムキンなんだけど。
2005年に出版されているけど
当時から若者たちには
こういう諦めというか悟りというか
世界の限界みたいなものが覆いかぶさっていたんだな。
大学生らしい暢気な生活はありつつも
見通せる未来はほんとうにささやかというか。
いやぼくの大学生活もそんなに変わらないかもな。
なんか関係するひとりひとりとの距離感に
身に覚えのあるものが多くてなんだか懐かしかった。
経験が少なく未熟ながらも他者と向き合おうとしていたあの頃。
構成としてはたくさんの要素が巧みに絡み合っていて
津村記久子さんの手腕を感じた。
イノギさんとの夜
穂峰君の部屋
吉崎君もオカノもいいやつだ。
女性への性暴力については
これはきっと2005年よりも
2021年の日本の方が
問題意識が高くなっていると思う。
ほんとうにこういうのは
こころの殺人だから
犯人は絶対に逮捕して罰を受けさせなければならない。
それから児童虐待も絶対にだめ。
ああ
でも16年経っても
こういうのが減った気がしないのは
まだまだ社会が本気で取り組んでいないからなんだろうな。
それにしても
タイトルは
マンイーター
よりも
君は永遠にそいつらより若い
の方が断然いいね。
--君は永遠にそいつらより若い--
津村記久子