2014.01.20
マイケル・ポーター(Michael E. Porter)氏
[米ハーバード大学教授]
2000年に同僚の竹内弘高教授との共著
『Can Japan Compete?』(邦題は『日本の競争戦略』)
を出版し、その中で日本と日本企業の課題を指摘し、
それぞれが再生するための処方箋を提示しました。
まず、あらゆる規制を緩和しなければならないと
(安倍晋三首相に 注:藤巻隆)伝えました。
日本には過剰な規制が残っており、物事が遅々として
進みません。役人の人数も多すぎます。
規制の緩和は長年の課題で、これまで多少の改善は
あったものの、多すぎる規制が企業にとって過大な
重荷であり続けています。
それは国際的な比較研究からも明らかです。
次に指摘したのは、市場を開放して日本を世界、
特にアジアというより大きな市場に組み込むことの
重要性です。そのためにも大切なのが、TPP
(環太平洋経済連携協定)への参加です。
なぜなら日本にとって今後20年の成長機会はアジア
にあるからです。
3番目の課題は、人材の流動化です。日本は労働力
不足という問題に直面しています。それを解消する
ために、女性を積極的に登用し、経営幹部にも抜擢
していくことを早急に進めなければなりません。
また定年退職の法規制を変更し、高齢者が働き続け
られるようにすることも必要です。
最初に就職した会社で定年まで働き続けるという
慣習も改めなければなりません。転職が容易でない
ため、企業は経験の豊富な人を中途採用することが
難しい。
中国企業が米国企業から出資を得ることができる
のは、資金の受け入れに積極的なことに加えて、
英語でスムーズにコミュニケーションを交わすこと
も大きな理由だと思います。
適正なコストでエネルギーを手に入れられないこと
は、日本企業が海外の企業と競争するうえで大きな
ハンディです。
繰り返しになりますが、政府による様々な規制を
取り除くことが必要です。日本の官庁は依然として
多くの規制を作り、補助金をばらまこうとしている。
その弊害は大きい。
安倍首相にも進言しましたよ。官庁が英語力の向上
や女性の登用、中途採用などで先行して範を示せば、
産業界もそれに続くでしょうと。
公務員の削減や、賃金の20%カットを実施するはずが、
なし崩し的に、約7%カットを2カ月実施しただけでした。
議員定数削減もお題目だけで実行される気配はありません。
痛みを分かち合わず、その一方で、消費税増税は実施する――。
国民は唯々諾々と従うという、いつものパターンの繰り返しです。
ポーター教授は、役人についてはこのようにも、指摘しています。
「官庁の仕組みを変えることです。現在は官庁に入ったら定年
まで勤められますが、これには大きな弊害があります。政治任用
によって、官庁の幹部が定期的に入れ替わる仕組みに変える。
また英語に堪能であることを、職員の採用条件にする。さらに
館長は率先して女性職員の採用や中途採用を進めるべきです」。
ポーター教授の指摘はごもっともですが、実施しようとすると、
官僚たちの猛烈な反対に遭い、頓挫することが目に見えています。
半世紀たっても変わらない気がします。
官僚の反対をものともせずに断行できる、強烈なリーダーシップが
不可欠です。
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