2014.06.02
エレン・クルマン (Ellen Kullman)氏
[デュポン会長兼CEO(最高経営責任者)]
地球では人口が増え続けています。2011年に
70億人に達し、2050年までに90億人に膨れ
上がると予想されています。人口が増えれば
様々なストレスがかかります。
まず増え続ける人口にどう食糧を供給するか。
輸送手段も必要です。それにはより多くの
エネルギー消費されるでしょう。
安全への要求も高まります。
メガトレンドを基にデュポンの方向性を明確
にする。それによって、多くの従業員が目的
意識を持ち、プライドを持てるようになる
わけです。
私たちが中核としているのは農業、栄養、
インダストリアルバイオサイエンス、最先端素材
などです。
そこで必要なのはまずイノベーションです。
もう一つ大きいのがグルーバルリーチでしょうか。
もし素晴らしい技術や製品があってもそれが
なければお客様に届けられません。
デュポンには世界各地に拠点があり、ネット
ワークがあります。
重要なのは、「戦略」「実行」「人材」という
3つのプロセスです。
最も大切なのが人材です。適切な人を適切な
仕事に配置することが何よりも重要です。
必要な人材の採用、能力開発、それから社内に
どんな人材がいるかを注意して見ています。
取締役会では、50~75%ぐらいの時間を割いて
戦略について議論しています。残りはその実行、
業績、ポートフォリオなどです。
重要なのは俊敏さ柔軟さです。私とCFO
(最高財務責任者)は各事業部のトップと
少なくとも四半期に1回はミーティングをします。
イノベーションはデュポンの骨格をなすものです。
それは会社創設から綿々と受け継がれているん
ですね。文化と言っていいかもしれない。
2009年、私はCEOの職に就任した当時、
経済状況は非常に悪かった。
そこでアルフレッド・デュポン(1902年会社が
危機に瀕した時、デュポン家の3人のいとこが
会社を買収。そのうちの1人で科学者 注:藤巻隆)
のことをいろいろ勉強したわけです。
最近は中国が注目されていますが、それは製造の
方が大きい。イノベーションという点ではやはり、
日本を重視しています。
日本で培ったイノベーションを活用して、世界で
売り上げを伸ばしていきたいと思います。

(『日経ビジネス』 2014.06.02号 P.044)
デュポンの特徴は、100年先まで考える
コーポレート・カルチャーがあることと、
イノベーションを変革のツールの中心に
据えていることです。
創業212年の会社は、これから3世紀へ
向けて戦略を練っていきます。
「3年先さえ読めない」という経営者が
数多くいる中で、特異な存在と言えます。
超長期的な視野で将来を見据える姿勢は、
足元(短期)と将来(長期)を見比べ、
方向性とズレが出れば、アジリティ
(俊敏さ)を持って、修正し、実践して
いくのでしょう。
日本企業が、デュポンに対抗することは
容易なことではありません。
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