作家・土居豊の批評 その他の文章 -21ページ目

プリキュア放映停止の示唆〜 世界のオザワ、世界のムラカミは日本文化最盛期の象徴だった

 

プリキュア新作放映ストップが示唆するもの〜

「世界のオザワと、世界のムラカミ」は日本文化最盛期の最後の輝きだった?

 

 

 

※9年前のブログ記事

世界のオザワと、世界のムラカミ、その圧倒的な存在感

https://ameblo.jp/takashihara/entry-11504536086.html

 

 

記事引用

《写真のように、小澤征爾のCDと、小澤征爾/村上春樹の対談本が並べてあるのをみて、あらためて、この二人は、現代日本を代表する芸術家の巨人なのだと感じました。

この二人は、日本人のアーティストとして、世界中の店頭で手近に売られている代表格ではないでしょうか。

世界中のCDショップで、オザワのCDが並んでいるのと同じように、世界中の書店やキオスクの書籍コーナーに、ハルキ・ムラカミの本が並んでいるということです。

こんな存在は、これまでの日本人の中で、いまだかつてなかったと思います。》

 

 

上記のような9年前の時点では、筆者は戦後日本を代表する文化芸術の例として、村上春樹と小澤征爾を取り上げている。

だが、現在ではこの例はもはや当てはまらない。

村上春樹の文学的な位置も、9年前とは比べものにならないほど、下がってしまった。

小澤征爾の、クラシック音楽の中での位置も、ほぼ名誉だけで、新譜が出ればメディア全てがほめたたえるが、実際にはもう、衰えが目立って痛々しい。

小澤征爾の全盛期を知る者としては、現在の小澤の演奏風景も、その音楽も、相当に無理を感じてしまう。

 

 

※参考記事

エッセイ「クラシック演奏定点観測〜バブル期の日本クラシック演奏会」第32回(最終回)小澤征爾 指揮 ボストン交響楽団 来日公演 1994年〜ベルリオーズ・フェスティバル〜

https://note.com/doiyutaka/n/n83909833b931

 

記事引用

《戦後日本を代表する指揮者であり、世界の誰もが名前を知る巨匠でもある小澤は、日本人として海外で活躍した指揮者の草分けである。もちろん、戦後、朝比奈隆など欧州オケを振った日本人指揮者は多くいるが、小澤以前には、欧米のメジャー・オケの音楽監督になった人はいない。

さらに、小澤の場合、日本人であることを超えて、真にグローバルなマエストロとして世界中に認知されていたことは、現在の時点から考えても驚異的である。音楽ジャンルで、世界中の誰もが知る日本人アーティストというのは数える程しかいないのだ。音楽以外のジャンルを含めても、そういう人は村上春樹などごく少数しかいない。》

 

 

 

 

ところで、筆者は以前から、村上春樹のノーベル文学賞予想の時期になると、各メディアからコメントを求められることが多かった。

そこで、もし村上春樹がノーベル文学賞をとることがあれば、先行例としての小澤征爾と対比して、以下のようにコメントを出すつもりだった。

 

 

※土居豊による、村上春樹ノーベル文学賞受賞予定コメント

《もし村上春樹がノーベル文学賞を受賞するとして、その際には、筆者は村上春樹を小澤征爾と対比してコメントを書こうと考えている。

筆者が考えている、「村上春樹のノーベル文学賞受賞に寄せるコメント・世界のオザワと、世界のムラカミ、その圧倒的な存在感」を抜粋して、書いておこう。

予定原稿

「小澤征爾のCDと、小澤征爾/村上春樹の対談本が並べてあるのをみて、あらためて、この二人は、現代日本を代表する芸術家の巨人なのだと感じました。

この二人は、日本人のアーティストとして、世界中の店頭で手近に売られている代表格ではないでしょうか。

世界中のCDショップで、オザワのCDが並んでいるのと同じように、世界中の書店やキオスクの書籍コーナーに、ハルキ・ムラカミの本が並んでいるということです。

こんな存在は、これまでの日本人の中で、いまだかつてなかったと思います。

いくら日本のマンガやアニメが世界中で人気だといっても、世界中、どこの店にも目立つように並べられているかどうか?となると、たぶん、そうではないでしょう。

オザワと、ムラカミ、日本が生んだこの二人のアーティストは、おそらく、同じジャンルの中では、現在、唯一無二の存在感を放っていると思います。

世界のクラシック音楽のCDの棚で、オザワのCDに匹敵する存在は、存命中の日本人ではおそらくいないでしょう。

同じく、文学の本の棚で、ムラカミの本に匹敵する日本人作家はなかなかいないと思います。

ところで、問題は、こういうことが、なぜ起きたのか?という点にあります。

ほぼ同時代(オザワの方がかなり年長ですが)を生きた二人のアーティストですが、この二人は、最近まで、実際に顔を合わせたことはほんの数回だったとのことです。

それが、たまたま、小澤征爾が病気療養しているときに、村上春樹がインタビューを試みたのがきっかけで、一冊の対談本になるぐらい意気投合したのだとか。

この二人のことを合わせて考えるとき、現代日本の生んだ芸術の真の力、本当の魅力が、明らかになると思います。

20世紀後半から21世紀初頭の世界に、なぜこの二人の日本人アーティストが圧倒的な支持を受けているのか?

この、だれもが知る事実を研究し、その謎を解明するところから、日本人アーティスト(創作であれ音楽演奏であれ)の魅力と実力、その本当の正体が明らかになるのだと考えます。」》

 

 

 

だが、あれから9年。

このコメントはもう、通用しなくなった。

9年間のうちに、日本の経済的な没落にしたがって、日本の文化芸術の価値も相対的に下がっていったように思える。それは音楽や文学だけなのかもしれないが、かつてのような、ジャパンマネーを背景にした強気の姿勢は、いまではもう通用しない。

かろうじて、アニメ・マンガがまだ日本文化の代表例として世界的に通用しているように思えるが、それもこの数年で、みるみる凋落しているように思える。

2022年に入って、非常にショッキングだったのは、国内的にも海外向けとしても鉄板のアニメである「プリキュア」が、サイバー上のトラブル(攻撃?)で、製作が滞り、なんと1ヶ月も新作番組が放映されないままであることだ。

日本のアニメ会社として一二を争う大手の東映が、こんな事態になったことはかつてなかったのではないか?

「プリキュア」製作と放映のストップというこの一台事件は、それだけアニメ制作現場が逼迫していることの表れではないだろうか?

様々な国内外の日本の停滞と失墜が、回り回って、ついに代表的な文化コンテンツとしてのアニメ新作にまで悪影響を及ぼしている、ということが、放映ストップという異常事態として現出しているのだとすると、もうこれは末期的だと言わざるを得ない。

もしそうであれば、「世界のオザワ」「世界のムラカミ」が通用した9年前は、日本文化の最盛期の最後の輝きだった、というように、後世の歴史家は振り返るのかもしれない。

 

 

あまりに悲しい事件。柏市立柏高校吹奏楽部の生徒の自殺。

あまりに悲しい事件。柏市立柏高校吹奏楽部の生徒の自殺。

 

※参考記事

《千葉県の市立柏高校 飛び降り自殺 背景に長時間部活動

3/25(金)》(元記事は産経新聞)

https://news.yahoo.co.jp/articles/cfb969e3d2c94746cddf549aa4b5e3f706f17e93

 

 

平成30年当時といえば、視聴率の高い民放番組の影響もあって吹奏楽コンクール人気が加熱していた時期。

吹奏楽部が進学手段としても注目され、アニメやマンガ、小説でも吹奏楽が一つのジャンルを確立した時期。

そんな中、どれほどのプレッシャーと同調圧力があったことだろう。

非人道的な練習拘束時間による心身の疲弊もひどかっただろう。

亡くなったお子さんのご冥福を、心から祈る。

 

筆者は、かねてから吹奏楽コンクールの過熱ぶりに疑義を呈してきた。具体的には、コンクール全国金賞を目指す吹奏楽部員の青春を描いた京アニ作品『響け!ユーフォニアム』のあまりの人気ぶりに恐れをなし、そのアンチテーゼというべき小説を、連作で書いてきた。

悲しむべき柏高校吹奏楽部自殺事件を、今こそ真剣に考えて、同じ悲劇がこれ以上起きないよう、教育関係者、音楽指導者、保護者や生徒本人たちにも、今一度、音楽をやる意味を思ってほしい。

そのために、筆者は拙作をぜひ、より多くの人に読んでほしい。もっと多くの人に、反コンクール小説というべきこの2作を読んでほしい。

特に教育関係者や音楽関係者、吹奏楽の現場の指導者や保護者、そして吹奏楽部員のみなさんにぜひ、読んでほしい。

 

 

※土居豊の音楽小説『メロフォンとフレンチ』

1)ブックウォーカー版

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《楽器不足の中でステージを実現していく吹奏楽大好き高校生たちの友情と恋の青春。『ウィ・ガット・サマータイム!』の姉妹編》

 

《発売1ヶ月半で再びBOOK ⭐︎WALKERランキング1位! 日間ランキング ラブストーリー 1位(同人誌・個人出版部門)》

 

 

2)土居豊の新作小説『メロフォンとフレンチ』 あらすじ、キャラクター、作品背景などを紹介!

https://note.com/doiyutaka/n/n64f59ad3b2f3

 

3)noteでは第1章まで無料で読めます!

https://note.com/doiyutaka/n/ncc9940cce1a4


 

 

※音楽小説『ウィ・ガット・サマータイム!』(土居豊 作)

解説動画をご覧ください!

https://youtu.be/ySKZY_Geh_0

 

https://bookwalker.jp/de6c5f7f12-9f7d-4914-bd67-000c63cc50a8/?_ga=2.87758878.783377174.1586495988-1573749936.1586495988

 

《吹奏楽好きの方、ジャズ好きの方、80年代に学生時代を過ごした方、昭和の青春群像を懐かしみたい方、あるいは、これまでの吹奏楽もの小説に不満足な方、新しい吹奏楽ものを読みたい方、ぜひ!》

 


※noteでは5章まで無料で読めます!

小説『ウィ・ガット・サマータイム!』土居豊 作

 

第1章 ユニゾン1〜謎の楽譜1

https://note.mu/doiyutaka/n/na42f2da287a0

 

 

吹奏楽好きの方、ジャズ好きの方、80年代に学生時代を過ごした方、昭和の青春群像を懐かしみたい方、あるいは、これまでの吹奏楽もの小説に不満足な方、新しい吹奏楽ものを読みたい方、ぜひ!

 

 

 

※土居豊の学園ミステリー『彼女たちのフーガ』

 

https://bookwalker.jp/de30137cf7-e52e-47c7-be07-3df145638fc6/?_ga=2.178418338.783377174.1586495988-1573749936.1586495988

 

《元・高校教師で吹奏楽部顧問だった著者は、この小説の中に実話に近いエピソードを多数盛り込んでいる。本作に描かれる衝撃の事件に近いようなことは、今も起きているかもしれない。

この小説に描かれる吹部のメンバーたちは、爽やかでも清々しくもない。だが、その分、リアルである。10代の連中は、10代であるというだけでやっぱり愛すべき存在だ。》

 

 

演奏会評)日本センチュリー交響楽団255回定期 飯森範親&三村奈々恵&吉松隆

日本センチュリー交響楽団第255回定期演奏会

飯森範親 指揮

三村奈々恵 マリンバ

 

 

ブリテン 「4つの海の間奏曲 ― ピーター・グライムズより」

 

吉松隆 マリンバ協奏曲『バード・リズミクス』

 

※飯森範親指揮による演奏動画

https://youtu.be/z1goqdSmRkM

 

マリンバ協奏曲「バード・リズミクス」作品109 III- Bird Feast(鳥の饗宴)

飯森範親指揮/山形交響楽団/三村奈々恵 · 吉松 隆

 

ヴォーン=ウィリアムズ 「グリーンスリーブス」による変奏曲

 

エルガー 「エニグマ変奏曲」

 

 

演奏会の最初、ロシアによる侵攻を受けているウクライナへの、哀悼の意を捧げるバッハの「G線上のアリア」から始まる。指揮の飯森範親は、胸元にウクライナカラーを付けて。

さすがはザ ・シンフォニーホールの聴衆、冒頭のノンアナウンスでの追悼演奏の意味を理解して、拍手はなし。そのまま、1曲めのブリテンへ。

オルガン席から指揮ぶりを見ていると、ホルンの鐘を模したフレーズに重なる、管楽器のリズムを巧みに整える手腕が実に見事だ。「ピーター・グライムズ」の陰鬱で幻想的な音楽が、日本センチュリーのどこまでも澄み切った音色で奏でられると、まるで宗教曲のように響く。

次のマリンバ協奏曲までの舞台転換の間、飯森範親がMCで、客席の吉松隆を紹介する。初演もした飯森、今回は多彩な打楽器群を指揮台の前に並べて、打楽器の魅力を満喫できる工夫。

マリンバ協奏曲は、リズムが生き生きとノリがいい。ジャズに寄った曲調で、特に3楽章はポップ。フィナーレではオケもオールスタンディング。テンポ感が実に心地よく、現世に生きる喜びを感じさせる。

後半は、ヴォーンウィリアムズのグリーンスリーブスと、エルガーのエニグマという、英国音楽の組み合わせ。

この演奏会、全体の構成が素晴らしい。ブリテンの海の物語、吉松隆のジャングルっぽい熱帯的なリズム、グリーンスリーブスの田園、そしてエニグマの町の日常。

人間と自然が当たり前に暮らす日常がいかに大切か。この音楽が聴ける日常が続いてほしい、と、昨今のコロナ禍とウクライナ侵攻を思い合せて、しみじみと感じる。

エルガー「エニグマ」は鳥肌ものの快演だった。

飯森範親のエルガーは、ケレン味たっぷりで、しかも深く掘り下げる演奏だ。

日本センチュリー交響楽団はどこまでも美しく透き通る音で、ビオラとチェロの美しさ、クラの弱音が絶品。

第9変奏「ニムロッド」の盛り上がりからの、第10変奏「ドラベッラ」のコミカルな経過。第13変奏から第14変奏へ、フィナーレの壮大さ。オルガンも鳴り響き、会場全体が大いに湧いた。

それにしても、吉松隆の曲がいかにもポップな現代の音だったのに対し、エルガーの楽曲の構築美、和声感は19世紀そのものだ。同じクラシック音楽といっても、時代による響きの違いは、同時に聴くとここまではっきりと異なるものなのだ、と新鮮な驚きがあった。リズムについての感じ方も、吉松の曲のポップなリズムと、エルガーのドイツ音楽的なリズムとは、同じオーケストラ曲というには、あまりにも異質で、それでいて同じジャンルの音楽だというところに、オーケストラの持つ幅広い可能性を見出だすことができるのではないか。

 

オーケストラの音楽、クラシックの音楽を、私たち日本人は堅苦しく考えすぎる癖がある。今回、演奏会場のホワイエで、財政的な危機にある日本センチュリー交響楽団へのクラウド・ファンディングのお願いもあった。

 

 

日本の主要なオーケストラの多くが、コロナ危機以前から恒常的な財政難にある。オーケストラ音楽というものを、多くの人が、堅苦しいもの、難しいものと捉えているせいではないだろうか。

今回の演奏会のように、一言でオーケストラといっても、吉松隆のお祭りのような楽曲から、エルガーの緻密、精巧に構築された変奏曲にいたるまで、幅広い音楽体験ができることを、もっと知ってほしい。

 

※コロナ危機の中、ザ・シンフォニーホールでは、入場前に検温、消毒をやっている

 

 

 

※演奏会評) 日本センチュリー交響楽団&飯森範親、新倉瞳(チェロ)のファジル・サイ新曲関西初演!

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12705404146.html

 

 

※NHK音楽祭 飯森範親(指揮)松田華音(ピアノ)日本センチュリー響、シチェドリン「ピアノ協奏曲第1番」&「シェヘラザード」

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12712397426.html

 

 

※日本センチュリー交響楽団の定期演奏会のパンフレットで、有栖川有栖のエッセイが読めるのも楽しみの一つ

 

 

 

上記のエッセイで紹介されている、久石譲の日本センチュリー首席客演指揮者就任のことについて、筆者は実演をきいていささかがっかりし、以下のような辛口批評を書いた。

 

 

※超辛口批評)久石譲指揮・日本センチュリー交響楽団のベト7、佐藤晴真のスメラ

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12699974266.html

 

 

だが、それでも、「世界の久石譲」が、大阪の一地方都市に本拠を置く日本センチュリーの客演に就任したことの意味は、限りなく大きい。

 

 

※ザ・シンフォニーホールの周辺は、かつてと大きく変わった。タワーマンションに囲まれて、ほとんど埋没している

 

 

 

55歳の誕生日

55歳の誕生日

 

今日、55歳を迎えました。

まさか、5年前、50代に入ったときには、5年後、コロナ危機やウクライナ侵攻などこれほど激動の時代に突入しているとは、想像しませんでした。

時代が激変する中、自分の仕事も大きく影響を受け、この2年ほど、外向きの仕事がなかなか出来なくなっています。

それでも、おかげさまで、物書き仕事や、自分自身の創作は、5年前と比べてずいぶんと進んだ気がしています。

 

※5年前、50歳になった時のブログ記事

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12257001823.html

 

以下、経歴です。

 

土居豊

作家・文芸ソムリエ

1967年大阪生まれ。大阪芸術大学卒。

2000年、村上春樹論の連載で関西文学選奨奨励賞受賞。

同年、評論『村上春樹を歩く』(浦澄彬名義/彩流社)刊行。

2005年、音楽小説『トリオ・ソナタ』(図書新聞)で小説家としてもデビュー。

2009年、評論『村上春樹を読むヒント』(KKロングセラーズ)刊行。評論『坂の上の雲を読み解く! これで全部わかる、秋山兄弟と正岡子規』(講談社)刊行。

2010年、評論『村上春樹のエロス』(KKロングセラーズ)刊行。

2011年、第2回ブクログ大賞にノミネート。

2012年、評論『ハルキとハルヒ 村上春樹と涼宮ハルヒを解読する』(大学教育出版)刊行。

2013年、評論『沿線文学の聖地巡礼 川端康成から涼宮ハルヒまで』(関西学院大学出版会)刊行。

2014年、『いま、村上春樹を読むこと』(関西学院大学出版会)刊行。

同年、毎日新聞夕刊に小説『傘』を掲載。

2015年、評論『司馬遼太郎の文学を読む 『坂の上の雲』と幕末・明治の大阪』(電子書籍版)刊行。

2016年、評論『ミリオンセラーの生まれ方 「君の名は。」はセカチューかノルウェイか?』(電子書籍版)刊行。小説『供犠 トリオソナタ2』(電子書籍版)刊行。小説『オレンジ Motojiro Kajiiに捧ぐ』を総合マンガ誌「キッチュ」第七号(ワイズ出版創刊号)に掲載。

2017年、評論『真田幸村VS徳川家康 なぜ司馬遼太郎は幸村贔屓でアンチ家康だったのか?』(電子書籍版)刊行。評論『村上春樹で味わう世界の名著』(電子書籍版)刊行。

同、共著『西宮文学案内』(河内厚郎監修 関西学院大学出版会)刊行。

2018年冬 『司馬遼太郎『翔ぶが如く』読解 西郷隆盛という虚像』(関西学院大学出版会)刊行。

同、地方新聞に土居豊の連載エッセイ掲載(時事通信社の配信)

2019年 小説『名探偵ブロッくんとお城のおばけ』を総合マンガ誌「キッチュ」第八号(ワイズ出版2号)に掲載。

同、書評を時事通信社から各地方新聞へ配信。

同、小説『彼女たちのフーガ』(電子書籍版)刊行。

同、小説『ウイ・ガット・サマータイム!』(電子書籍版)刊行。

人文死生学研究会に参加、その発表時のまとめを、【映像メディア時評 人文死生学研究会番外編「涼宮ハルヒ」+付記:京都アニメーションお別れの会参列報告】に共著執筆、オープンアクセスジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』2号に掲載。

2020年、エッセイ『関西オーケストラ演奏会事情 〜20世紀末から21世紀初頭まで』、『コロナ禍の下での文化芸術』など連載。

社会時評を時事通信社から各地方新聞へ配信。

2021年、社会時評と書評を時事通信社から各地方新聞へ配信。

映像メディア時評『京アニ事件の深層―京アニ事件総論』と映像メディア時評『京アニ事件の深層―「京アニ作品の死生観」試論』を電子ジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』3号に掲載。

2022年、小説『メロフォンとフレンチ』(電子書籍版)刊行。

 

その他、

・YouTube講座 作家・土居豊チャンネル(【「涼宮ハルヒと、ナンシイ・ブラケット」書籍化企画講座】、【司馬遼太郎「翔ぶが如く」を読んで、現代日本を語る】など)配信中

・明治安田生命PR誌「関西を考える会」に執筆(序章「関西を舞台にした物語たち」)

・時事通信社の配信で書評を地方新聞に多数掲載。

『泥酔文学読本』 七北数人 著 春陽堂書店 刊

『関東大震災と中国人虐殺事件』 今井清一 著 朔北社 刊

『にっぽんアニメ創世記』 渡辺泰、松本夏樹、Frederick・S・Litten 著  中川譲 訳  集英社 刊

『京アニ事件』 津堅信之 著 平凡社新書 刊

『鬼才 伝説の編集人 齋藤十一』 森功 著 幻冬舎 刊

『激震』 西村健 著 講談社 刊

など

・平田弘史『無名の人々 異色列伝』の書評を担当。(掲載誌:総合マンガ誌「キッチュ(ワイズ出版第三号)」)

 

村上春樹論や司馬遼太郎論、「涼宮ハルヒ」論などの講義・講演を各地の市民講座や図書館、大学(大阪大学、関西学院大学等)で実施。大阪や阪神間で村上春樹読書会、文学散歩など文芸ソムリエとしての活動を展開。朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」などのテレビ出演、ラジオ出演多数。

 

 

 

 

※トピックス

⒈ 学会誌掲載予定

電子ジャーナル『こころの科学とエピステモロジー』

映像メディア時評「京アニ作品の死生観」論 その1【ミステリーアニメの死生観〜『涼宮ハルヒ』とP.A.WORKSの『Another』、そして『氷菓』】

土居豊 著

乞うご期待!

 

 

⒉ 最新刊

1)音楽小説『メロフォンとフレンチ』

(音楽小説『ウィ・ガット・サマータイム!』の姉妹編)

BOOK⭐︎WALKERのラブストーリー1位

ブックウォーカー版

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《楽器不足の中でステージを実現していく吹奏楽大好き高校生たちの友情と恋の青春。

『ウィ・ガット・サマータイム!』の姉妹編》

 

土居豊の新作小説『メロフォンとフレンチ』 あらすじ、キャラクター、作品背景などを紹介!

https://note.com/doiyutaka/n/n64f59ad3b2f3

 

※noteでは第1章まで無料で読めます!

https://note.com/doiyutaka/n/ncc9940cce1a4

 

AmazonのKindle版(アマゾンポイント11%付き)

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kobo版

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解説動画

《新作の小説『メロフォンとフレンチ』連載。吹奏楽部の青春群像を描く音楽小説です。現在よく売れている、大規模校が吹奏楽コンクールを目指すお話ではなく、地元密着で生徒だけの活動による演奏会づくり、地元の3つの高校が協力して合同演奏会を実現するお話です。内容と作品背景について、作者の土居豊自ら語っています》

https://youtu.be/OfCYRXiSqt8

 

※解説動画第一弾

https://youtu.be/IaspTgqiTpo

 

※前作の音楽小説『ウィ・ガット・サマータイム!』(土居豊 作)

解説動画

https://youtu.be/ySKZY_Geh_0

 

BOOK⭐︎WALKER

https://bookwalker.jp/de6c5f7f12-9f7d-4914-bd67-000c63cc50a8/?_ga=2.87758878.783377174.1586495988-1573749936.1586495988

 

Kindle版

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kobo版

https://books.rakuten.co.jp/rk/576dbfe4d03936f8bfb5bb3c0b7f7f7b/

 

 

 

2)土居豊の伝奇小説『禿(かぶろ)〜平家物語異聞1』

ブックウォーカー版

https://bookwalker.jp/de09e06e1b-9c35-43cd-96c5-92940653476e/?_ga=2.198801835.523969655.1642153124-1513163038.1642040185

 

kobo版

https://books.rakuten.co.jp/rk/29bd12fc5eee30bbb1b778a80c76e20d/?l-id=search-c-item-text-01

 

【内容紹介】

《ちょうど10年前、本稿を電子書籍版で刊行した。今、世界はパンデミックの渦中にある。折しも、日本のテレビで、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が放映開始、同時に、アニメ作品『平家物語』も放映され始めた。混迷の時代を生き抜く手がかりを、人々は求めているのだろう。おそらく誰もが中学校で一度は習ったはずの『平家物語』。世界が滅びに瀕しているような今、人々はもう一度、耳を傾けたくなったのだろう。

本作は十年前にはまだ早すぎたのかもしれない。今ならだれかが本作を読んで、古典『平家』をきちんと読んでみよう、と思うかもしれない。そういう人々に、本書を手渡したい。》

 

※本作は2012年刊行の拙作『かぶろ 平家物語外伝1』を改稿し、再刊行するものです。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4907319053/ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi_tu00_p1_i1

 

 

 

⒊ 主催している読書会

(1)「文学へのいざないin門戸厄神〜文芸ソムリエ・土居豊と一緒に文学を味わいましょう」

https://www.facebook.com/groups/796485500430190/

 

(2)生駒ビル読書会

https://m.facebook.com/ikomabld.reading.circle/?ref=bookmarks

 

 

 

⒋ 近刊など

(1)『司馬遼太郎『翔ぶが如く』読解 西郷隆盛という虚像』(関西学院大学出版会)

https://www.amazon.co.jp/dp/4862832679/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_J1b6BbSGPS6GB

 

 

(2)小説を自分の電子書籍サイトで継続的に発表しています。

土居豊作品の電子書籍ストア

https://www.facebook.com/ebookyutakadoi/

 

Amazon著者ページ

http://www.amazon.co.jp/-/e/B00491B5TQ

 

 

 

⒌「文芸ユーチューバー」として文芸講座などの動画配信をしています。ぜひご覧ください。

作家・土居豊チャンネル(登録お願いします)

https://www.youtube.com/user/akiraurazumi/featured?view_as=subscriber

 

1)最新号

土居豊の伝奇小説『かぶろ〜平家物語異聞1』刊行!今こそ平家物語を読もう その1

https://youtu.be/jNTH3uZfaNQ

 

《今、世界はパンデミックの渦中にある。大河ドラマ

#鎌倉殿の13人

#アニメ平家物語

も放映され始めた。混迷の時代を生き抜く手がかりを、人々は求めているのだろう。》

 

 

 

⒍ 連載中

1)土居豊のエッセイ「コロナ以後の読書〜村上春樹読書会と聖地巡礼」第1部 最終回【『騎士団長殺し』と「キャラ読み」「アイテム読み」】

https://note.com/doiyutaka/n/n0d3e5d457959

 

(告知)第2部【コロナ前の村上春樹文学散歩では、仲間達と聖地巡礼を楽しみ、打ち上げの飲み会で作品の読みを深めた】は、まず電子版で第1部とまとめて刊行する予定です。画像・図が多数入るため、本稿はいずれ、ご興味のある版元さんが現れたら、単行本の形で上梓することを希望します。

本稿にご興味のある版元さん、ぜひお声かけください!

 

※土居豊主催の村上春樹読書会の一コマ

 

 

 

 

2)コロナ禍の2年間を振り返る

『コロナ禍の下での文化芸術』4章特別編その3「コロナ第5波を経て、関西での大規模なオケ公演も継続中」

https://note.com/doiyutaka/n/na902d08db9b3

 

※マガジン発売中!『コロナ禍の下での文化芸術』

https://note.com/doiyutaka/m/mbfe79043941d

 

※2020年6月、コロナ緊急事態明けで国内初のフル編成オケ演奏会を取材

 

 

3)エッセイ連載継続中

【バブル期90年代の来日オーケストラ鑑賞 〜 平成日本の音楽リスニング黄金時代】第2回 エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送交響楽団

来日公演1995年 『マーラー交響曲第5番 〜ロマン派演奏の極北を体験すること(期間限定、無料公開)」

https://note.com/doiyutaka/n/n7e55aa9e9dd6

 

4)エッセイまとめ読み

『(加筆修正版)クラシック演奏定点観測〜バブル期クラシック演奏会』

https://note.com/doiyutaka/m/m95eba8e4b1c1

 

『関西オーケストラ演奏会事情』

https://note.com/doiyutaka/m/mdda8590d315f

 

 

※マスコミの音楽記者たちに混じって、こんな記者会見も取材

 

 

 

 

 

 

以上

 

2022年3月

 

土居豊のフェイスブックページ

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これからも、作家・土居豊をご贔屓よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

※土居豊のコメントの入った朝日新聞夕刊1面

 

 

※今年度、西宮市での講演時に楽屋にて

 

 

チャイコフスキー『1812年』自粛に反論する

チャイコフスキー『1812年』自粛に反論する

 

※参考記事

https://www.sankei.com/article/20220308-ZWIX2MLH2NKOFLTHLJVYQVWYAI/

 

 

 

 

https://mainichi.jp/articles/20220307/k00/00m/040/124000c

 

 

上記の産経や毎日記事、ウクライナ侵攻のあおりでクラシック演奏会でチャイコフスキー『1812年』が演目から外される件を書いている。

産経の記事中、阪大の高橋准教授や立命館の宮本教授がそれらしく解説しているが、私はその意見に反対だ。

むしろ、日本のオーケストラは今こそチャイコフスキーを、それも『1812年』を堂々と演奏するべきだ。

なぜなら、第二次大戦でユダヤ人を保護したのは日本だったし、ロシア革命時に亡命ロシア人を受け入れたこともあった。欧州動乱から一歩ひいて、対立する国のどちらも受け入れることができる立ち位置に、日本は今回、立つべきだと考える。

ましてや、クラシック音楽は本来、敵味方関係なく人の心を癒し楽しませる力があるはず。

音楽学者のご意見は一見もっともらしいが、例えばチャイコフスキー『1812年』を、何人の日本の聴衆が、現在のロシアとプーチンの悪業に結びつけて憤るのだろうか? それをいうなら、トルストイ『戦争と平和』にも非売運動が起こらないとおかしい。ナポレオン戦争はロシア帝国だけの歴史ではないのだ。

逆説的にみれば、現在のウクライナ侵攻を慮りチャイコフスキー『1812年』の演奏を自粛すること自体が、ナポレオン戦争をロシア帝国だけの勝利だと宣伝する行為になる。歴史はそんな単純なものではない。

それに、この件がネット上で盛り上がっているのをみるにつけ、『1812年』にこんなに反応する人が多いのに、先日のキエフテレビ塔爆撃の報道で、隣接する「バビ・ヤール」も被害を受けたことに言及する人が大して多くなかったことを合わせて考えてしまう。おそらく日本の地上波報道は1社も、テレビ塔攻撃の報道の中で「バビ・ヤール」に言及した社はなかったように思う。これは皮肉で言うのだが、チャイコフスキー『1812年』を政治的に批判する一方でショスタコーヴィチの交響曲13番「バビ・ヤール」を称揚するというのなら、それはそれで平仄が合う。ところが、そういう報道は日本の場合、見かけない。つまりは、いいかげんなのだろう。クラシック曲の持つ意味合いなど、大して興味はないということなのだろう。

 

もし、どうしてもウクライナ侵攻に抗議の意を示すというなら、演奏会の演目に、『1812年』と合わせて、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」を加えればいい。この名曲は、ウクライナ民謡がテーマだ。

並べて聴けば、チャイコフスキーの天才性がますます実感されるに違いない。

チャイコフスキーの天才性、というのは、つまりこういうことだ。以下の引用にあるように、作曲者本人は『1812年』を、あくまで仕事として作った。それなのに、内面の衝動に駆られて作曲した『弦楽セレナード』と同じくらい、人々に長く愛聴される名曲になってしまっているという点だ。チャイコフスキーは、作曲の動機や仕事の目的などに関わりなく、名曲を創造してしまう、モーツアルト的な作曲家であると考える。

 

※引用

《序曲はすごく大きくて騒がしいものになるでしょう。この曲は暖かい愛情など持たずに書いたので、きっと芸術的価値はないでしょう。反対にセレナードは、私の内面からの衝動に駆られて作曲しましたから、気持ちの込もったものになりました》

(『チャイコフスキィ』森田稔 著 新潮文庫)

 

ちなみに、チャイコフスキーの交響曲第2番「小ロシア」にも、ウクライナ民謡が使われている。次回の演奏会はぜひこのあまり演奏されない交響曲を演目に入れてほしい。

 

※ カラヤン&ベルリンフィル

https://www.universal-music.co.jp/herbert-von-karajan/products/uccg-90692/

 

 

 

最後に言っておく。音楽作品に戦争や暴力や人権問題のレッテル貼りを、演奏する側や音楽ファンの側が一時の勢いでやってしまってはいけない。

もちろん、為政者や権力の取り巻きたちは音楽や文化芸術をレッテル貼りして、最大限政治利用する。だからこそ、ファンがそれに流されてはいけない。

一度ついたレッテルは世間で一人歩きし、一度ついたけちはなかなか取り除けないからだ。チャイコフスキーの名曲『1812年』の命運を、今回のレッテル張りが永遠に決めてしまうかもしれないからだ。