琥珀捕り | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

読み始めて3か月あまり。


ようやく読み終えました。


キアラン・カーソンさんの

琥珀捕り。


2段組みで300ページあまりと

読み応えたっぷり。


読書ブログをやっていなかったら読むことなかっただろうなあ

と遠くを仰ぐ。


読み始めるや否や手ごわさを感じる。


カモノハシの文学

と評されるほど独特過ぎる構成。


物語のなかの物語のなかの物語のなかの・・・

と読み進めているうちにいったい誰が語っているのかわからなくなってくる。


ぼくにとっては

冒険王ジャックの7夜物語が出てくると

ああただしく読書は進んでいるんだな

と安心できました。


それにしても膨大な知識量。


フェルメール

エスペラント

チューリップ

守護聖人

パイプ

潜水艦

顕微鏡

望遠鏡

次から次へと魅力的な薀蓄や物語が

語られては消えていきます。


そしてなにより物語のあちらこちらにちりばめられた

琥珀

にまつわる薀蓄や物語。


へえーっ

ほおーっ

ってうなりながら読んでました。


琥珀

って綺麗ですけど妖しい美しさでもあります。


虫や種なんかを内に蔵していたりなんかもして。


半分くらいまではこの本をいかに読むべきか苦心していたものの

そこを過ぎるとなんとなくコツが掴めてきたのか

誰がどういう状況で話しているかがわかるようになり

そうなると俄然おもしろくなってきました。


冒険王ジャック

の物語の7夜目が終わったときには

もううれしくってうれしくって。


いい本読んだなあ。


ホントに半分くらいまでは

時間の無駄なのでは?

と半信半疑だったんですけどね。


読み終えたいまでは

いつか再読を

なんて思っています。


げんきんなものです。


それにしても最後まで読んで

???

じゃなくてよかったよかった。


基本的には

ヘビーな読書家さん向けだと思います

この本。


アルファベット順に章タイトルがつけられていたり

同じ話の変奏曲が異なる話し手の口から語られたり

さまざまな仕掛けが施されているので

コアな読書家さんの欲求を満たしそうです。


ぼくとしては

詩人であるキアラン・カーソンさんの

この繊細で大胆で企みに満ちた文章を巧みに訳した

栩木伸明さんの筆力にも敬意を表したいと思います。





――琥珀捕り――

キアラン・カーソン

訳 栩木伸明