いよいよW杯ブラジル大会が開幕間近となりました。
過去、2試合の強化試合(コスタリカ戦、ザンビア戦)
で、日本はそれぞれ3-1、4-3で連勝しました。
昨日のゲームを振り返ってみましょう。
ゲーム終了後、facebookで投稿した文を、加筆修正
して掲載します。
―― ここから ――
4-3で日本の勝利
W杯ブラジル大会直前 強化試合
日本 対 ザンビア
アメリカ・タンパ レイモンド・ジェームズ
スタジアム
現地時間 2014.06.06 20:00
日本時間 2014.06.07 08:00
テレビ朝日
ザンビアは今大会は未出場。FIFAランキング76位。
日本は46位(前回47位)(FIFA 2014.06.05発表)。
柿谷がワントップ。
大久保はベンチスタート。
柿谷
香川 本田 岡崎
遠藤 山口螢
長友 吉田 今野 内田
西川
ビュメール・ザンビア監督は、「このゲームは
親善試合ではない。アフリカ・フェデレーションズ
カップに向けて大切な試合だ」と語った。
前半9分、右サイドからのクロスから、ゴール前
に寄せていたナンバー11にループシュートを
決められる。
「組織だっているね~」
と、解説の松木さんは思わずこぼす。
コスタリカ戦同様、先取点を奪われる。
「ザッケローニ監督は、柿谷の位置取りを
気にしている」
とレポーターが伝える。
前半15分、左サイトから長友がシュート。
GKがはじく。
日本のCK。チャンスを作れず。
前半17分、ペナルティエリア内で岡崎とGK
がせった。岡崎が左の目の上から出血。
GKの頭が岡崎の頭に直撃。
GKは倒れたまま。時間をかけるという
マリーシアか?
GKのグローブに血がついていたため、交換
している。このあたりもマリーシア?
日本を相当研究しているのが感じられる。
「技術の高い日本と戦えるのが嬉しい」
とビュメール・ザンビア監督は語ったという。
前半29分、ザンビアの右CK。ショートコーナー
からゴール前にあげる。フリーになった選手が、
ミドルシュート。2点目。日本0-2ザンビア。
日本のDF陣の対応が遅れた。
日本はまだシュート1本だけ。
山口が右足を踏まれる。
フリーキックを得たが、シュートに至らず。
ザンビアはサイドチェンジが多い。
「日本は連動したプレーが少ない」
と松木さん。
34分、遠藤がミドルシュート。クロスバーの
上を超える。
日本は全体的に動きが鈍い感じがする。
ここまで日本のシュートは2本。少なすぎる。
前半38分、香川の右からのクロスにザンビアの
選手が、ハンド。
PKを得る。本田はGKと目を合わせない。
本田がゴール右隅に決める。
本田は、PKはゴール中央に蹴ることが多いが、
ゴール隅にキックすることは珍しい。
1点を返す。
得点後、日本選手の動きが良くなった。
気温は29.1℃。湿度63%。ピッチ上はかなり暑い、
と思われる。
アディショナルタイムは3分。5分はあったと
思うが・・・
今日の試合の主審はアメリカ人。
前半終了。日本1-2ザンビア
後半は、前半の問題点をどう修正してくるのか、
がポイント。
後半開始から柿谷に代わって、大久保を投入。
ワントップは大久保か岡崎か?
後半スタート。日本の攻撃に期待。
後半開始。大久保がワントップ。
後半の立ち上がりが重要。
よく云われることだが、前後半の開始5分、
終了5分に失点しやすい。
言い換えれば得点しやすい、ということだ。
後半7分、ザンビアのCK。
危ない。ゴール前でフリーの選手がヘッディング。
ゴール右に外れる。決定的なシーンだった!
後半キックオフ時点で気温は27.8℃、湿度は63%。
「かなり暑い」と松木さん。
森重と大迫が呼ばれる。
後半13分、今野に代わって森重がピッチへ。
続いて、岡崎に代わって大迫がピッチへ。
ワントップは大迫、2列目右サイドに大久保
に変わる。
後半22分、内田に代わって酒井宏樹がピッチへ。
内田はケガからの復帰のため、本大会のために
無理をさせない措置と、酒井宏樹に経験させたい
意図がある。
後半24分、酒井宏樹の右サイドからクロスを
上げたが、大久保は「シュートだろ」と体で表現。
大久保はW杯経験者なので、コーチングが生きる。
後半28分、左サイドから香川がゴール前にクロス。
大久保がゴール前に走り込む。大久保がDFの前に出る。
香川のクロスが、そのままゴールへ吸い込まれる。
2点目。日本2-2ザンビア。
後半は、日本の怒涛の攻撃が見られる。
後半29分、森重の右からクロスをゴール前へ。
本田がゴール前に走り込んでシュート。
日本3点目。本田自身2点目。
日本がついに逆転。
日本3-2ザンビア。
コートジボワール戦に向けて、良いシミュレー
ションになっている。
32分、香川に代わって齋藤学がピッチへ。
後半35分、大久保が後方からのスライディングで
倒される。ゆっくり立ち上がる。大きな声で叫んで
いる。マリーシア? 大久保の本領発揮。
ザンビアは逆転され、プレーが粗くなっている。
勝っている状態で、残り時間を考え、守り勝つことが
重要。それもマリーシアだ。
齋藤学にボールが回らない。ドリブルが見たい。
後半43分ザンビアのミドルシュート。山口螢の足に
当たってコースが変わり、GK西川の頭を超えゴール
に吸い込まれる。3-3の同点。
後半44分遠藤に代わって青山が入りゴール前に
ロングボールを上げる。
ゴール前に大久保が走りこみ、青山からのロングパスが
大久保に見事に渡り、大久保が右足でワントラップ、
左足でシュート。ゴールが決まる。
私個人の感想だが、ワールドクラスのプレーだった。
後方からのロングパスにワントラップの後、素早く
トラップした右足から左足に切り替えてシュートする
ことは高度な技術を要する。
それを、さりげなく行ったことが素晴らしい。
再逆転!
大久保の動きは「アフリカ勢のようだ」と
解説者。
大久保は日本に欠かせない選手だ。
同点で終わるのと、アディショナルタイムを使って
得点したのは、大きな収穫だ。
4-3で日本の勝利。
課題は前半で失点してしまうことと、残り時間の
使い方にある。
前半から集中力を切らさないことが大切。
理想としては90分間、集中力を保つこと。
大久保が代表に入ったことで、日本はさらに進化
した。
齋藤学のプレーが見られなかったことが、
個人的に残念だった。齋藤学の横のドリブルは
効果的と見られているからだ。
通常、ドリブルは縦にするものだが、齋藤学の
ドリブルは横にできる。これは武器になる。
試合終了後のインタビューで、大久保は
「勝ち癖をつけることが大事」
と語った。
本田は
「先に失点したことは、先のゲームで繰り返した
ことで、修正すべき点。
本戦に向けて、ビデオを観て、問題を見つける」
と語った。
コートジボワール戦を前に、全てと言っていいくらい
の場面を見ることができた。大満足!
コートジボワール戦が、待ち遠しい!!
―― ここまで ――
どちらのゲームも先取点を奪われましたが、
逆転勝利を収めました。
主な課題は、
○ 先取点を許さないこと
○ 90分間、集中力を切らさないこと
○ 数多くシュートすること
です。
日本代表の遠藤保仁選手が、
『信頼する力 ―― ジャパン躍進の真実と課題』
(遠藤保仁 角川oneテーマ21 2011年1月10日
初版発行)
を書いています。
この本は、4年前の南アフリカ大会後に、書かれました。
主な内容は、
日本代表とはどのようなものか、
代表に選ばれるとはどういう意味を持つのか、
南アフリカ大会以降、日本人選手の海外移籍が
増えたこと、
ジャパンの課題は何か、
ブラジル大会への意気込みを語る
です。
具体的に見ていくことにしましょう。
遠藤選手は、ドイツ大会、南アフリカ大会、そして
ブラジル大会と3大会連続で代表に選ばれました。
ただし、ドイツ大会ではピッチに立つ機会は一度も
ありませんでした。
本人としては代表に選ばれても、ゲームに出られ
なかったことは残念に思っていますが、間近でW杯
を感じることができた経験は大きい、と語っています。
書かれた時期が南アフリカ大会後ということで、
南アフリカ大会で実感したことが主に書かれています。
南アフリカ大会直前に、コートジボワールと強化試合
を行っています。この時の感想をこう書いています。
(上掲書 P.42)
6月4日、スイスのシオンでコートジボワール戦が
行われた。
この試合は、非常に価値のある試合だった。
コートジボワールは、これまで対戦した中でも
最も強かったチームだったからだ。
攻撃において4トップ気味の戦術を取っていたん
だけれど、エースのドログバ(チェルシー)を
はじめ、前線の選手はそれぞれにフィジカルと
スピードがあり、かつ、連動していた。
守備では最後の一歩というところで必ず出て
くるし、ボールに寄せるスピードは半端じゃない。
0-2というスコアだったけど、手も足も出な
かった。
まるで次元が違った。
逆に言うと、あれだけ好き勝手にやられて、
開き直ることができた。
この敗戦後、南アフリカ大会初戦をカメルーンと
戦うことになります。この経験が生かされること
になりました。
初戦の重要さは誰もが認めるところです。
今大会のコートジボワール戦が重要なことは、
言うまでもありません。
(上掲書 P.57)
初戦のカメルーン戦は言うまでもなく、非常に
重要な試合だった。試合の一週間前は、最低でも
引き分けという声もチーム内にはあったけれど、
直前には誰もが勝つことしか考えていなかった。
南アフリカ大会同様、ブラジル大会も初戦はアフリカ
勢との対戦になります。
しかも、代表メンバーは当時と異なるとはいえ、一度
負けているので、何としてもお返ししなくてはいけ
ません。
コートジボワールには、南アフリカ大会に次いで、
エースのドログバが出場します。
日本にとって、最も危険な選手です。
イングランド・プレミアリーグで得点王に輝いたこと
のある選手だからです。
日本は、コスタリカ、ザンビアと2戦続けて先取点を
取られているので、しっかり守って、先取点を取りに
いかないといけません。
日本の攻撃陣は前回大会より技術の高い、多彩な
メンバーが選ばれました。きっとやってくれる、
と確信しています。
ワールドカップについて、遠藤選手はこう断言して
います。他の大会とはまったく違うと。
(上掲書 以下同様 P.71)
ワールドカップは、やりたいことだけやって
勝てるほど甘くない。
ワールドカップは、結果だけが求められる
大会だ。
遠藤選手は、ドイツ大会、南アフリカ大会、ブラジル
大会と3大会連続で代表に選出されました。
ところが、ドイツ大会では「1試合も、1分も出場
できなかった」(P.92)のです。
ワールドカップの雰囲気だけを感じることができた
のです。相当、悔しさを心に刻んだことでしょう。
南アフリカ大会ではスターティングイレブンに名を
連ね、プレーしました。その経験はとても重要だと
思います。
南アフリカ大会に出場し、別の意味の悔しさを味わい
ました。
(P.101)
パラグアイ戦に敗れた後、涙が止まらなかった
ピッチで泣いたのは、初めてだった。
ハッキリとは分からないけれど、きっと
ワールドカップに至るまでに起きたいろんな
出来事やワールドカップに対する気持ちとか、
そういったいろんな思いが頭の中を巡り、
感極まってしまったのかなと思う。
決勝トーナメントに進出した日本は、パラグアイ
戦では、PK戦になり負けたのです。
南アフリカ大会では、日本はグループリーグを
突破し、決勝トーナメントへ進みました。
しかし、ベスト16まででした。
もちろん、その結果自体は素晴らしいことです。
今までの日本代表(サムライブルー)において、
という条件では確かにそうです。
でも、サムライブルーはベスト16は当たり前に
ならないといけないのです。
この点について、遠藤選手は1勝の難しさを語って
います。
(PP.129-130)
決勝トーナメントはグループリーグとは違う、
まったく別のワールドカップだったと言って
いい。
いわゆる「ここからがワールドカップ本番だ」
というのを、強く感じた。
グループリーグは3戦します。全勝する必要はあり
ません。1勝1分け以上であれば、2位以上で通過
できます。
一方、決勝トーナメントは一発勝負です。
負ければそれでお終いです。
(P.129)
グループリーグ突破は当初、かなり大変かな
と思ったけれど、カメルーンに勝ったことで
「いける」と思えた。やはり、初戦の勝利が
すごく大きかった。2戦目のオランダ戦は
「最悪、負けても」という気持ちで戦えたし、
失点も最小失点で抑えることができた。
その結果、デンマーク戦は引き分け以上でOK
という条件となり、メンタル的に少し余裕を
持って試合に臨むことができた。
そして、新たな決意表明をしています。
(P.130)
2014年のブラジル大会では、ベスト16
の壁を破り、新しい歴史を作りたいと思う。
遠藤選手は、ワールドカップを戦って実感した
ことをまとめています。
(PP.131-133)
ワールドカップを戦って、日本に必要だと
思うことは、いくつかあった。
一番感じたのは、個の力だ。
ただ、個の能力を伸ばすのは、簡単ではない。
今の日本の若い選手には、成り上がろうという
意欲があまり感じられない。そういった野心を
持っている選手自体、少ないように思う。
サッカーにおいて、ハングリーさというのは
とても重要だと思う。
メンタル的に、ハングリーになれということだ。
やはり、日本を出て、海外のチームに身を置く
しかないだろう。
欧州でサッカーをしていると嫌でも世界を意識
させられる。
これらの指摘は、サッカーに限らず、あらゆる組織に
当てはまることではないでしょうか?
「井の中の蛙大海を知らず」や「茹でガエル」のこと
です。「リスクを負う」と言い換えてもよいでしょう。
さらに、遠藤選手はもっと上を目指さないといけない、
と語っています。これは出版サれた時期(2011年1月)
よりも、ずっと強く感じていることでしょう。
私も同感です。
(P.140)
日本は、これから「ベスト16」が普通にならないと
いけない。
そうなれば、世界基準で冷静な眼で評価してもらえる
だろうし、世界における日本の評価も高くなる。
次の指摘は、実際にワールドカップレベルの選手
たちと戦った人だからこそ、言えることです。
(PP.143-144)
ワールドカップが終わって、日本でプレー
すると、いろいろ考えさせられた。
世界との違いを感じたのは、ペナルティ
ボックス内の厳しさだ。
ワールドカップレベルでは、このボックス内
でのミスは致命的になる。ちょっとミスした
だけで、ガツンと身体を当てられてボールを
奪われる。それゆえ、ファーストタッチの
繊細さ、精度が求められる。
(P.147)
ワールドカップに出て来る強豪国は、
「なんとなく」では通用しない。
全部、全力で行かないと、とてもじゃないが
ボールは奪えない。この意識の差を詰めて
いかないと、日本のレベルは上がらないし、
世界で勝てるようにはならない。
そのためには、やっぱり、Jリーグ全体の
レベルを上げていく必要がある。
特に重要なのは指導者の質だ。
日本の課題で、今も解決していないことは、
ストライカーがいないということです。
これは長年云われ続けてきたことです。
(P.157)
日本には、中盤に良い選手がたくさんいる
けれど、残念ながら今もストライカーは
不在のままだ。このままでは、ブラジル大会
でベスト16以上の結果を残すのは、なかなか
厳しい。
この点で、大久保嘉人選手が日本代表に選出された
ことで、大いに期待できます。
大久保選手はマリーシアを持っている、ストライカー
であるからです。
遠藤選手は、最後にこう書いています。
ブラジルに対して懐かしさを感じているそうです。
(PP.214-215)
ブラジルは、俺が高校三年の春、サッカー留学
した思い出の国だ。
留学先はサンパウロにある三部の小さなクラブ
だったけれど、ハングリーさとか、厳しさを
教えてくれた。みんながライバルで、みんなが
サッカーで生きていくために必死だった。
ブラジルは、ある意味、プロ意識を最初に学んだ
自分の原点でもある。
いかがでしたか?
かなり厳しいことを述べていますが、それは遠藤選手が
今でもワールドカップレベルの一流選手になりたい、
という気持ちを持ち続けているからです。
最後に、私なりにワールドカップにおける重要な点を
まとめてみました。
強化試合や親善試合の場合、選手交代は6人まで認め
られます。より多くの選手に経験を積ませるという
意味があります。
ところが、本大会では交代は3人までしか認められません。
選手交代のタイミングと、誰に代えて誰にするか、
ということが試合の鍵を握っている、と考えています。
その点で、ザッケローニ監督は、経験豊富な監督なので、
最良の選択をする、と信じています。
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