以前
という記事を書いたときに
青子さんにお勧めいただいた本です。
ぼくの守備範囲に
ぴったり来る作品でした。
お勧めいただいて良かったです。
ありがとうございます。
弁護士らしく
淡白なまでの冷静な調子で
物語が進行していきます。
10代の頃は
ぼくも年上の女性に憧れたものでした。
背伸びしたい感じ
っていうんでしょうか。
ハンナが朗読して欲しがった理由は
確かに切ないです。
けれどもそれをそこまでして
隠し通すという動機が
ぼくには理解できませんでした。
真実を言っちゃえばいいじゃん
と。
でも当事者にしか分からない
大切なプライドっていうことなんでしょうか?
あと
戦争犯罪を裁くっていうことの
ドイツと日本の姿勢の違いも
感じました。
自分たちの親の世代を裁くドイツの若者。
日本人は日本人を裁いたのでしょうか?
戦時中は特殊な状況に置かれています。
普段なら決してやってはいけないようなことも
せねばならなかったり
なんとなくできてしまったりするでしょう。
それを後に裁くことができるのか。
あなたならどうしましたか
わたしはあの時どうしていれば良かったのですか
と裁判長に素朴に問う姿はインパクトがあります。
主人公と哲学者の父との対話のシーンが好きです。
個人的には
主人公が同級生の女性と雨宿りするシーンも
好きです。
この作品では重たいテーマが
投げかけられるだけ投げかけられて
作者なりの答えすら提示されていません。
それだけ
戦時中の問題は解決できないということの
現れのような気がします。
そういう暗い影を
その時代とそれ以降の人々の
人生に与え続ける
戦争というものを
ぼくは忌み嫌います。
-朗読者-
ベルンハルト・シュリンク
訳 松永美穂