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藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

私のテーマは6つあります。
(1)ビジネス書の紹介(2)医療問題 (3)自分ブランド力
(4)名言 (5)ランキング (6)ICT(情報通信技術)
このブログでは、主に(1)~(4)を扱っています。
(5)と(6)はそれぞれ別のタイトルで運営しています。

『サラリーマン再起動マニュアル』(47)


大前研一さんは、私にとってメンターでもあり、
グールー(思想的指導者)の存在でもあります。


大前さんの著作を読んでいつも感じるのは、
物事の本質を捉えるずば抜けた能力です。


凡人である私は大前さんの足元にも及びませんが、
不断の努力を怠らず、一歩でも彼に近づきたい、
と思っています。




サラリーマン再起動マニュアル
2008年10月4日 初版第1刷発行 小学館
ISBN978-4-09-379454-1






 

目次
 [イントロダクション]志のあるサラリーマンは、
            きつい仕事を厭わない

 第1章[現状認識]なぜ今「再起動」が必要か?

 第2章[基礎編]「再起動」のための準備運動

 第3章[実践編]「中年総合力」を身につける

 第4章[事業分析編]“新大陸エクセレントカンパニー”の条件

 第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ

 [エピローグ]新大陸の“メシの種”はここにある




第5章[メディア編]「ウェブ2.0」時代のシー・チェンジ




 現在、ネットの世界は「ロングテール」が常識に

 なっている。つまり、ネット配信は、

 できるだけ多種多様なコンテンツを大量に揃えて、

 ユーザーが自分の好きな番組を好きな時間に視聴

 できるようにすることが重要なのである。
 
 番組を選ぶのはNHKではなくユーザーであり、

 極端にいえば、大勢の人が見ている人気ドラマや

 過去の人気作品ではなく、見ている人の少ない

 お宝映像やレアものを充実させるべきなのである。

 それこそがブログやSNSなどでユーザーが自由に

 情報を発信、交換できるようになったウェブ2・0

 時代の発想だろう。



  
                      (今日の名言 47  494)







NHKと同様に、ネット配信を行なっている
民放局が数社あります。


新たな収益源として活路を見出しているの
でしょうが、大前さんが指摘しているように
「お宝映像やレアもの」を充実させなければ、
早晩事業が立ちいかなくなる、と考えています。


大前さんは次のような指摘もしています。

<放送メディアが世論の動向を正確に把握でき
なくなったのは、通信メディアを補足していな
かったからである。
言い換えれば、通信メディアが放送メディアを
上回る機動力と影響力を持つようになったから
である>


LINEやTwitter、Facebook、Instagram、Youtube、
あるいはAmeblo などのブログを介して、
即座に情報を発信し、共通する環境が整いました。


個人が情報を発信することができる時代になった
のです。これはとてつもなく大きな変化です。


個人が放送局を持ったようなものです。


内容は玉石混交ですし、不正確な情報や作為的な
誤情報もあるでしょう。


本物と偽物を見分ける「選択眼」を養うことは、
極めて大切なことです。


ですが、テレビ局側の都合で、伝えるべき情報を
故意に伝えなかったり、捏造したり、過剰な演出
(やらせ)が横行している現状を見たり、
政府による報道の自由を規制することが平然と
行われることを考えると、テレビ局側による情報
の一方通行では、テレビ離れの流れを食い止める
ことは困難でしょう。


視聴者に情報の選択権がないことが、致命的です。


今後も通信メディアの動向から目が離せなくなった、
と実感しています。




最近読了した『テレビは余命7年』(指南役 大和書房
2011年9月25日第1刷発行)の中に次のような記述があり
ます。





 余命7年――。

 かつて「護送船団」と呼ばれ、大蔵省の庇護のもと

 繁栄を謳歌した銀行業界も、13行あった都市銀行は、

 今や4つに集約されている。バブル崩壊の元凶と

 なった「不動産取引の総量規制」から、北海道拓殖

 銀行の倒産までが、約7年である。

 歴史は繰り返す。

 僕は今回の「地デジ化」が、かつての不動産総量規制

 と同じく、下り坂への1つのシグナルと見ている。

 7年後の2018年、テレビ界の威信を失墜させる

 大事件が起きると予想する。具体液には、それは僕は

 在京のキー局のどこかの破綻[はたん]と見ている。


 
 江戸末期、ペリーの黒船来航から幕府の権威・井伊直弼

 大老暗殺までも7年である。

 7年とはそういう時間である。


 

  (前掲書 P.006)



この本の中では、破綻するキー局の名称は示されていませんが、
十分に現実味のある話だと思いました。






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本当に役に立つビジネス書
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(108)

JAPAN RUSHING
世界の企業は日本を目指す

2015.05.25



テーマ

今週の特集記事のテーマは

経済は成熟し、少子高齢化で人口は減り、国家財政も大赤字──。
そんな「明日なき国」日本になぜか今、世界中の企業が殺到している。
横浜市にアジア最大の開発拠点を作る米アップルは、ほんの一例。
製造業から外食、サービス産業に至るまで、世界中の様々な企業が
日本で事業を強化し始めた。
中国などアジアの台頭による「Japan Passing(日本を素通り)」から
「Japan Rushing(日本へ殺到)」へ。
なぜ、彼らは今さら日本を目指すのか。
その背景には、日本人も気付いていないニッポンの魅力がある。

 (『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.026)

ということです。



1980年代に、テレビ、新聞、雑誌で頻繁に取り上げられた
言葉は、Japan Bashing(日本たたき)でした。 
Japan Nothing(日本無視)という言葉も一部では使われ
ました。


Japan Bashing とはどのようなものであったのか、
見てみましょう。


このような歴史を知ると、Japan Rushing が奇異に
感じられるのも無理はない、と思います。



 Japan bashing(ジャパン・バッシング)

 ジャパンバッシング(Japan bashing、日本叩き)とは、

 アメリカ合衆国の対日貿易不均衡についての反発や対抗

 手段、バッシングを指す。

 派生して日本に対する抗議や日本を非難する言動を指す。


 ビル・クリントン以降の民主党による中国重視の結果として、

 日本が軽視されるジャパン・パッシング(Japan passing)、

 日本が無視されるジャパン・ナッシング(Japan nothing)が

 起こっていると日本では指摘されている。
 

  (ジャパンバッシング Wikipedia から)





JAPAN RUSHING<br />世界の企業は日本を目指す

JAPAN RUSHING
世界の企業は日本を目指す

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.05.25号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25







第1回は、
「PROLOGUE 『明日なき国』そう思っているのは
日本人[あなた]だけ
優良外資、『今さら日本殺到』の怪」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力1
を取り上げました。


第2回は、
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力2と3
を取り上げました。


最終回は、
「COLUMN1と2」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力4
「EPILOGUE 『灯台下暗し』ではもたいない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 社会的課題 
 インフラ 
 ニッチ市場 
 人材 
 外資による課題解決 




では、本題に入りましょう!



ポイント

ニッポンの魅力は何なのか。




次から「ニッポンの魅力」を探っていきましょう。
私たち日本人が気がつかなかったり、
当たり前過ぎて何とも思わない点に、
外資は着目しています。


[ニッポンの4つの魅力]


ニッポンの魅力1  「社会的課題」が山ほどある

ニッポンの魅力2 製品開発に最適な「インフラ」がある

ニッポンの魅力3 「ニッチ市場」でも十分なパイがある

ニッポンの魅力4 実はまだまだ「人材」の宝庫





最終回は、ニッポンの魅力4です。


ニッポンの魅力4 実はまだまだ「人材の宝庫」


背景を探っていきましょう。
『日経ビジネス』は次のようにまとめています。



 「日本にはグローバルで活躍できる人材がいない」

 「若者の理系離れで技術力が低下する」──。

 日本人の競争力について、そうした自虐的論調が

 幅を利かせるようになって久しい。

 だが世界には、そんなことをつゆほども考えていない

 企業が数多くある。
 

  (P.040)






介護人材

現在、日本では介護に従事する人たち(介護士、
介護福祉士など)の待遇が悪く、離職率が他業界
よりも高くなっています。


肉体的にも精神的にも重い負担を強いられる
介護業務ですが、賃金が安いためです。


そのような状況の中、介護に携わるプロをスカウト
する企業が出てきました。それは中国企業です。



  「老人ホームを運営できる人材を探してほしい。

 年俸800万円まで出す」。

 2015年3月、都内のヘッドハンティング会社に

 こんなオファーが届いた。

 依頼主は、自社で保有するビルを介護施設として

 活用しようと考えている中国の不動産デベロッパー。

 依頼を受けたヘッドハンターは「中国企業による

 自動車や電機のエンジニアの紹介依頼は多いが、

 介護まで広がるとは」と驚きを隠さない。

 だが今後は、そんな介護人材を求める中国からの

 スカウトも、日本に殺到する可能性が高い。
 

  (P.040)



最近、マーケティングでよく言及されることは、
「モノ → コト →ヒト」への流れです。
ハコモノ(建物)がまず必要になります。
そこで何をするのか、つまりコトです。
一番重要なことは、それらを実際に行うヒトの存在
です。人財です。


日本の介護に携わるプロを欲しがっているのです。
破格の条件のように見えますが、その経営者は
話題作りのためにオファーをしたのではなく、
中国の介護に携わる人たちの指導を含めて考えれば、
賃金は決して高くない、ということです。



 一人っ子政策の影響で、中国は少子高齢化が急速に

 進んでいる。40~50代の人口は既に2億人以上で、

 2026年ごろに高齢化社会を迎え、介護施設の需要が

 急激に高まるのは確実だ。

 しかしながら、ベッドやリハビリ機具など必要なモノは

 いくらでも買いそろえられるが、公的な介護保険制度が

 存在しない中国では、介護人材が圧倒的に少ない。

 ましてや奉仕の精神でサービスに携わる一流の介護士

 は稀有だ。
 

  (P.040)



日本の介護業界の実態を知ることが必要でしょう。



 日本には世界的にも質の高い介護士が約130万人

 いるが、低賃金や過酷な労働環境もあって実際に

 職に就いているのはその6割にも満たない。

 福祉施設の常勤の介護員、訪問介護員(ホーム

 ヘルパー)の月給は2014年の全国平均でそれぞれ

 約22万円。介護計画を作るケアマネジャーも26万

 2900円で全産業平均の29万9600円を大きく下回る。

 おのずと、離職率と人材の流動性は高い。

 日本にとって深刻な問題に、このデベロッパーは

 着目した。
 

  (P.040)




ポイント1

プロの活用ができるか



日本には多くの研究者がいます。
ただ、十分に活用できていないのが現状です。
その理由は、産官学の連携が不十分だったからです。
ところが、最近、流れが変わってきたそうです。


ドイツのバイエルのケースが紹介されています。



 「日本でのポテンシャルが再評価された」。

 こう話すのは、独バイエル日本法人、

 バイエル薬品の高橋俊一・オープンイノベーション

 センター長だ。


 バイエルが日本での活動を強化する理由も、

 大学を中心とした研究者のレベルの高さにある。

 中国などの追い上げもあるが、下の表が示すように、

 人口当たり研究者の数や国際特許の申請数では

 まだ世界トップレベル。


 「日本の大学には新しい原石が眠っている。

 他の企業や大学との連携がますます重要になる中で、

 幅広いコラボレーションが期待できる場所になった」

 (高橋センター長)。

 これまでは外資系企業は大学の教授や研究成果など

 にアクセスしにくかったが、ここ数年で多くの大学に

 産官学連携の専門組織が置かれ、海外にも門戸が

 開かれたことも大きい。
 

  (P.041)




米国を抑え世界一をキープ<br />・人口1万人当たりの研究者数(G8での比較)<br />出願数では中国に大差をつける<br />・国際特許の出願数上位10カ国(2014年)

米国を抑え世界一をキープ
・人口1万人当たりの研究者数(G8での比較)
出願数では中国に大差をつける
・国際特許の出願数上位10カ国(2014年)

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.041)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25






ポイント1

共創の重要性を考える(P.035)




次にご紹介することは、今までとは一味違う辛口の
記事です。 耳が痛い話と言い換えても良いくらいです。


 Column 1 外資系企業、ここだけの本音 
 「正直、“カモ”が多いのも事実」 



 古くは「大阪万博に月の石が来た」と聞けば4時間待ち

 でも並び、最近でもパンケーキやポップコーンなど

 新しいスイーツがはやっていると言われれば炎天下に

 並ぶことさえいとわない。

 そんな日本人の「カモがネギを背負ってやってくる」習性を、

 外資系企業がしたたかに見ているのも事実だ。

 日本で事業を展開する外食チェーンの幹部は、

 そんな日本人を「実験的なモノを好む傾向がある」

 と指摘する。
 

 「特に清潔や気候の変化にはお金をかけてくれる。

 たとえ目に見えなくても気にしており、洗浄力について

 認証機関からお墨付きを得られれば、水戸黄門の印籠の

 ように効く」と語るのは家電メーカー。

 公的な評価を得たものを盲目的に信じるのも国民性故か。
 

  (P.039)



国民性は致し方ないと思います。
どの国でも形は違えど、他国民から見ると、
「不思議」「バカじゃないの」「シメシメ」
と感じることはありますから。




もう1つは、良い面です。シリコンバレーより日本の方が
「ある条件」のもとでは、上という話です。


 Column 2 まだまだあるニッポンの魅力 
 「“ヒナ”を育てるには日本が最高」 



 シリコンバレーよりも日本を選ぶ起業家が増えてきた。

 「シリコンバレーでの起業は全く考えなかった」と話すのは、

 2012年に研修管理システムを提供するコースベースを

 起業したジョン・英誉・マーティン共同社長。

 マーティン社長はニューヨークで富裕層向けの大手資産

 管理会社、ブラックロックで働いていた。

 起業を考えた時、真っ先に候補に挙げたのは東京だった。

 「東京の方がシリコンバレーよりも優れていることが

 いくつもある」(マーティン社長)。


 まずオフィス環境の良さ。

 コースベースが本社を置く東京・台場から東京駅や新宿駅

 までは、電車を使えば30分以内で行ける。


 住環境も優れている。社員全員が近隣に住み自転車で通う。

 「シリコンバレーは大きな資金調達ができても、

 人材やオフィス賃料など固定費が高い。日本の方が少ない

 資金で運営でき、事業が軌道に乗りやすい」(マーティン社長)。


 人材の層も厚いと指摘する。優秀なエンジニアが豊富で

 賃金もシリコンバレーと比べたら安い。

 ソフト開発を手掛けるインディゴのクマール・ラジェッシュ社長は

 「シリコンバレーでは社員に本来払うべき給料の2割増しを

 払っても定着しない。日本にはそんな心配がない」と話す。
 

  (P.039)




ポイント


「ニッポンの魅力」に惹かれた外国企業が
定着するかどうか






 EPILOGUE 日本企業が知らない 
 ニッポンの活用法 
 「灯台下暗し」ではもったいない 

日本の組織の問題が毎年のように指摘されてきました。
「決断が遅い」「会議が長い」「生産性が低い」
「残業時間が長い」「コミュニケーションの取り方が下手」
など・・・・・


ですが、ここにきて、日本のそうした問題点を含めても、
見直しがされてきているように感じます。


まるで、「振り子が逆に振れる」かのように、見方によって
短所が長所に変わることがあるのです。


そのようなケースを含め、『日経ビジネス』特集班の記事を
ご覧ください。 「なるほどと納得する」か、「ちょっと違うと
考える」かは、あなた次第です!



 「泳ぐ宝石」と呼ばれるニシキゴイの価値を認め、

 海外市場を開拓したのは日本の養鯉業社でも

 大手商社でもなく、KoiBitoのような外国企業だった。

 それがなければ、今ごろ国内の養鯉産業は大きく

 衰退していてもおかしくなかっただろう。

 「灯台下暗し」とはまさにこのことだ。

 新興国市場や海外発のビジネスモデルばかりに目を

 奪われ、足元にある宝の山を生かしきれていないのは、

 大きな損失にほかならない。国内では成熟した製品や

 技術でも海外では無限の可能性がある──。

 そんなニシキゴイのような資源はまだまだあるに違い

 ない。


 日本は狭い国土の中に、自動車以外にも幅広い分野で

 世界的な企業が存在する。加えて、人間同士のコミュニ

 ケーションをベースに、多様な技術やノウハウを

 「擦り合わせ」できる柔軟さがある。

 だからこそ「組織や担当者ごとに役割分担が明確な海外

 とは違い、顧客ニーズに基づいた新たな成果を生み出し

 やすい土壌がある」(石岡治道・常務執行役員デュポン

 ジャパンイノベーションセンター長)と考えている。
 

  (P.043)



『日経ビジネス』は最後に次のように述べています。
日本全国へエールを送っていると考えました。


 海外の有力企業は既に、日本企業が知らない

 様々な「ニッポンの活用法」を見つけている。

 日本企業も、日本経済の成熟が迫りつつある

 今だからこそ、自らが見落としている日本の魅力

 に改めて注目すべきだ。

 「灯台下暗し」のままではあまりにももったいない。
 

  (P.043)





私見

今特集で、私の知らなかった「ニッポンの魅力」を
知ることができたことは大きな収穫でした。


日本人はどこか自虐的なところを樂しんでいるように
感じます。もっと自信を持つべきだ、と強く感じました。


一方から見ると欠点のように見えても、
他方面から見ると、他者を寄せ付けない特徴となって
いることもあるのですから。







今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 社会的課題 
 インフラ 
 ニッチ市場 
 人材 
 外資による課題解決 






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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(108)

JAPAN RUSHING
世界の企業は日本を目指す

2015.05.25



テーマ

今週の特集記事のテーマは

経済は成熟し、少子高齢化で人口は減り、国家財政も大赤字──。
そんな「明日なき国」日本になぜか今、世界中の企業が殺到している。
横浜市にアジア最大の開発拠点を作る米アップルは、ほんの一例。
製造業から外食、サービス産業に至るまで、世界中の様々な企業が
日本で事業を強化し始めた。
中国などアジアの台頭による「Japan Passing(日本を素通り)」から
「Japan Rushing(日本へ殺到)」へ。
なぜ、彼らは今さら日本を目指すのか。
その背景には、日本人も気付いていないニッポンの魅力がある。

 (『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.026)

ということです。



1980年代に、テレビ、新聞、雑誌で頻繁に取り上げられた
言葉は、Japan Bashing(日本たたき)でした。 
Japan Nothing(日本無視)という言葉も一部では使われ
ました。


Japan Bashing とはどのようなものであったのか、
見てみましょう。


このような歴史を知ると、Japan Rushing が奇異に
感じられるのも無理はない、と思います。



 Japan bashing(ジャパン・バッシング)

 ジャパンバッシング(Japan bashing、日本叩き)とは、

 アメリカ合衆国の対日貿易不均衡についての反発や対抗

 手段、バッシングを指す。

 派生して日本に対する抗議や日本を非難する言動を指す。


 ビル・クリントン以降の民主党による中国重視の結果として、

 日本が軽視されるジャパン・パッシング(Japan passing)、

 日本が無視されるジャパン・ナッシング(Japan nothing)が

 起こっていると日本では指摘されている。
 

  (ジャパンバッシング Wikipedia から)





JAPAN RUSHING<br />世界の企業は日本を目指す

JAPAN RUSHING
世界の企業は日本を目指す

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.05.25号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25







第1回は、
「PROLOGUE 『明日なき国』そう思っているのは
日本人[あなた]だけ
優良外資、『今さら日本殺到』の怪」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力1
を取り上げました。


第2回は、
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力2と3
を取り上げます。


最終回は、
「COLUMN1と2」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力4
「EPILOGUE 『灯台下暗し』ではもたいない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 社会的課題 
 インフラ 
 ニッチ市場 
 人材 
 外資による課題解決 




では、本題に入りましょう!



ポイント

ニッポンの魅力は何なのか。




次から「ニッポンの魅力」を探っていきましょう。
私たち日本人が気がつかなかったり、
当たり前過ぎて何とも思わない点に、
外資は着目しています。


[ニッポンの4つの魅力]


ニッポンの魅力1  「社会的課題」が山ほどある

ニッポンの魅力2 製品開発に最適な「インフラ」がある

ニッポンの魅力3 「ニッチ市場」でも十分なパイがある

ニッポンの魅力4 実はまだまだ「人材」の宝庫





今回は、
ニッポンの魅力2と3
の2つを取り上げます。


ニッポンの魅力2 製品開発に最適な「インフラ」がある


海外企業の目的は何か?
その点を『日経ビジネス』は次のようにまとめています。



 ここへきて日本拠点の構築を進める海外企業の

 目的は、必ずしも自社の商品やサービスを売る

 ことだけではない。

 日本を自社の競争力を高める“修業の場”にする──。

 そんな考えで日本に進出する企業も多い。
 

  (P.033)



「“修業の場”にする」とは?
日本の消費者は、世界一厳しいとはよく言われることです。
それを嫌って日本に進出しない海外企業がある一方で、
あえて日本の消費者の厳しさを逆手に取って、
「日本で成功すれば、世界のどこでも売ることができる」
と考える外国企業は、日本に進出しています。



環境1 厳しい消費者

台湾の「かき氷店」チェーンのケースは、
なるほどそういう見方、考え方もあるのか、
と唸らされました。



 台湾発のかき氷店「アイスモンスター表参道」

 一般的なかき氷は普通の氷にシロップを掛けるが、

 同店はミルクティーやマンゴーなど素材自体を氷にし、

 それを削って提供する。

 軽い食感が特徴で1997年の創業以来、急成長。

 既に台湾名物の座を獲得し、今回、初の中華圏以外

 への出店先として日本を選んだ。

 ただ、創業者のフランク・ロー氏が、日本での事業

 展開に踏み切った目的は、店舗網を拡大するため

 だけではない。


 ではなぜ、世界展開の橋頭堡にわざわざ日本を

 選んだのか。

 その理由について、ロー氏は「厳しい日本の消費者に、

 まず製品やサービスの質を鍛えてもらいたかったから」

 と説明する。
 

  (P.033)




ポイント1

「厳しい日本の消費者に、 まず製品やサービス
の質を鍛えてもらいたかった」
(P.033)


ただ、ロー氏は「受け身」なだけではありませんでした。
提携先の日本企業からのアドバイスを早速実践した
のです。



 提携している日本企業から「日本では、行列対策を

 しっかりしておかないと人気が持続しない」との助言

 を受け、新システムを導入した。

 QRコードを利用し、その場に並んでいなくても順番が

 近くなればメールを送って知らせるシステムだ。

 そのかいあって、オープン当初の長蛇の列は開店から

 しばらくして解消。

 顧客からは「とても気が利いている」「待ち時間を利用

 して買い物ができて便利」と評価の声が上がった。

  「素晴らしいシステムだ。台湾にも必ず持ち帰りたいね」

 とロー氏も満面の笑みを浮かべる。

 今後も日本の消費者の“洗礼”を受けることで品質と

 サービス水準を向上し、ゆくゆくは台湾流かき氷を世界中

 に普及させていきたい考えだ。
 

  (P.034)





環境2 複雑な都市構造


日本では高層ビルが立ち並ぶ地域があれば、
住宅が密集している地域、逆に過疎化した地域
が混在しています。


そうした環境では、スマートフォンの通話、通信
の速度を速くしたり、つながりやすくさせることは
困難と思われます。


あえてそうした状況に挑戦している外国企業が
あります。



 今年2月、NTTドコモと次世代超高速通信5Gの

 通信実験に成功したエリクソン。そんな同社が

 日本で磨きをかけているのは、大黒柱である

 携帯電話向け地上固定設備の品質だ。

 「日本ほどスマートフォンの通信速度を速くしたり、

 つながりやすくしたりするのに工夫が必要な国は

 ない」。

 エリクソン・ジャパンでCTO(最高技術責任者)を

 務める藤岡雅宣氏はこう話す。

 その最大の理由が、世界的にも有数の都市部の

 複雑な構造だ。

 例えば東京。高層ビルや地下街などが入り組み、

 入念に検討しアンテナを立てても思わぬ障害物に

 電波が遮られることは日常茶飯。


 「いずれは中国や東南アジアの主要都市も日本の

 都市と同様の状況になり、高品質な固定設備に

 対するニーズはますます高まる」というのが同社の

 見立て。

 そんな未来でも業界の覇権を握り続けるため、

 今後も日本に開発資源を注ぎ込んでいく構想だ。
 

  (PP.034-035)




ポイント1

 「いずれは中国や東南アジアの主要都市も
日本の都市と同様の状況になり、
高品質な固定設備に対するニーズは
ますます高まる」
(P.035)




環境3 消費不況


政府は長期にわたるデフレ脱却のため、
政策を実施してきました。
その結果、ドル安円高からドル高円安に転換し、
輸出産業は軒並み最高益を更新するなど、
好業績を上げました。


これを受けて、日経平均株価は2万円を回復し、
持続してます。


ですが、庶民感覚では好景気を実感できません。
そのような日本でも、高価な製品が売れている、
というケースを『日経ビジネス』は紹介しています。



 小売業者へメーカーが直接製品を売り込むことは

 よくあるが、ダイソンはレベルが違う。

 全国に約200人の専門部隊を抱え、量販店に日参。

 店員に時間をもらい、実際に商品を使いながら性能

 の良さをアピールする。

 ポイントはいずれの販売員もダイソン製品のみならず

 競合商品についても熟知していること。

 競合商品の良さも伝えつつ、それでもなおダイソンを

 薦めていく。
 

  (P.035)



信頼性と実績をもとに、価値の高さをアピールし、
販売方法を研究し、地道に実践することで、
日本で売ることができれば、世界のどこでも売ること
ができるという信念を持っているのが、ダイソンです。



ダイソンが手応えを感じていることは、次の言葉が
語っています。



 「最近は、海外拠点から『どうして不況の日本で

 成果が上がるのか』とますます聞かれるようになった。

 今後も、日本で磨いた売り方を海外に伝えていきたい」。

 ダイソン日本法人の麻野信弘社長はこう話す。
 

  (P.035)




ポイント


日本で磨いた売り方を海外に伝えていきたい(P.035)





ニッポンの魅力3 「ニッチ市場」でも十分なパイがある


ニッチ市場に分類されても、「大きなニッチ市場」
であることに着目した外国企業は日本に再度進出
しました。


市場1 エスニック系ファストフード


一言でメキシカン料理と言えば、エスニック系料理
となりますね。エスニック系料理は、明らかにニッチ
市場です。


ですが、「エスニックファストフード市場」という括りで
捉えると、大きなニッチ市場であることが明らかに
なりました。


同業の日本企業は、エスニック系料理市場を知り
すぎているために、先入観を抱いたまま新たな
チャレンジを仕掛けてくるところはありませんでした。


そうした間隙を縫って渋谷道玄坂にエスニックファス
トフード店を開店させた外国企業がありました。



 4月21日、メキシカンフードの外資系チェーン、

 タコベルが約20年ぶりに再上陸した。

 記念すべき復活第1号店は渋谷道玄坂店。

 来日した米タコベルインターナショナルの

 メリッサ・ロラ社長は「日本市場は依然、

 開拓余地が大きい」と意欲を見せた。


 再挑戦を決めたのは「前回の撤退から長い時間

 が経過して日本の消費者も変わり、

 新しいものが受け入れられやすくなったと感じた」

 (ロラ社長)からだという。
 

  (P.036)


ここで、市場規模を確認しておきましょう。



 市場規模は97年の約29兆700億円をピークに下降。

 2013年はアベノミクス効果で2年連続の増加となったが、

 規模自体は約23兆9000億円(公益財団法人「食の安全・

 安心財団」推計)と全盛期から約2割減となっている。

 確かに、ニッチ分野とあって、ファストフード市場に占める

 比率自体は15%程度しかない(店舗数から推計)。

 が、英調査会社、ユーロモニターによると日本のファスト

 フード市場の規模は約4兆6600億円(2014年実績)。

 “変わり種”のファストフードも、7000億円の市場があること

 になる。

 ニッチなはずが、それなりの規模を持っている──。

 日本では、外食産業以外にも、そんな「大きなニッチ市場」

 とでも呼ぶべき市場が散見され、往々にして、海外勢の

 活躍が目立つ。
 

  (PP.036-037)





ポイント


日本の消費者の多様性(ダイバーシティー)が重要で、
いかに対応できるかということ。






市場2 特殊家電


「ジャパネットたかた」のCMで一躍脚光を浴びることに
なった『レイコップ布団クリーナー』。


韓国の製品ですが、布団クリーナーという機能に特化
することで大ヒットしました。



 日本でレイコップを発売したのは2010年。

 当初こそあまり売れなかったが、通販大手ジャパネット

 たかたとの連携で人気に火が付き、累計販売台数は

 300万台を突破した。


 家電市場もまた外食産業同様、全体としては成熟化が

 進んでいる。調査会社GfKジャパンによれば、

 2014年の冷蔵庫市場は前年比4%減の488万台。

 エアコンも前年比9%減の830万台となった。

 洗濯機は比較的健闘しているものの、それでも前年比

 1%増にすぎない(532万台)。

 そんな中で例外的に好調なのが、前年比6%増の931万台

 となった掃除機だ。中でも布団クリーナーは数量・金額共

 に前年の2倍を超える販売を記録した。


 レイコップ・ジャパンのリ・ソンジン社長は「日本市場には

 本当に付加価値が高い製品には購入をためらわない顧客

 がいる。確かに、そこまで布団の清潔さにこだわる顧客は

 比率としては全体の一部かもしれないが、それでも日本の

 場合、十分にビジネスが成り立つ」と自信を見せる。
 

  (P.037)



どこの国の製品だろうと、また高価であろうと、
製品の価値が高ければ購入する日本人が存在する、
ということです。私の家では購入しませんが。





市場3 高級調理器具

以前にも、『日経ビジネス』は高額な家庭用ミキサー
を取り上げたことがあります。


次の記事です。

日経ビジネスの特集記事(52)
脱デフレで勝つ 高く売るための経営七策(1)




価格は税抜きで8万円以上するというのですから、
たかがミキサーとは言えません。
それでも売れているのは、きちんとした理由[わけ]
があるからです。


ですが、私の家では必要ありませんし、買えません!



 ミキサーメーカーの米バイタミックスも、

 日本におけるニッチ家電の深掘りを狙う。

 同社が日本で販売するミキサーは税抜き

 価格8万円以上。

 1万~2万円台程度の一般的な日本メーカー

 の家庭用ミキサーに比べ3倍以上も高い。

 それでも年間5万台以上が売れている。

 最大の特徴はアボカドの種をも粉々にする

 強力な破砕力だ。

 短時間でスープなどバイタミックスならでは

 の調理ができる。
 

  (P.037-038)



価格だけを考えたら、手を出せない製品ですが、
その製品に価値を見出した人たちにとっては、
「高い!」とはあまり感じないのでしょう。


もちろん、話題性もあると思います。
「クックパッド」などのサイトで自宅のオリジナル料理
を公開することは普通になっているからです。


あるいは Facebook、Twitter、Instagram などのNSN
で画像を公開し、「見せびらかす」ことが一般化した
ことも影響しているでしょう。



「ニッチでも日本ではそれなりの市場になる」(P.038)
と『日経ビジネス』は指摘しています。



 多くの優良外資のトップが繰り返し指摘している通り、

 たとえニッチでも日本ではそれなりの市場になる。

 理由は2つ。一つは単純に今はまだ人が多いからだ。

 人口減少が始まったとはいえ、日本の人口はまだ

 1億2000万人。仮に100人に2人しか興味を示さない

 マニアックな商品でも対象人口は240万人と、

 モンゴル一国分の人口に相当する。


 ただでさえ人が多い上に、世界的に見れば日本は

 依然裕福であり、国民一人ひとりの購買力は世界

 屈指の水準にある。
 

  (P.038)



興味深い指摘があります。
「日本は7カ国に相当する」(P.038)というのです。


次の図をご覧ください。
もちろん、厳密にそのように区分けできるわけでは
ありませんが、そうした傾向はあるかもしれません。



日本は7カ国に相当<br />関東だけで英国と同じ<br />・日本の地方別名目GDPの規模


日本は7カ国に相当
関東だけで英国と同じ
・日本の地方別名目GDPの規模

(『日経ビジネス』 2015.05.25号 P.038)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25







私見

一つのモノをいろいろな角度から眺めると、
異なる形に見えることは誰でも知っていること
です。


例えば、円筒形の物体を上から見れば、
円にしか見えませんが、横から見れば
長方形に見えます。
斜めから見れば、コーヒーなどの飲料缶に
見えます。


そのように、日本の課題を見ると、一面から
でしか見なければ解決には至りません。


課題をいろいろな角度から研究すれば、
「コロンブスの卵」のように解決策が見つかる
かもしれません。





今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 社会的課題 
 インフラ 
 ニッチ市場 
 人材 
 外資による課題解決 



最終回は、
「COLUMN1と2」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力4
「EPILOGUE 『灯台下暗し』ではもたいない」
をお伝えします。


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本当に役に立つビジネス書
<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(108)

JAPAN RUSHING
世界の企業は日本を目指す

2015.05.25



テーマ

今週の特集記事のテーマは

経済は成熟し、少子高齢化で人口は減り、国家財政も大赤字──。
そんな「明日なき国」日本になぜか今、世界中の企業が殺到している。
横浜市にアジア最大の開発拠点を作る米アップルは、ほんの一例。
製造業から外食、サービス産業に至るまで、世界中の様々な企業が
日本で事業を強化し始めた。
中国などアジアの台頭による「Japan Passing(日本を素通り)」から
「Japan Rushing(日本へ殺到)」へ。
なぜ、彼らは今さら日本を目指すのか。
その背景には、日本人も気付いていないニッポンの魅力がある。

 (『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.026)

ということです。



1980年代に、テレビ、新聞、雑誌で頻繁に取り上げられた
言葉は、Japan Bashing(日本たたき)でした。 
Japan Nothing(日本無視)という言葉も一部では使われ
ました。


Japan Bashing とはどのようなものであったのか、
見てみましょう。


このような歴史を知ると、Japan Rushing が奇異に
感じられるのも無理はない、と思います。



 Japan bashing(ジャパン・バッシング)

 ジャパンバッシング(Japan bashing、日本叩き)とは、

 アメリカ合衆国の対日貿易不均衡についての反発や対抗

 手段、バッシングを指す。

 派生して日本に対する抗議や日本を非難する言動を指す。


 ビル・クリントン以降の民主党による中国重視の結果として、

 日本が軽視されるジャパン・パッシング(Japan passing)、

 日本が無視されるジャパン・ナッシング(Japan nothing)が

 起こっていると日本では指摘されている。
 

  (ジャパンバッシング Wikipedia から)





JAPAN RUSHING<br />世界の企業は日本を目指す

JAPAN RUSHING
世界の企業は日本を目指す

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.05.25号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25 号







第1回は、
「PROLOGUE 『明日なき国』そう思っているのは
日本人[あなた]だけ
優良外資、『今さら日本殺到』の怪」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力1
を取り上げます。


第2回は、
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力2と3
を取り上げます。


最終回は、
「COLUMN1と2」
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力4
「EPILOGUE 『灯台下暗し』ではもたいない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 社会的課題 
 インフラ 
 ニッチ市場 
 人材 
 外資による課題解決 




では、本題に入りましょう!


 PROLOGUE 
 「明日なき国」そう思っているのは 
 日本人[あなた]だけ 
 優良外資、「今さら日本殺到」の怪 



『日経ビジネス』特集班は、書き出しで、アップルが、
日本初だけでなく、アジア初の開発拠点を横浜に
設けることについて触れています。



 東急東横線・綱島駅から12分程歩くと、

 白いフェンスが張り巡らされた広大な敷地が

 見えてくる。

 総面積3万7900平方メートルに広がる、

 旧・松下通信工業の工場跡地だ。

 この一角に2016年、米アップルの技術開発

 拠点が完成する。


 今年3月、アップル自身が、拠点を置くのは

 横浜市内の工場跡地だと明らかにした。

 同社が米国以外に開発拠点を設けることを、

 正式に発表したのは今回が初となる。
 

  (P.028)


アップルのように、外資が日本に重要拠点を
設けるケースが増えているそうです。


もう少し記事を読んでみましょう。
世界的に知られた大企業が、日本に進出して
きているのです。


 “明日なき国”に今なぜか、世界中から優良

 外資が殺到している。

 米EV(電気自動車)メーカー、テスラ・モーターズは

 日本市場攻略に向け投資を拡大する。

 米国で成長の原動力となっている無料で急速

 充電できる設備を日本にも展開する計画だ。

 現在6カ所の設備を2015年中に全国の30カ所に

 増やし、アフターサービスの拠点も拡大する方針

 だという。

 他にも、米IBMもアップル、日本郵政と組み、

 日本で日本郵政の顧客と「iPad」を活用した、

 新たな事業を展開することを発表した。
 

  (P.029)



今、お伝えした内容はいずれも企業の
日本進出ですが、ベンチャーキャピタリストも
日本に熱い視線を注いでいるそうです。
現在の日本は「新生ジパング」なのでしょうか?



 大企業ばかりではない。世界のベンチャー

 キャピタリストも日本企業を「今、世界でも

 有数の有望な投資先」と捉えている。

 シリコンバレー在住の著名なベンチャー

 キャピタリストで、フェノックスベンチャー

 キャピタルCEO(最高経営責任者)の

 アニス・ウッザマン氏もその一人。

 「私から見れば日本は宝の山」というウッザマン氏

 は今後3年間で、日本企業に200億円投資する

 計画だ。

 既に約10社へ数十億円を投資することを検討。

 「アジアのほかの地域を減らしてでも、

 日本への投資額を増やしたい」とウッザマン氏は言う。

 特に大学発のベンチャー企業への投資を強化する

 予定で、毎月のように来日しては、日本の起業家と

 面談を繰り返す日々が続いている。
 

  (P.029)



ここで、マスコミで繰り返し伝えられている、
「日本の3つの現実=大きな課題」を確認して
おきましょう。


グラフ1


ニッポンの現実1<br />経済は完全に成熟

ニッポンの現実1
経済は完全に成熟

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.028)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25



グラフ2


ニッポンの現実2<br />進む人口減+高齢化

ニッポンの現実2
進む人口減+高齢化

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.028)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25



グラフ3


ニッポンの現実3<br />国家財政も大赤字

ニッポンの現実3
国家財政も大赤字

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.029)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25




以上、ご覧になった3つの現実があります。
それにもかかわらず、対日投資は急上昇して
いるという、もう一つの現実があります。


次のグラフをご覧ください。
明らかに、Japan Passing から Japan Rushing に
急変したことが見て取れます。


グラフ4


なのに対日投資はは急上昇

なのに対日投資はは急上昇

(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.029)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25




対日投資をしているのは米国企業が多いですが、
ドイツや中国、台湾、デンマークに企業に至るまで、
日本に投資しています。




ポイント

ニッポンの魅力は何なのか。




次から「ニッポンの魅力」を探っていきましょう。
私たち日本人が気がつかなかったり、
当たり前過ぎて何とも思わない点に、
外資は着目しています。


[ニッポンの4つの魅力]


ニッポンの魅力1  「社会的課題」が山ほどある

ニッポンの魅力2 製品開発に最適な「インフラ」がある

ニッポンの魅力 「ニッチ市場」でも十分なパイがある

実はまだまだ「人材」の宝庫





初回は、
ニッポンの魅力1を取り上げます。


ニッポンの魅力1  「社会的課題」が山ほどある



 日本にあまり明るい未来はない──。

 少なからぬ日本人がそのように感じているのは、

 この国があまりに多くの社会的課題を抱えているからだ。

 だが、ジャパンを目指す海外企業の多くは

 「だからこそビジネスチャンスに事欠かない」と考えている。
 

  (P.030)



「社会的課題」とはどのようなものだ、
と思いますか?


『日経ビジネス』は、「社会的課題を」3つに
まとめています。

「語学音痴」「人口減少」「災害国」です。



課題1 語学音痴


日本人の多くが、語学に苦手意識を持っていますね。
日本人の苦手意識を解消してもらおうと、
アイスランドからはるばる日本にやってきた
AI(人工知能)研究者がいます。


その研究者が「画期的英語習得方法」(P.031)を
開発したそうです。



 北大西洋に浮かぶ最果ての国、アイスランド。

 火山と氷河に覆われた絶海の孤島に生まれ

 育った地元のAI(人工知能)研究者、

 アルナ・イェンソン氏は2009年、

 「世界の語学学習の常識を覆す、画期的英語

 習得方法」を開発した。

 「Cooori(コーリ)」と名付けたそのシステムは、

 オンライン英語学習ソフトだが、「AIが学習者の

 思考を分析し、最適なプログラムをパーソナライ

 ゼーションする」のが最大の特徴。

 「システムが学習者の語学適性や言語化の癖を

 把握し成長することで、他のどんな方法もまね

 できない速度で英語がマスターできる」

 (イェンソン氏)という。
 

  (P.031)




ポイント

「『自社の製品が必要とされるのは日本』と確信
したから」
(P.031)




 不名誉ながら、日本人は世界でも有数の“英語音痴”

 の国民だ。スイスのビジネススクールIMDによると、

 日本の語学力は60カ国中54位。

 遅々として向上しない「英語力」は、グローバル化が

 進む中、喫緊の国民的課題となっている。

 それだけに学習意欲は高い。矢野経済研究所によると、

 2014年度の語学ビジネス市場は前年度比2.1%増の

 8259億円を見込み、ここ数年、8000億円規模を維持し

 続けている。

 「すべての条件を鑑みても、我が社にとって日本ほど

 ビジネスチャンスがある国はない」。イェンソン氏は

 こう話す。
 

  (P.031)



考えをすぐに行動に移せるところが素晴らしい、
と思います。 開発した製品によほど自信があるの
でしょう。




課題2 人口減少


少子高齢化は、耳がタコになるくらい言われている
ことです。
ただし、この問題は日本固有ではありません。
今後、先進国が直面する問題です。
ですから、日本の課題の解決策を提示することが
できれば、世界に向けて事業を拡大することが可能
になります。




 「高齢化が進めば、住宅リフォーム市場が活性化する」──。

 そんな予測の下、2015年4月から日本でのサービス提供を

 開始した企業もある。

 米Houzz(ハウズ)だ。

 住宅リフォーム情報を提供するウェブサイト「Houzz」を

 米国や英国など7カ国で展開する。


  同社が「高齢化がリフォーム市場を拡大する」と考える

 理由は2つ。

 一つは「居住者の年齢が上がれば、室内設備のバリア

 フリー化が必要になるから」

 (ハウズ・ジャパンの加藤愛子社長)。

 もう一つが、「空き家が増え、必ず対策が必要になるから」

 (米ハウズのアディ・タタルコ最高経営責任者)だ。
 

  (P.031)




課題3 災害国


2011年3月11日に発生した東日本大震災が契機になり、
日本全国のハザードマップを作成するなど、
災害対策が重要な課題となっています。


災害対策の重要性を熟知し、一つの解答を提示したのは、
フランスの企業でした。



 日本の「悩みの種」をビジネスチャンスに変えよう

 としている海外勢の中には、災害支援に貢献する

 ことで事業拡大を目指す企業もある。

 世界最大手の民生用ヘリコプターメーカー、

 仏エアバス・ヘリコプターズだ。


 ここ数年、日本での事業基盤を急速に強化

 しており、2012年には約50億円を投じ神戸空港

 に新拠点を構築。

 25機が収納できる大型格納庫や訓練飛行設備

 があり、120人のスタッフが整備や操縦指導に

 当たる。

 2014年には日本で1台しかない大型フライト

 シミュレーターも導入。

 ヘリ販売のみならず、パイロット育成サービスも

 本格化する体制を整えた。

  「6000以上の島々があり、災害が多い日本は、

 世界一のヘリコプター運用国」。

 神戸事業所を統括するオリヴィエ・ティリエ業務

 本部長はこう話す。
 

  (P.032)



「世界大都市の自然災害リスク指数」によれば、
日本は世界一リスクが高いことを明らかになっています。
それも東京と横浜が断トツの数値を示しています。




 ティリエ業務本部長の指摘通り、「災害の多さ」もまた、

 日本が抱える大きな弱点の一つだ。

 ドイツのミュンヘン再保険が公表した「世界大都市の

 自然災害リスク指数」によれば東京・横浜は710ポイント。

 2位の米サンフランシスコ(167ポイント)を大きく引き離し

 世界主要50都市の中で断トツで、大阪・神戸・京都も

 4位にランクインするありさまだ。

 地震、火山噴火、台風、豪雪など様々な天災と向き合う

 以上、救援隊や物資の搬送、人命救助のためヘリコプター

 は欠かせない。

 現在の納入先は海上保安庁や警察、消防署などが中心

 だが、最近は医療機関向けのドクターヘリの需要も高まって

 いるという。
 

  (P.032)




ポイント


外資各社が商機にしようとしている日本の課題は、
近い将来、中国や東南アジアが確実に直面する
問題でもある。
(P.032)






私見

3つの課題は、日本企業は決定的な解決策を
見出せていません。


そのような状況で、経験豊富で実績を残している
のであれば、外資に委ねることを選択肢に加えて
みてもよいのではないか、と思いました。






今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 社会的課題 
 インフラ 
 ニッチ市場 
 人材 
 外資による課題解決 



次回は、
「日本ほど『オイシイ国なし』」から
ニッポンの魅力2と3
をお伝えします。


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M&Aはギブ&テーク
2015.05.25

森 雅彦 (もり・まさひこ) 氏

[DMG森精機社長]


 相手のことをよく知りもしないのに、売上高の3~4倍もの

 金額を支払って買収するなんて、絶対にうまくいくはずが

 ありません。統合プロセスをどう進めていくかについては、

 私と(DMGのCEO=最高経営責任者=を務める)カピッツァ氏

 で決めました。統合というと、とかく資本に目が行きがち

 ですが、極端なことを言えば金を借りさえできればいつでも

 できる。

 それよりむしろ、CRM(顧客情報管理)のシステム統合や

 新製品の共同開発といった実務を先行させた方がいい。

 早期に統合効果を得られるからです。

 我々は現時点ですでに、CRMなど販売面で9割、

 共同開発で8割、人事で7割の統合作業を終えています。

 他の部分でもだいたい5割は終わっていますね。

 2020年までにこれら全ての領域で統合を完了させる計画

 です。


 基本的にはDMGの手法を採用しました。


 DMGのやり方を優先させるのには、いくつかの理由があり

 ます。

 まず、経営者の視点から見れば、手法の違いはそれほど

 重大なことではありません。現場は「違う」と思っているかも

 しれないけれど、経営者目線で見たら95%が「一緒」です。

 図面の表記だってそう。どちらの表記方法を使ったところで、

 工作機械は作れる。だったら、そこで「日本が正しい」と主張

 するのはばかげています。

 単に両者のやり方を比べた時、DMGの方が優れているから

 採用したケースもあります。

 設計者が使用するCAD(コンピューターによる設計)ソフト

 ウエアなんかはそうです。


 世界の顧客が使用しているのは、日本製のCADではなく

 欧州製か米国製です。DMGはそのグローバルスタンダード

 に近かったので、DMGのCADに森精機が合わせることに

 しました。

 こちらがDMGに合わせることで、DMGの社員たちに感謝

 されることも理由の一つ。感謝されれば森精機の社員たちも

 うれしいでしょう。手法を相手に合わせたところで死ぬわけ

 じゃないし、自分たちのプライドをちょっと捨てればいいだけ

 ですから。


 (「今や、世界トップの工作機械メーカーとなりました。

 トップであることの意義はどこにあるのでしょうか」という飯田

 展久編集長の質問に対して)

 3つあります。1つ目は、サステイナブル(持続可能)な会社に

 なるために、規模は必要不可欠であることです。


 持続する会社になるために、なぜ規模が必要かというと、

 経営を任せられる次世代の幹部候補を育てやすいからです。

 より競争の激しい環境の中で社員を育てるには、

 少なくとも1万人くらいの規模は必要です。


 2つ目は、マーケティング。規模のメリットはここでも生きて

 きます。

 DMGと統合した後は売上高が4000億円を超えますから、

 その2%として80億円をマーケティングに使える。

 100億円の会社なら2億円しか使えないところを80億円です

 から、それだけ規模の大きなマーケティング活動を展開できる

 わけです。


 最後は、実はこれが最も重要なんですが、知恵の集積です。

 我々は現在、月に約1000台の機械をお客様に納品して

 います。

 一方、多くの競争相手は50台くらい。我々は、月に1000の

 現場での最新事例を勉強できるのです。


 競争相手の場合、せいぜい日本と中国の事例しか学べない

 でしょう。でも(DMGと統合した)我々の場合、日本や中国は

 もちろん、欧州全域、米国の最新事例までも知ることができ

 ます。この差は大きい。

 ここでいう知恵とは、部品の材料、加工方法、使用している

 工具やソフトだけではありません。世界中に散らばる我々の

 サービス担当者がお客様の元に行くので、工場で働くワーカー

 の質やホストぶり(顧客の迎え入れ方)までも学ぶことができ

 ます。


 今回の件についていえば、もともとDMGの方から声を掛けて

 くれました。私も「交際相手」を探していたところ、向こうの方

 から「一緒になろうよ」と言ってくれたのです。それはいい。

 ぜひ進めようという話になりました。


 殺し合いまではしないのが流儀でもあります。

 ギブ・アンド・テークといいますか。

 その意味でも私は、DMGとの統合で、まずはギブすることを

 心がけてきました。


 謙虚であり続けることも大切です。日本がモノ作り大国である

 のは事実。工作機械の需要も、日本は中国、米国の次に

 大きいですから。

 だからといって「全てにおいて日本が優れている」と思うのは

 間違っています。日本は自動車や光学機器、金型なんかに

 ついてはかなり優れたモノ作り力を持っています。

 でも、航空機やエネルギー、医療の分野では、米国や欧州の

 方が先を行っている。

 だからこそ我々は、世界に工作機械を売って、そこから謙虚に

 学ばないといけないと考えています。

 それが産業全体のためにもなると思うのです。
 

  (PP.068-071)




DMG森精機社長 森 雅彦 氏

DMG森精機社長 森 雅彦 氏
(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.069)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25








キーセンテンスは、

 謙虚に学ぶ 
です。


森社長は、

 「日本は自動車や光学機器、金型なんかについては

  かなり優れたモノ作り力を持っています。

  でも、航空機やエネルギー、医療の分野では、

  米国や欧州の方が先を行っている。

  だからこそ我々は、世界に工作機械を売って、

  そこから謙虚に学ばないといけないと考えています。

  それが産業全体のためにもなると思うのです」

と語っています。


驕りは身を滅ぼします。



森社長のインタビュー記事の直前で、
「企業研究
 DMG森精機 独企業と“ゆっくり婚”」
という記事が掲載されています。


その中から一部をご紹介しましょう。
森社長のインタビュー内容の補足説明とご理解ください。



ポイント1

あえて「双頭体制」を採用する



 双頭体制とは、トップはもちろん、開発やマーケティング、

 財務などの役員ポストに、双方から人材を出し続けること。


 両者の経営陣が対等の精神でまず信頼関係を深めた上で、

 互いの長所、短所を慎重に見定め、相互補完できる関係の

 構築へと結びつけることだ。


 森精機とDMGは2013年8月、双方から役員を5人ずつ出し、

 共同の経営母体「ジョイントコミッティー」を設けた。

 重要な経営判断は、すべてここでの話し合いで決める。

 コミッティーの会長に、DMGのルーディガー・カピッツァCEO

 (最高経営責任者)、コミッティーのCEOに、森精機の森社長

 が就いた。

 まず取り組んだのが、トップ2人が敵対することなく、

 互いを信頼し合える関係を築くことだ。

 

  (PP.064-065)



ポイント2

金をかけてでも対面交流


 第2のポイントは、社員同士がひざ詰めで互いを理解

 できる機会を金を惜しまずに作ることだ。

 DMG森精機では、同じ事業に携わる社員たちがトコトン

 話し合う「合宿」を定期的に実施している。

 3000万円以上の費用をかけ、日本から約100人の社員

 を送り込んだ。

 その象徴的なイベントが2014年7月に開かれた。

 両社の社員が協力し、1つの会社として進むべき方向を

 決める1泊2日の合宿だ。ホストはドイツのフロンテン工場。

 森精機は工作機械を設計する技術者約100人を送り出した。

 飛行機代だけでも3000万~4000万円とばかにならないが

 「投資額以上の効果があった」(高山専務)。


 

  (P.065)



ポイント3


資本より業務統合を優先する


 第3のポイントは、提携当初からM&Aを前提にしながらも、

 事業の統合を資本関係より優先させたことだ。

 「相手のことをよく知りもしないのに売上高の3~4倍も

 払って買収するなんてうまくいくはずがない」という

 森社長の信念が背景にある。


 効率化だけではない。成長戦略のためにも、

 互いは欠かせないパートナーだ。

 「新しい技術が生み出す市場で主導権を握る」という、

 共通の目的がある。


 

  (P.066)



「盛る」新技術にDMGのノウハウを生かせる<br />・DMG森精機が開発した新型レーザー加工機

「盛る」新技術にDMGのノウハウを生かせる
・DMG森精機が開発した新型レーザー加工機
(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.067)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25





私見

DMG森精機は、独企業との合併をする際に、
米国流の「スピード優先」を採用しませんでした。


相手のことをよく知らず合併し、合併後、
「こんなはずではなかった」ということが発覚し、
経営統合や合併を解消する、失敗例が多く
あったからです。


やはり「相互信頼関係」と「同じ志」が重要である
ことが分かります。


さらに言えば、日本のモノづくりは確かに優れたもの
ではありますが、どちらかと言えば、より小さなものを
つくる技術に長けていますが、大きなモノをつくる技術
は欧米に一歩譲ります。


新型レーザー加工機の画像を掲載しましたが、
これは3Dプリンター同様に、「盛る」加工機です。
小さな部品に「盛る」ことによって大きな部品に加工
する機械です。「小 → 大」です。


日本は逆です。大きな材料を「削って」加工します。
「大 → 小」です。発想の原点が全く違いますね。


この点だけを考えても、物事の捉え方には複数
あることが理解できます。まして、このケースでは
真逆です。


重要なことは、一方が常に正しいとは言えないこと
です。グローバルスタンダード(世界標準)は、
デファクトスタンダード(事実上の標準)でもあるの
ですから。


ドメスティックスタンダード(国内標準)を海外に
押し付けたら拒絶されます。デファクトスタンダード
でないなら無理です。


ジャパニーズスタンダード(日本標準)を、
グローバルスタンダードにするという発想の転換が
必要な場面に、しばしば直面することになるでしょう。


森社長がDMGが使っていたCADを合併後も採用
し続けるのは、グローバルスタンダードだったから、
と考えれば至極当然のことです。






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