今朝の読売新聞に掲載されていた掌編です。
新聞1ページ弱です。
ショートショートを思わせる展開ですが
謎が残る終わり方なので
すっきりしたい人には残念な作品かもしれません。
けれども
ぼくは読書にすっきりを求めていませんので
こういうのは好き。
謎を解明しようなんて思ってはいけません。
おそらく解答は作者も用意していないと思います。
それにしても
こんなに短い作品で
よくこれだけの世界観を表現できるものだな
と舌を巻きました。
この作品は10月19日に開催される
よみうり読書 芦屋サロン
のために書き下ろされたものです。
ぼくも一応申し込んでいますので
抽選に当たって
さらに仕事の都合がつけば
参加したいと思っています。
よみうり読書 芦屋サロンには
去年の4月の
川上未映子さんの回に参加して
とてもおもしろかったので
今回も楽しそうと思って申し込んだのです。
予習を兼ねて
現在
ピストルズ
を読んでいます。
単行本のあまりの分厚さ(およそ660ページ)に
一瞬たじろぎましたが
めげずに読み始めると
なかなかぼく好みの世界です。
こういうのも
マジック・リアリズム
に分類されるのでしょうか。
感想は読了後にまた書きます。
けれども
ピストルズ
は
シンセミア
の続編らしいので
読み始める順番を間違えたかな
とも少し思っています。
それはさておき
この
マン・イン・ザ・ミラー
内容はともかく
ヒトとサルとの違いとはなんぞや
と考え込んでしまいます。
ことばを理解するから?
いや
ことばを理解しないヒトがいれば
それはヒトではないのかといえば
まぎれもなくヒトです。
あるいはサルにもことばがあるかもしれません。
火を使いこなすから?
いや
サルでも種類によっては火を使えるように
なるものもいるかもしれないし
火を使ってもサルはサルだと思います。
あるいは火を使えなくても
ヒトはヒトだと思います。
とどのつまりは
分類したものの基準に過ぎない
ってことではないでしょうか。
たとえば
ある人種が
別の人種を
サル呼ばわりすることは
歴史上もしばしばあることですし。
たとえサルという分類をしなくても
自分たちとは違う種類のものだと割り切れば
何をしても心が痛まなくなるかもしれません。
こんなふうに
分類には罪な側面があると思い至ったのは
この作品とは何の関係もありません。
-マン・イン・ザ・ミラー-
阿部和重