今回から、P・F・ドラッカーの『ネクスト・ソサエティ』
の中から、名言をご紹介していきます。
ドラッカーについては、改めて詳しくご説明する必要
がないくらい有名な人物ですので、概略に止めます。
(「著者紹介」から)
ビジネス界にもっとも影響力をもつ思想家
として知られる。
「分権化」「目標管理」「経営戦略」「顧客第一」
「知識労働者」「ベンチマーキング」「コア・コン
ピタンス」などのマネジメント理念を生み出し、
発展させてきた。
クレアモント大学院大学教授。
1909年11月19日生まれ。
2005年11月11日死没
本書が前提とするものは、ただ一つである。
ネクスト・ソサエティに備える国だけが、
来るべき日々において立派な社会と経済を
手にするということである。
(P.ⅱ)
(001-1-0-000-427)
30年以上存続する企業はほとんどなくなる
ことを覚悟しなければならない。政府機関や
政府プログラムさえ、30年はもたなくなる。
かつては、働く者のほとんどにとって、
労働可能年限は30年以下だった。
肉体労働者として疲れきってしまった。
しかし今日、20代で労働力市場に入ってきた
知識労働者は、50年経ったあとも心身ともに
働くことが可能である。
今日のところ、50歳あるいは55歳に達した
働き手のなかに、知識労働者は少数である。
しかし2030年には、彼らが単独では最大の
層となっているはずである。
(PP.16-17)
(002-1-0-000-428)
知識労働者とは新種の資本家である。
なぜならば、知識こそが知識社会と知識経済
における主たる生産手段、すなわち資本
だからである。今日では、主たる生産手段の
所有者は知識労働者である。
知識は専門化して、初めて有効となる。
というのは、知識労働者は組織と関わりを
もたざるをえないことを意味する。
組織とは、多分野の知識労働者を糾合し、
彼らの専門知識を共通の目標に向けて
動員するための人の集合体である。
(P.21)
(003-1-0-000-429)
ここでのキーワードは、「知識」と「知識労働者」
です。
「知識は専門化して、初めて有効となる」
と述べています。
このことを、このほどノーベル物理学賞を受賞した、
中村修二・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校
教授は、『ごめん!』(ダイヤモンド社 2005年7月
14日 第1刷)の中で、いみじくも次のように語って
います。
(上掲書 P.056)
一概には言えませんが、文系人間は広く浅い
タイプに多く、狭く深い人間は理系に多いような
気がします。
私の場合、広く浅くというのはまったく苦手です。
周囲が見えなくなるくらい狭く深く考えるタイプ
です。特に、好きなことには、とことんまでのめり
込んでしまいます。
これは、まさに「知識は専門化して、初めて有効と
なる」という意味で、研究者は「知識労働者」の
典型ということになります。
昔は、「専門バカ」と軽蔑されることが少なくあり
ませんでしたが、広く浅い知識では専門家とは
言えません。
日本では、長年、広く浅い知識のジェネラ
リストが重用されてきました。狭く深い知識を
持つスペシャリストは軽視されてきました。
最近10年ほどで、ようやく「プロフェッショナル」
という言葉が定着してきました。
大前研一さんの定義では、
(『ザ・プロフェッショナル 』 ダイヤモンド社
道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と
「判断」をもって組織を動かしていけるのが
プロフェッショナルです。これは顧客に関する
深い洞察と、そこに働いている力、つまり
「Forces at Work(フォーシズ・アット・ワーク)」
への理解がなくてはできません。正しい答えが
なくても、いろいろな状況を想定して、正しい
対処をしていくことは可能なのです。
2005年9月29日 第1刷発行 PP.36-37)
ということになります。
ドラッカーの本は、抽象的な表現が多いので、
その都度、自分で具体的なものを当てはめ
ながら考えることが、必要になります。
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