アレグリアとは仕事はできない | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

単行本で

約100ページの

短い作品ではあるけれども


読み始めたら

やめられなくなって

一息で

読んでしまいました。


別の作品で


日常の些細なことから

物語を紡ぎだす

文章力は確かにあるが

ダイナミックさに欠けていて

文学の力が弱い


みたいな評を受けていたような

気がしますが


ぼくは

この日常の些細なことに

過剰に物語性を加える

やり方は

結構気に入りました。


舞台は

業種は特殊でも

やっていることは

ごく普通の事務室。


図面の印刷にまつわる

物語です。


作品とは直接関係ないんですが

主人公が

ぼくの知っている

同僚に似ているように感じました。


楽をしたいがために

いろいろと研究し

工夫をするが故に

どんどん忙しくなっていってしまう

彼女。


その彼女と対照的な先輩。


そこに絡む

アレグリアと

その関係者たちの不穏な動き。


使い切れない

ロール紙を

センチメートル単位で

表現していく

実際感も

面白かったです。


乾いた筆致で

安易な感動を目指さない姿勢に

共感を覚えました。


-アレグリアとは仕事はできない-

津村記久子