贋作 桜の森の満開の下 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

もともと

野田秀樹さんの

脚本

演技

世界観

言葉遊び

が大好きで

この作品も

強く印象に残りました。


夜長姫にはぞっこん魅了されました。


あの純真無垢な悪女ぶりに

しばらく虜にされていました。


ホントにあんな女性と付き合っていたら

この身が破滅したでしょうが

耳男ならずとも

じっと見つめて目を逸らせないように

なってしまいます。


怖ろしさと可憐さの

表裏一体紙一重。


耳男のかわいさ純粋さ切なさも

相変わらず相当のものでした。


でこの作品

坂口安吾さんの作品を

モチーフにしているというのは

知っていたんですが

他の野田秀樹さんの作品の傾向からも

かなり野田秀樹さんのオリジナル要素が

強いと思っていました。


言葉遊びとか

言葉選びとか

野田秀樹さん的です。


ところが

坂口安吾さんの

夜長姫と耳男

桜の森の満開の下

を読んでみて

「ひとりじゃなくっちゃだめなんだ」

とか

「キリキリ舞いをはじめた」

とか

その他決定的なせりふの多くが

坂口安吾さん自身の

ものであると知りました。


このことによって

野田秀樹さんの

価値が下がるなんてことは

全くないのですが

逆に

坂口安吾さんの言葉選びに

いたく心揺さぶられたしだいです。


それにしても

坂口安吾さんの世界観を

ちっとも損なわずに

そして自身の

世界観とも全く矛盾させずに

融合させた野田秀樹さんの

才覚は無二です。


今思い出しても

舞台に現出した

夜長姫と耳男の運命の

あまりの切なさと迫力に

自然と身震いしてしまいます。



-贋作 桜の森の満開の下-

野田秀樹