せみの抜け殻 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

住宅街を歩いていると

民家のブロック塀の

ちょうど目の高さのところに

せみの抜け殻があって

ギョッとした。


遠目にはそれと気づかず

異なものが塀にくっついているなあと思いながら

近づいていくと

せみの抜け殻だったのだ。


あめ色の透明な抜け殻。


ちょっときれい。


羽化して間もないのだろうか。


きみは垂直なところなら

どこだってかまわないのか

ちったあ場所を選べよ

普通は木だろ木

よりによってブロック塀なんて

風情がないのにもほどがあるぜ

と突っ込みたくなるとともに

たくましさとあわれみを感じた。


そして

アスファルトの地面に落ちている

せみの本体。


死んでいるのかと思って拾い上げると

ジジジ

っとまだ生きていて

びっくりする。


せみ爆弾

なんて言い方もあるらしい。


おしっこを残して

飛び去る。


でもほんとに死んでいるせみもいる。


アスファルトの地面で死んだせみは

かわいそう。


土に還れない。


これも都市の風景。


せみの抜け殻に戻る。


足で踏むと

きっと

かしゃっ

と乾いたいい音がするんだろうな。


その音は秋の落葉を踏んだ音にも似て。