四月怪談 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

川上未映子さんが激推ししていた“バナナブレッドのプディング”が読みたくて去年の暮れに購入した“大島弓子セレクション・セブンストーリーズ”。


ぼくにとって初めての大島弓子作品との遭遇となる。


少女漫画にはさして縁がないぼくだから、これまでに読んだことがあるのは二ノ宮知子さんの“のだめカンタービレ”と萩尾望都さんの“半神”くらい。


この作品集も“ダイエット”、“綿の国星”と読み進めて、大島弓子さんの描く、儚く脆く残酷な優しさの世界観に触れ、これは少女特有の感性で、少年には理解できない感覚だろうな、と思いながらページをめくっていたら、それはそれでだんだん慣れてきた。


そしてこの“四月怪談”。


タイトルをみて、川上未映子さんの“十三月怪談”はこの作品にインスパイアされているんだろうな、と想像した。


もちろん、漫画と小説なので、そのアプローチも表現方法もまったく異なるものではあるけれども、“四月怪談”も“十三月怪談”も、どちらも好きだ。


死者と生者のもどかしい関係。


死者の時間感覚。


死を通して覚醒する、生きるということの奇跡性。


死を通さなければ生きるということの奇跡性に気づけない、ひとの想像力の欠如。


それにしても、説明の少ないこの作品を読みこなす女性たちの感性の繊細さってすごいと思う。


これってやはり少女特有なのか、それともおとなの女性も同じなのか。




――四月怪談――

大島弓子