ホサナ | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

700ページ近い長編。

 

あまりの分厚さにためらいながらも

読み始めると

すぐに作品の世界に引き込まれた。

 

独特の文体ゆえ

調子がわるいとぜんぜん読めないこともあるのだが

いまは調子がよいのか

ぐいぐいとページが進んだ。

 

気持ちいい。

 

この一人称のぐだぐだな感じ。

 

ひとを食って

自分さえも食ったような感じ。

 

原発事故をほうふつとさせる

みたいな評もあったような気がするが

あまりそういうのに囚われずに

純粋にこの荒唐無稽な世界観と

冷徹で滑稽でぐずぐずで下劣で毒のある人間観に

ひたっていればいい。

 

なんでもなにかのメタファーと思うのはよくない。

 

ヨメコビドッグパーク

私の犬

舵木禱子

草子

日本平三平

光柱

日本くるぶし

正しいバーベキュー

ひょっとこ

栄光

日ノミココ

見ノ矢桃子

ヨーコ

抜け作

地下駐車場

大輪菊男

白目の男

地下邪都

黒い虫

国土軸の歪み

大敗の渚

萱子

黒い奥森に住む男

岩戸

 

無茶苦茶な設定で怪しげな登場人物たちなのに

妙にリアリティーがあるのが

この作家のおもしろさ。

 

ストーリーにももしかしたら何かの意味があるのかもしれないけど

そういうのを抜きにして

どのページもものすごくたのしい。

 

特に

ままならぬ犬たちに翻弄される飼い主たち

とか

ひょっとこのひどい扱われよう

とかが

いらいらしながらも目を覆いながらも

すごく印象に残った。

 

ところで

ぼくも栄光に入りたい。

 

 

 

 

 

--ホサナ--

町田康