サムライブルーに必要なマリーシアとは?(1) | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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サムライブルーに必要なマリーシアとは?(1)


W杯ブラジル大会開催まで2週間を切りました。


プレーの上手さや、スーパーゴールシーンを見たり、
あるいは勝敗も気になりますね。


ですが、こんな視点から世界のサッカーを観ると、
新たな局面が開かれるといういう、「マリーシア」
についてご紹介したい、と思います。



マリーシアとは?

マリーシアという言葉を聞いたことはありますか?


これからご紹介する本の中に、詳細に書いてあります。

『マリーシア <駆け引き>が日本のサッカー
 を強くする』
(戸塚啓 光文社新書 2009年
 1月20日初版1刷発行)


今から5年以上前に出版された本ですから、
日本がその間に「進化」したのかどうか、
が検証できます。


タイトルから推測できるように、一言で言えば、
<駆け引き>ですが、意味が広く、内容はかなり深い
ものです。


日本のサッカーには「マリーシア」が足りない、
と言われてきたそうですが、ではどのように
「マリーシア」を身につけるか、というのが
この本の趣旨です。



日本時間で今朝、アメリカで強化試合が行われました。
対戦相手は、今大会グループDのコスタリカです。


FIFAランキングは34位で、日本の47位より上位ですが、
力の差はほとんどない、と考えていいと思います。


日本は、前半、コスタリカに先取点を許しましたが、
後半、遠藤、香川、柿谷が得点し、3-1で勝ちました。


勝利もさることながら、内容のあるゲームだった、
と感じました。


試合終了後、早速、Facebookに投稿しました。
投稿した内容は、下記のとおりです(一部修正)。


―― ここから ――

3-1で日本の勝利

W杯ブラジル大会直前 強化試合
日本 対 コスタリカ

アメリカ・タンパ レイモンド・ジェームズ
スタジアム

現地時間 2014.06.02 22:00
日本時間 2014.06.03 10:00

NHK総合

コスタリカは今大会出場国で、FIFAランキング34位。
日本は47位なので、ランキングでは、ほとんど同じ、
と考えて良い。

大久保、大迫、今野がスターティングイレブンに名を
連ねた。

長友はベンチスタート。


スターティングイレブン

川島

内田、吉田、森重、今野

山口螢、青山、 

香川、本田、大久保

大迫


キャプテンマークは本田が付けた。

前半11分、右サイドからのクロスにゴール前に
詰めた
大迫がフリーでヘディングシュート。
ゴールバーの上を超える。決定的なシーン
だった。

前半14分、香川がシュート。ゴール左に
外れる。

ゲームにあまり出ていない選手、調子の上がって
いない選手にチャンスを与える、というのが
ザッケローニ監督の意図。チーム全体の調子を
引き上げることが大事だからだ。

24分、大久保が左足でシュート。惜しくもGKに
弾かれる。体のキレがある。

2010年南アフリカ大会で、大久保は左サイドを
経験済みなので、ポジション的には問題ない。

34分、コスタリカが先取点。10番ルイスが得点。

コスタリカ10番、ルイスが上手い。今野が
イエローカード。

40分、香川がシュート。GKが好セーブ。

危ないシーンの連続。

前半アディショナルタイムは1分。

前半終了。


後半から大久保に代わって岡崎、青山に
代わって遠藤が出場。

後半2分、岡崎が右からクロス。こぼれ球を
香川がシュートしたが、GKにかわされる。

後半7分、岡崎がシュート。GKが好セーブ。
GKはスペインリーグNo.1GKだという。

キャンベルとルイスのコンビが素晴らしい。

今野に代わって長友がピッチへ。

15分、本田が右から低いクロス、香川がスルー
し、遠藤が狙いすましたシュート。同点!

後半25分、内田に代わって酒井宏樹が出場。

後半29分、柿谷が大迫に代わって出場。

解説者の福西さんは、「代わって入った選手
とすでに入っていた選手との連携が重要」
と語った。

後半35分、柿谷がゴール前で落とし、香川が
ゴール右にシュート。勝ち越しのゴール。

日本の組織だった攻撃が、素晴らしかった。

長友が入ってから流れが変わった。

コスタリカのキャンベルが「疲れきっているので、
代えてくれ」とベンチに示す。

山口、柿谷、香川の現、元セレッソ大阪トリオ
によるアイデア溢れるパスがあった。

勝利もさることながら、内容のあるゲーム
だった。

香川と長友のコンビがいい。

アディショナルタイムは3分。

残り時間を考え、時間が経つ攻撃を遅くするという、
「マリーシア」が何度も見られた。

岡崎がゴール前で粘り、柿谷がシュート。
3点目。柿谷が結果を出した。

3-1で日本の勝利。

幸先良いスタートを切った!

―― ここまで ――


このゲームに関して、「マリーシア」が何度も
見られました。


Facebookの本文中にも「マリーシア」と書きました。


まず、「マリーシア」とは何か、その定義から
見ていくことにしましょう。


上掲書の著者、戸塚さんは「マリーシア」について
次のように書いています。


 マリーシアとは、「狡猾(こうかつ)さ」だけを

 指し示す言葉ではない。

 マリーシアとは、「柔軟性を持った発想力」である。

 マリーシアとは、「勝つために必要な駆け引き」である。

 そして、マリーシアはブラジル人特有のメンタリティや

 価値観ではなく、フットボーラーなら誰もが身に付ける

 べきスキルである。
 


 (上掲書 P.9)


戸塚さんは、「マリーシア」について深く知るために、
複数のブラジル人選手や監督(当時)にインタビューを
試みています。



マリーシアを語るブラジル人選手たち


インタビューの最初に登場するのは、現在もイタリア
セリエA(アー)のACミランでプレーし、ACミラン
の黄金時代を築いたカカです。


ACミランと云えば、今年初めに本田圭佑がCSKA
(チェスカ)モスクワから移籍した名門チームです。


ここ数年、成績は低迷していて、今シーズンもヨーロッパ
選手権には出場できませんでした。本田の獲得は補強と、
チームに刺激を与える両面を考えてのことです。


日本代表監督のアルベルト・ザッケローニはACミランを
優勝に導いた経験のある監督です。


そのカカはこう語っています。2006年9月初旬のイタリア・
ミラノにおいてです。


 「もっといい意味での“悪さ”を持たないといけない

 と思うんですね。いい意味での悪さというものが、

 まだ足りないような気がします」
 


 (上掲書 P.20)


その一方で、カカはこのようにも語っています。


 「でも、ナカタ(中田英寿 注:藤巻隆 以下、同様)

 はマリッツィア(マリーシア)がありましたよ。彼は

 インターナショナルな選手だからね。イタリアでも

 イングランドでもプレーしていたから。ナカムラ(中村

 俊輔 現・横浜F・マリノス)もそうだね。彼らは

 マリッツィアを持っていますよ」
 


 (上掲書 P.24)



元ブラジル代表でセレソン(別名カナリア軍団とも
呼ばれるブラジル代表)の監督も務めたドゥンガを
ご存知でしょうか?


1995年6月から1998年12月までジュビロ磐田でプレーし、
「闘将」というあだ名がついていました。いつもピッチで
怒りを露わにしていたからです。


Jリーグのゲームが毎週テレビ放映されていた当時、
ドゥンガが叫んでいたシーンをよく見ました。


 日本代表にはマリーシアが足りない、と声高に

 叫んだブラジル人にドゥンガがいる。

 「日本に足りないのはマリーシアだ。サッカーで

 一番必要なことなのに、日本ではこの言葉を

 あまり聞かない。日本人選手には、相手をだます

 ような技術や戦術、心の余裕がない」
 


 (上掲書 P.35)


こんな意見もご紹介しましょう。
「マリーシア」がおぼろげながら理解できるように
なってきます。


 フランサ(当時、柏レイソル)に聞いてみる。

 「相手は早くボールを奪って、早く攻めたいはず

 でしょう? だったらそこで、相手を苛立たせないと。

 相手の状況を見て、相手が嫌がることをする。

 そういうマリーシアが必要だったのではない

 でしょうか」
 


 (上掲書 P.79)


ピッチでプレーするのは選手です。基本的な戦略や
戦術は監督の指示を聞くにしても、ピッチ上で実際
にプレーするのは選手ですから、監督の支持に従って
いるだけでは、相手から「怖い」と思われません。


「選手自身が考える、というのはマリーシアを実践
するうえで大切なキーワードだ」(上掲書 P.81)
ということになります。


あと2人に「マリーシア」について語ってもらい
ましょう。

1人目は、シャムスカ(当時・大分トリニータ監督)
です。


 選手自身の判断で試合を運んでいくベきなのです。

 ベンチからの指示を待つ必要はありません。
 


 (上掲書 P.126)


2人目は、鹿島アントラーズでプレーした、
元ブラジル代表のレオナルドです。華麗な個人技と
甘いマスクのプレーヤーとして人気がありました。


彼の得点シーンをよく覚えています。


ボールを受けて、左足でボールリフティングしながら
移動し、DFをあっという間に振り切った後、GKの位置
を素早く見てシュートしたボールは、ゴールに吸い
込まれました。


今で言う「スーパーゴール」、当時は「ビューティフル
ゴール」でしたね。


 「たとえば、プレーの流れを切る、ボールをキープ

 するといったことは、相手チームが生み出そうとして

 いるリズムを壊すうえでは有効な手段となるだろう」

 


 (上掲書 P.127)


マリーシアを使わないと、世界のサッカーでは勝てない
のです。


次の言葉が、そのことを物語っています。


 フル代表の国際試合とは、「相手の良さを殺し合う」

 ものである。自分たちの能力を最大限に発揮するのは

 もちろん大切だが、重要なのは「自分たちの良さ=長所」

 を消されたなかでのフレキシブルな対応だ。自分たちの

 やりたいことをやっていれば、そのまま勝利がついてくる

 チームなど、世界に数えるほどしかないのだ。
 


 (上掲書 P.129)


サッカーは確かにフィジカルなスポーツです。
しかし、フィジカルが強いだけでは勝てません。


「マリーシア」を理解し、実践するメンタルな
スポーツでもあるのです。


フィジカルが強いだけでは、国際試合では勝て
ない実例として、韓国があります。


フィジカルの面から見ると、韓国のほうが日本
よりタフです。


ところがどうでしょう? 一昔前は、圧倒的に
強かった韓国が、日本に勝てなくなりました。



「マリーシア」について少し、理解出来ましたか?



次回は、

「マリーシア」を説明する日本でプレーするブラジル人
選手たちと、「マリーシア」がある日本人選手はいるのか?

について、取り上げます。


ご期待下さい!




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