黒髪山は霞かかりて、雪まだ白し。
剃捨て 黒髪山に衣更 曾良
曾良は河合氏にして惣五郎と云へり。芭蕉の下葉に軒をならべて、予が薪水の労をたすく。このたび松しま・象潟(きさがた)の眺共にせん事を悦び、且は羈旅(きりょ)の難をいたはらんと、旅立暁(あかつき)髪を剃て墨染にさまをかえ、惣五を改て宗悟とす。仍(より)て黒髪山の句有。「衣更」の二字、力ありてきこゆ。
芭蕉にとっての曾良のように
慕って付き従ってくれる弟子に巡り合うことはうらやましい。
曾良にとっての芭蕉のように
慕って付き従いたくなる師に巡り合うことはうらやましい。
いい仕事をするひとはその仕事の良さだけでなく
ひとを惹きつける人柄を兼ね備えているのだろう。
師は弟子を労り
弟子は師を敬う。
そんな関係っていいよね。