ふ長編成になる客車には、普及製品でも床下配管がそれらしくモールで表現されていたり、細かな車体表記が印刷ずみだったりと、細密感があって、しかもコストパフォーマンスが良いので、プラ製客車を選ばない手はないと思います。
しかし、もしも「走行性能に問題があるため」ということであれば、その原因を突き止め、そのデメリットを解消することで、質感に優れるブラスの良さにまた気付くのではないかと考えます。
そのことを実感する加工をしてみましたので、以下の報告に目を止めていただければと思います。
今回改修したモデルは、古いエンドウの14系客車(座席車)です。
2012年から発売されている最新のものでなく、青い箱に入れられた赤ラベルの製品です。
工作のことを述べる前に、少し実車についての説明(というより思い)を話したいと思います。
もう今では、JR線上を走る定期列車としては、機関車に引かれる客車列車は皆無です。
客車列車というと、列車ホテルとも称された寝台特急列車に人気が集まります。
20系や24系25型もいいけれど、懐の寒い自分にとっては、新大阪と熊本を結ぶ急行「阿蘇号」や「ニセコ号」、さらには平成まで生き延びた「彗星82号」のような座席車(付き列車)こそ身近であり思い入れもあります。
とくに、関西〜九州間の夜行急行では、リクライニングする特急用のシートに「得した」気分がしたのを忘れられません。
それで、KATOとエンドウと、2社の80分の1、#16の製品を所有しています。
ところがエンドウ製品は、全然走らない。
重量を測定すると、KATOのオハ14が165gのところエンドウのは240gで、プラ製品だと70%程度、確かに金属製にハンディないわけではありません。
しかしその重量の差以上に厳しいものがあるため、問題の原因は台車の走行性能にあると考えざるを得ません。
そうだとすると、「台車を載せ替える」それを実行するまでです。
調べてみると、現在、カツミとKATO、TOMIXと、TR217形台車は3社から発売されています。
気になるお値段は、順に2,530円、1,980円、1,386円で、TOMIXに軍配が上がります。
しかも、TOMIX製は、床板の小加工で取り付けが可能なことがわかりました。
(室内灯などの電飾がなければ、それも不要です。)
床板の加工は画像の通りです。
(台車枠の両サイドから上に伸びる切片が床板に接触しないよう長方形の穴を開ける)
ボルスターをKSモデルの高さ3.5mmのものに交換、更に0.8mm程度のステンレス平ワッシャー(m3×10×0.8)を挟んで高さ調整しています。
台車を交換することで、エンドウの14系座席車は流れるように走るようになりました!
他に加工したところとしては、室内灯の取り付け、シートの装着、屋上クーラーの色差しを施しました。
シートには、特急らしく、白いシートカバーを付けています。
これには、ニチバンのマイタック「背ばりラベル」を用いました。
このラベルはアルミ箔で裏打ちされていて、折り曲げた後の戻りがなく、剥がれにくいので好適です。
(上:加工前、下:加工後。今回パンタレーターは屋根の字の色のままにしました。)
クーラーの色差しには、クレオスの灰色9号を吹き付けました。
コントラストが強すぎる感がないわけではないですが、模型ではこのくらいの方がアクセントが効いていいと思います。
(手前:エンドウ、奥:KATO製)
テールマークには「彗星」を付けていますが、運転会には、模型ならではの、カツミのEF70(朱色塗装、MPギヤ付き)を先頭に立たせました。
6両の14系客車を余裕で牽引して快走するのを確認し、胸を下ろしました。