ドラッカーについては、改めて詳しくご説明する必要
がないくらい有名な人物ですので、概略に止めます。
(「著者紹介」から)
ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家
として知られる。
「分権化」「目標管理」「経営戦略」「顧客第一」
「知識労働者」「ベンチマーキング」「コア・コン
ピタンス」などのマネジメント理念を生み出し、
発展させてきた。
クレアモント大学院大学教授。
1909年11月19日生まれ。
2005年11月11日死没
▷ 21世紀最大の不安定化要因は何か?
――何といっても人口構造の変化である。
ただし、先進国における最大の問題は高齢化ではない。
少子化のほうである。人口の水準維持に必要な出生率
2・2を超える国は、先進国ではアメリカだけだ。
しかし、それも子供4人が当たり前のラテン系のおかげ
である。
(P.222)
(046-1-0-000-472)
変動相場制は、おそるべき通貨の不安定化を
もたらす一方において、膨大な世界通貨を
生み出した。この世界通貨は、グローバル経済
とその通貨市場以外の場には存在しない。
それは、投資、生産、消費、貿易などの経済活動
ではなく、通貨取引によって生み出される。
価値の尺度、富の蓄積、交換の手段など、
いかなる通貨の定義にも当てはまらない。
いかなる属性ももたない。それは現実の通貨では
なく、いわばバーチャルな通貨である。
しかし、その力は本物である。あまりに膨大な
ために、一国への出入りそのものが、金融、
貿易、投資にともなう通貨の流れよりもはるかに
大きなインパクトを与える。1日で、全世界が
貿易と投資において1年間に必要とする額を
取引する。経済的な機能をもたないがゆえに、
まったく自由に移動する。トレーダーがクリック
するだけで、数十億ドルが通貨から通貨へと
移動する。通貨としてのいかなる経済的な機能
ももたず、金融上のニーズも満たさないがゆえに、
経済の論理に従うことがない。移り気であって、
噂や予期せぬことによって簡単にパニックに陥る。
(PP.234-235)
(047-1-0-000-473)
国際貿易理論は貿易に投資が続くことを当然
としてきた。また多くの人が貿易とは財の貿易
のことと思ってきた。しかし、今日では投資に
貿易が続いている。しかも財の移動よりも
サービスの移動がグローバル経済の駆動力
となっている。
第二次大戦後、財の貿易はいかなる時代よりも
急速に伸びた。しかし、金融サービス、経営コン
サルティング、会計、保険、小売りなどのサービス
の貿易のほうがさらに伸びている。かつてこの
サービス貿易は統計さえとられなかった。
ところが今日では、サービス輸出はアメリカの
全輸出の4分の1を占め、唯一の黒字の稼ぎ手
となっている。このサービス貿易は貿易理論に
従わない。そのほとんどがレートの変動と関係
がない。レートに敏感なのは旅行業だけである。
(P.240)
(048-1-0-000-474)
1日の通貨取引の量はどのくらいなのでしょうか?
ただし、実需の通貨取引(貿易や旅行代金の決済など)
よりも、ドラッカーが言うように、バーチャルな通貨取引
のほうが圧倒的に多いことは間違いありません。
さっそく、調べてみました。
国際決済銀行(BIS)による統計数値です。

国別で見ると、英国が1位でした。
私はてっきり米国だと思っていました。
確かに、外国為替取引における通貨は、
米ドルが1位ですが、取引の多くは英国で
行われているということですね。
日本の外国為替取引額は、英国の7分の
1くらいです。
全世界で1日に外国為替取引が行われる総額は、
英国の数値を参考にすれば、約6兆6650億ドル
(2兆7260億ドル/40.9%)ということになります。
ものすごい金額ですね! 1日当たりですからね。
「銀行間取引を大別すると、直物取引、先物取引
およびスワップ取引に分かれる」
(上記ウェブサイト から)
ということです。
ドラッカーが言う「現実の通貨ではなく、いわば
バーチャルな通貨である」とは、このような外国為替
取引のことを指しています。
藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ-
人気のブログランキング
こちらのブログもご覧ください!
こんなランキング知りたくないですか?
中高年のためのパソコン入門講座(1)
藤巻隆のアーカイブ