夜長姫と耳男(よながひめとみみお) | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

うわー

凄いものを読んでしまいました。


なぜぼくは

この作品を今まで読まずに

過ごせてきたのだろう

っていうくらい

ばっちりぼく好みの

ファンタジー。


夢や希望に溢れるファンタジーではありません。


ロマンチック幻想怪奇譚といったら

変なカテゴライズになるのでしょうけど

作品の

アイデア

構成

展開

ひとつひとつの文章のことば選び

リズム感

作品全体の妖しく怖ろしく美しい世界観の統一

実に現代的

さらに普遍的

そして未来的。


物語に宿るチカラは

まさに坂口安吾さんが

蛇の生き血をすすりながら

天井中に蛇の死骸を垂らし

描きあげたのではないかと

思いたくなります。


夜長姫

怖ろしいカワイイ美しいカナシイ


耳男

己が仕事に一途に懸かり

美に捉えられたものの悲しいまでの宿命。


短編ですが

読み進めた最後のクライマックスは

抜群の着地です。


良質な短編は大好きです。


ロミオとジュリエット

を比喩に使うのは

間違っているかもしれませんが

とことんまで追い詰められた愛

の光が放たれています。



-夜長姫と耳男-

坂口安吾