大阪アースダイバー 【第2部 ナニワ生成】 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

大阪の原形は上町台地以外は砂州。


砂州のうえにつくられたまち。


変幻自在。


根無し草のように自由で強くふらふらと。


こういうルーツを示してもらえるとうれしい。


ぼく自身はどちらかというと

固い台地の生き物というよりも

軟らかい砂州の生き物だと思う。


あたらしい価値観を備えて育まれた文化。


有縁、無縁、超無縁。


何年か前に

絆についての簡単なレポートを書いたことがある。


当時もいまと同じく

無縁社会を問題視する風潮があって

その流れで隣近所とのつながりの復活を

みたいな意見が多く出ていたのだが

ぼくはそれには懐疑的だった。


昔の狭い地域社会の息苦しさが嫌で

核家族になったり

町内会に参加しなくなったりしたのではなかったか。

時代は逆戻りはしないのだ。

目指すべきは無縁を超えたあたらしい価値観の創出。


そんな感じだったと思うが

大阪ではすでに超無縁の価値観はあったのだな。


いまは忘れられているけれども。


船場商人の暖簾と信用。


ああ信用って近頃ほこりをかぶってしまっている概念だな。


裏切られたと悔やむ人に

信用したのはそちらの勝手

と言い放つ社会。


なんでもかんでも自己責任。


最初から権限も自由も与えられずに責任だけが問われるような。


グローバル資本主義なんていいながら局所的な利潤追求を繰り返すせいで

だましだまされることがあたりまえになり

だまされた方が悪いと平気で開き直るのが認められているような社会になっている。


信用を裏切ることはタブーであるような社会が再び訪れることはないのか。


近江商人には

売り手よし 買い手よし 世間よし

という考え方があるけれども

我よし 彼よし 社会よし

という価値観で社会は息を吹き返すのではなかろうか。


そんなことを思った第2部。



――大阪アースダイバー 【第2部 ナニワ生成】――

中沢新一