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日経ビジネスの特集記事(63)
トヨタ 迫る崖っぷち
豊田章男を襲う
危機の正体
2014.06.30
今週の特集記事のテーマは
世界販売で前人未到の年1000万台を突破したトヨタ。
今変わらなければ、再び転落しかねない。
豊田は迫りくる「崖っぷち」の危機を乗り越えられるのか
というものです。
売上高25兆6919億円、営業利益は過去
最高の2兆2921億円。売上高営業利益率は、
8.9%です。
営業利益は、売上高から売上原価を引いた
売上総利益から、販売費及び一般管理費
(販管費)を差し引いて算出します。
営業利益は、本業における儲けと言われます。
調整をせずに算出する生の数字といえます。
故意に売上や売上原価の数字をいじることが
なければ、という条件の下においてですが。
数字だけを見ると、トヨタの強さが際立ち、
順風満帆に見えます。
(P.028)
ライバルの独フォルクスワーゲン(VW)や
米ゼネラル・モーターズ(GM)を引き離し、
台数でも収益でも堂々の王者だ。
ところが、トヨタは1000万台超えによって、
豊田章男社長は危機感を抱いています。
それはなぜ?
(P.028)
小型ガソリン車の燃費で、マツダや
ホンダに遅れを取った。新興国では
昨年、盤石だったタイでホンダに
首位逆転を許した。中国ではVM、
日産自動車らに引き離され、未来の
巨大市場インドでも苦戦が続く。
さらに、
(P.028)
新興国市場の伸長で低価格車の比率
が高まり、高級車市場ではドイツ勢の
後塵を拝する。台数が増えても利益が
増えにくい構造になった。
豊田章男社長は、編集長インタビューで、
次のように語っています。
(P.029)
「トヨタはコンマ数%の成長を積み
上げていく段階に入った」
豊田章男社長のインタビューは、下記のブログに
書きました。
私は太陽となり、土となる 2014.06.30
豊田 章男 (とよだ・あきお )氏 [トヨタ自動車社長]

(『日経ビジネス』 2014.06.30号 表紙)
PART1 「世界最強」の幻想
新興国編
「『新興国向けの低価格小型車は今後、
ダイハツにお願いしたい』」(P.030)
こう切り出したのは、トヨタの副社長に
就任したばかりの伊原保守氏です。
現在、「排気量1リットル前後の低価格
小型車の市場は、新興国における主戦場」
(P.030)となっています。
ところが、伊原氏はこう語っています。
「今のトヨタには、新興国向け小型車を
開発する余裕はない。ダイハツとの協業
モデルを世界展開する」(P.030)
トヨタは「未来の巨大市場インド」では
苦戦している現状を端的に表しています。
インドの概況は下記のとおりです。
(P.031)
人口は約12億人、平均年齢は約25歳。
2013年の乗用車販売は255万台で、
日本の半分程度に達し、2020年には
中国、米国に次ぐ3位になる見通し。
若く、巨大な潜在力を秘めるこの有望
市場で、トヨタは完全に出遅れた。
下図をご覧ください。少々見づらいかも
しれません。
各国の円グラフで、赤く表示されている
のは、トヨタ自動車(ダイハツ含む)の
乗用車シェアです。
巨大な2市場(中国、インド)でわずか
5.7%しかシェアがないことが分かります。

(『日経ビジネス』 2014.06.30号 PP.032-33)
なぜ、インド市場でトヨタはシェアを伸ばせ
ないのでしょうか?
それは労働争議に巻き込まれているからです。
(P.032)
今のインドの状況は1950~60年代の
労働争議が盛んだった日本に近いと
言われる。労使で協力して会社を
成長させる意識は少なく、どの企業も
多かれ少なかれ労務問題に悩まされて
いる。
トヨタにとって、労働争議が深刻化
した衝撃はとりわけ大きかった。
日々、問題解決を繰り返して生産性を
極める。
その根幹である人づくりが、インドで
うまくいかなかったことを示すからだ。
ただ、トヨタは、インドを「市場」として
だけ見ているわけではありません。
(P.033)
インドは市場としてだけでなく、
「(輸出も視野に)生産拠点としての
存在感が確実に増す」と
石井(TKM社長=トヨタ・キルコスカ・
モーター)は見る。ここで立て直せ
なければ、トヨタの将来に大きな
ダメージを与えかねない。
現状を見る限り、前途多難と言わざるを
得ません。
(P.033)
現在のシェアは5.7%。トップのVW
(18.6%)との差は大きい。
米国編
米国においても、トヨタに逆風が
吹いています。
日本で好調なハイブリッド車(HV)が、
米国で脇役に追いやられる事態に直面
しています。
(P.034)
2001年以降、環境に優しいHVなら
1人乗りでの走行が許可された。
ここ(カリフォルニア州のシリコン
バレーとその周辺地域)では長い間、
プリウスが主役として君臨していた。
しかし、同州は排ガスがゼロではない
などの理由から、2011年以降に販売
されたHVには通行証を発行しない方針
に転換した。
プリウスに代わる車両は何なのでしょうか?
もうお分かりですね? 電気自動車(EV)です。
(P.034)
EVの圧勝だった。リーフ(日産自動車)
が64台、モデルS(米テスラ・モーターズ)
が28台、プリウスは37台だった。
プリウスはコンセントから充電できるPHV
(プラグインハイブリッド車)とHVを
合わせた台数だ。
(6月上旬の午後5時半から午後6時半の帰宅
ラッシュ時に、歩道橋の上からカープール
レーン でのエコカーの走行台数の調査結果)
今後どうなるのか、が気になるところです。
(P.034)
これからますますテスラなどのEVがHVに
取って代わるという見立ての根拠は、
排ガス規制の強化にもある。
カリフォルニア州は自動車会社に販売台数
の一定割合以上を排ガスゼロ車(ZEV)に
する規制をかけている。達成できなければ、
他社から「排出権」を購入しなければ
ならない。
高速道路はEVが主流であることは分かりました。
では、市街地での主流は何なのでしょうか?
グーグルの自動運転車については、あなたも
ご存知ですね?
(P.035)
シリコンバレーの高速道路で注目されている
のがテスラなどのEVとすれば、市街地で人目
を引いていたのがグーグルの自動運転車だ。
グーグルはボタンを押すだけで安全に目的地へ
到達する自動運転車で事故ゼロを目指している。
実現すれば、運転者の存在を中心に考える
トヨタがなし得なかった画期的なイノベーション
になる。クルマのあり方を根底から覆す可能性を
秘める。
問題は、EVの増加が米国だけのことなのか、
ということです。
豊田章男社長は、北米事業を率いる、
専務役員のジム・レンツに「50年先までを
考えてくれ」と伝えました。
「トヨタベンチャーズ」という「『トヨタを超える
ための新しい開発』」と銘打ったプロジェクトを
始めることが分かった」(P.035)そうです。
次のような具体的な計画があるそうです。
(P.035)
シリコンバレーを皮切りに、
トヨタベンチャーズの取り組みを
各地で実施する。
それらの集大成として、全く新しい概念の
クルマを作り上げる。
2020年の東京五輪でデビューさせ、
世界に発信する計画だ。
米国市場は、ジム・レンツの双肩にかかっている、
といっても過言ではないようです。
日経ビジネスはこのようにまとめています。
(P.035)
未来に迫る危機を乗り越えるためには、
これまで成功してきた「トヨタ式」を
一度壊して、新しいモデルを作り上げる
覚悟が必要だ、
改革には、スクラップ&ビルドが必要なのですね。
次回は、「PART2 トヨタ式をぶっ壊す」他を
お伝えします。
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