第72期名人戦。
ひいきの羽生さんが、森内名人を4連勝で破って、名人に返り咲いた。
森内さんは名人位を失って竜王のみに。
それだってすごいことだけど、去年は乗りに乗っていたもんなあ、森内さん。
で、羽生さんは、返り咲いた名人に加え、王位、王座、棋聖と四冠。
羽生さんか森内さんかといえば、森内さんも渋いんだけど、ミーハーのぼくは羽生さん派。
ちなみに渡辺さんが王将と棋王で、3人で七大タイトルを分け合っているのが現在の将棋界。
羽生さんと森内さんの世代と渡辺さんの世代交代を賭けた状態が続いている。
ようやく第7巻。
追いつく前に第10巻が出てくれたらいいんだけど。
冒頭の第64章“銀の羽根”。
よかった。
山崎はただの読みの甘い厭な奴ではなかった。
ちゃんとこうやって登場人物を救ってくれるのが、羽海野流。
第65章“川景色”。
甘い・しょっぱい・甘い・しょっぱい、冷・温・冷・温の無限ループ、ぼくにはわからない感覚だが、甘い物好きなひとってこういう感じなのかな、って想像はできる。
どこにいるか、っていうことよりも、だれといるか、ってことのほうが重要だったりするそんな川景色。
零に次々と訪れる稔りのような幸福。
いつの間にこんなところにいたのか、って感じる幸せ。
ひなの担任の事情。
ここでもやはりただの事なかれ主義の厭な奴では終わらせない羽海野流。
簡単じゃない。
学年主任の国分先生。
ひなのクラスの転換点。
高城にも高城なりの理由があって、けれどもそれは理由にならなくて、そうはいってもそれを理由にすることを許してしまう風潮があったりするのも事実で、何がやさしさなのかっていうと、甘さと同じじゃないってことはいえると思う。
先生たちにも苦悩があって、最初っからサラリーマン教師のひともいるけれど、多くは新任当初には教育に熱意を抱いていたと信じたい。
そしてその情熱を失わせる要因はいったいなんなのか。
学校にも、生徒にも、保護者にも、社会にも、そして本人にもあるんだろう。
ちほちゃんからの手紙。
ひなのまわりの空気が変わる瞬間。
“光”、“小さな手のひら”、“日向”。
苦しみはいつか浄化されて。
止まない雨も、明けない夜もない。
冷たい冬の後には花咲く春がやってくる。
島田八段の復活。
そして零はついに宗谷名人と。
次巻が愉しみ。
――3月のライオン(7)――
羽海野チカ