🔷 「私の想い」の中の「口ずさんでいる歌」を掲載します。 🔷
タイトルは『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)です。
2016年1月25日 発行
著者 藤巻 隆
発行所 ブイツーソリューション
✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第13回)✍
「私の想い」の中の「口ずさんでいる歌」を掲載します。
私の想い(3)
口ずさんでいる歌
私が毎日、口ずさんでいる歌があります。大瀧詠一さんが作詞、作曲した『夢で逢えたら』です。歌詞がとても良いです。私の現在の心境を語っているように感じました。ただ、この曲をどのような経緯で知ったのか、記憶が定かではありません。
病室で由美子と私が一緒にテレビを観ていたときに、このメロディーがかかり、私が「いい歌だな」と思ったのか、あるいはYouTubeで偶然見つけたのか、今となっては思い出せません。経緯がどうであれ、私にとって『夢で逢えたら』は、現在の私のナンバー1ソングです。
いろいろな人がカバーしていますが、私は元ラッツ&スターのヴォーカルだった鈴木雅之さんが一番いい、と思っています。この歌を知るまでは、ラッツ&スターにも鈴木雅之さんにも関心がありませんでした。ところが、YouTubeで聴いてみたら、心の中にスーッと入ってきたのです。歌詞が心の中に沁(し)みこんできたのです。メロディーも自然な感じで、良かったですね。この歌を知ることも運命だったのかもしれません。こんな体験は初めてのことでした。初めての経験を短期間で幾度もしました。
とりわけ、入院七日目(二〇一五年七月二十七日)に、主治医から由美子の病状の説明を受けた後だっただけに、より強烈な印象を持ったのでしょう。主治医からの重大な説明は後述します。
『夢で逢えたら』は名曲です。
一度お聴きになれば、きっと心の底で何かを感じることができると思います。この曲を口ずさむと、涙がこぼれ出し、なかなか止まりません。娘の可奈に「いつまでも、めそめそしていてはダメだよ。ママがかわいそうだよ」とよく叱られます。しかし,この曲を聴き、口ずさむと、自然と涙がこぼれ始めるのです。自分の意思ではどうすることもできません。自分がこんなにも弱い人間であったことに気づき、正直、驚きました。一言で表現することは難しいですが、“慟哭”が近いかもしれません。
かわいそうだ。 哀しい。 淋しい。 つらい。 胸が張り裂けそうだ。
私の気持ちとは対照的に、由美子は不治の病と対峙し、心の苦しみとも闘っていました。それを思うと、私のつらさなど比べものになりません。ちっぽけなものです。それでも、深い悲しみは、そうたやすく癒やされるものではありません。
Time is the great healer. (時が癒してくれる)という諺があります。時間が解決してくれる、と言い換えてもよいでしょう。しかし、事によりけりです。もしかしたら時間に解決させてはいけない、風化させてはいけない、という強い気持ちが私を突き動かし、この本を書かせたのかもしれません。いや、そうとばかりは言えません。由美子が私に書かせたと言うべきでしょう。そう考える方が自然です。由美子の魂が私に憑依(ひょうい)し、由美子が書いたのかもしれません。私は、むしろそのように考えています。
この本は、間違いなく、由美子と私の共著です。
(PP.38-41)
➳ 編集後記
第13回は「私の想い」の中の「口ずさんでいる歌」を書きました。
『夢で逢えたら』は歌詞がとても良いです。目を閉じて聴くと、想像の世界でその状況を実体験できます。頭の中でVRのような体験をしてみてください。