2014.03.03
田中 良和(たなか・よしかず)氏
[グリー社長]
思えば、組織の課題にも直面していました。
200人ほどの会社が、突然2000人規模の会社に
なりました。会社の運営方法も変えていかなけ
ればならないのに、追い付いていなかった。
消費者庁が問題視し、社会的にも注目を集めた
「コンプガチャ問題」もそうです。「知る人ぞ
知るグリー」から「多くの人が知るグリー」
になっているのに、どのような立ち居振る舞い
をすべきかがよく分かっていませんでした。
社会に与える影響に対する考え方が未熟だった
んですね。
会社を作った時はミクシィと比べられ、フュー
チャーフォン向けにゲームを作り始めたら、
ディー・エヌ・エー(DeNA)があるから
うまくいかないと言われました。決して
順風満帆な10年間ではありませんでした。
私としては、こうした中でがむしゃらに
頑張ってきたつもりです。
いいものを作るためには人を増やさなければ
ならないという意識があったし、ほかの会社
が10年でやってきたことを5年で成し遂げな
ければならなかった。
すべてが年齢だとは思いませんが、やはり
50~70代で大企業の舵取りをしてきた人たち
から学ばなければと思うようになりました。
5年も10年もかけて自分たちで学んでいる場合
ではありません。とにかく先人に耳を傾ける
ようになりました。
掲げるコーポレートスローガンは「インター
ネットを通じて、世界をより良くする」です。
ネットを通じて世の中を変えられるのであれば、
時代に応じて何でもやりたいというのが自分の
気持ちです。
もしかしたら周囲からは「そんなことうまく
いかない」と言われるかもしれません。
ただ、振り返れば私たちはいつもそう言われ、
そして結果を必ず出してきました。
20年の歴史を持つ会社にしか、たどり着けない
境地があり、起こせないイノベーションがあるん
です。何十年も頑張って初めていいことがあると
思います。
グリーという会社は逆境の中で、常に耐え、
常に新しいものを生み出してきました。
それが私たちの歴史です。
インタビューの中にも出てきましたが、「コンプガチャ
問題」でグリーとDeNAは消費者庁から違法性を指摘
され、サービスの提供を終了しました。
コンプガチャで大きな収益をあげていた各社は、大打撃を
受けました。
「コンプガチャ問題」を振り返ってみましょう。
2012年(平成24年)5月5日、日本の消費者庁が
コンプリートガチャを違法(景品表示法違反)
であるとして、ゲーム会社に注意を喚起する
方針であると報じられた。ガチャはゲーム内
の仮想通貨を使う。仮想通貨の購入にはお金が
必要で、後日、携帯電話の使用料や予め登録した
クレジットカードに請求される後払いの形に
なっている。このため、未成年者が親のお金を
使い込むケースも出てきており、消費者庁に
苦情が多数寄せられている。
5月9日、グリー、DeNAともにソーシャルゲームでの
コンプリートガチャを終了する方針を発表した。
これに追随し、他のプラットフォーム事業者も
コンプリートガチャの新規提供を行わないこと、
既存のものも5月をもって終了する方針を発表した。
コンプガチャ問題後、サービスを提供していた企業の
株価が急落しました。
まもなく2年が経とうとしています。
こうした問題は、新しいゲームやサービスを提供する
場合に起こる傾向があります。1社が始めると、
追随する企業があるため、大きな問題になりやすい、
と言えます。
田中社長の「決して順風満帆な10年間ではありません
でした」という言葉は一切その通りだと思いますが、
そうした逆境の中でも潰されることなくやってきた
自負が感じられました。
コーポレートスローガンの通り、
「インター ネットを通じて、世界をより良くする」
ために頑張ってもらいたい、と思います。
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