「16番」鉄道模型では、どんな時代の、どんな線区の車両も、ゲージ幅が同じであれば同じ空間の中を走らせることができます。
そしてその楽しみは、国境を越えて世界各国の鉄道模型が並走することまで容認されます。
中学生の修学旅行に向けて、美術の授業の中で、エンタシス(entasis)といわれる柱の形状が法隆寺に伝われていて、ヨーロッパ文化の原点のギリシャと繋がっていることを学び、大きな感銘を受けたことを覚えています。
この学説が正しいものかどうかの議論があるや否や、よく知りませんが、古代史のロマンには今でも惹かれます。
古代の話と違って、近代の鉄道技術に関しては、ヨーロッパの国々と日本とは確実に繋がっている(かつては長いことヨーロッパ→日本の片方向)ので、そういう目で模型車両を愛でるのも一興かと思っています。
それで、まだ見ぬ欧州の鉄道の模型車両にも、私の趣味の範囲内にしっかりと入っている次第です。
今日は、スイスの鉄道車両にまつわることを少し書いてみます。ただし最初に、全く浅薄な知識しかありませんからおことわりしておきます。
モデルは、「スイス連邦鉄道」幹線系の路線で使われるRE420形電気機関車です。
(製造当初はRe4/4Ⅱと言われていたそうです)
スイスには4つの公用語があり、ドイツ語でSBB、フランス語でCFF、イタリア語でFFSで車両側面に大きく表記されています。
この機関車、製造初年は1966年ですが、驚くべき性能を有しています。
最高速度140km、定格出力4,700kwとなっています。
同年代の日本の代表的な電気機関車であるEF65では、設計最高速度115km、定格出力2,550kwですから、その実力の程は判ろうと思います。
モデルは、HAG(ハグ)というスイスの老舗のメーカーのもので、本体はダイキャスト製でずっしりと重く、走行性能の良さも定評があります。
そして、縮尺は何と80分の1、日本型と同じです。
よく見かけるのは、グリーンやレッド塗装のものですが、この朱色とクリームに塗り分けられた車両は希少で、スイスエクスプレス(1975年〜1982年)として活躍したそうです。モデルの時代の区分はEp.5です。(欧州型に詳しいWさんから伺った話です)
中古品を手に入れたため、カプラーが片方は破損、片方は未装着で何とかしなければいけない状態でした。
(ロコのクローズカプラーと思しき破損したカプラー)
実車のカプラーはねじ式連結器と言われるもので、日本の自連や密連とは全く違うものです。
欧州型のモデルでは、各社から多種のカプラーが販売されていて、ユーザーが自分なりに好きなものを選択して装着するようになっています。
これができるのは、欧州鉄道模型標準規格(NEM)によって、異なる鉄道模型メーカー間の車両でも運転できるように互換性が確保されるようにカプラー取付ポケットが付けられるからです。
しかし、この車両には、そもそもNEM型のカプラーポケットが付けられておらず、ハタと困ってしまいました。
このことを欧州型の模型に造形の深いYさんに相談したところ、写真のようなカプラー(ドローバー)を台車マウントで取り付けられることを教えていただきました。
早速真鍮帯板から模造してみることにしました。
車両に装着してみて、遊びが多すぎて、前後進で付随客車との間隔が空きすぎるきらいがあるため、φ0.8の真鍮線を使って改良してみました。
(改良後は少しですが、間隔が狭まりました)
様々ある欧州型のカプラーの中でも、一番よく見かけるループカプラーが好ましいと思っているので、ループカプラーと連結可能なカプラー(ドローバー)を付けることができたので納得しています。
また、この模型には取り付けできませんが、NEM型のカプラーポケットを真鍮板で作ってみました。
本体は、2×4×2のチャンネル材です。
機関車を所有すると、やはりそれに似合うアルプスエキスプレス色の客車が欲しくなりました。
いつになるかわかりませんが、気に留めておくことにします。