2014.01.13
稲盛 和夫氏 × 柳井 正氏
柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長(以下、柳井)
現在、中国でファーストリテイリングの
仕事に従事する労働者は100万人を超えて
います。数万人入る工場には、最新の
ミシンがずらっと並んでいます。人件費
は年々上がっていますが、彼らは自分で
中国内陸や周辺国を開拓し、生産地を
拡大しています。
中国の会社になるなら、中国の国民の
生活を向上させるために働きなさい。
こう話して社内公用語も中国語にしま
した。中国の国民に奉仕するのだから、
中国語で話すのは当然のことでしょう。
稲盛和夫・京セラ名誉会長(以下、稲盛)
中国の政治リーダーは最近、日中の
歴史を曲げてプロパガンダしています。
ですが、私の知る限り、中堅企業の
経営者は全くそれに左右されていません。
中国では企業内にもたくさんの不正が
あります。特に購買部の課長クラスに
なると、業者が賄賂を持ってくる。
これを役得だと考えて、社員の家族も
喜んでしまう。まだ倫理観が低いのです。
柳井
最近は中国の役人もすごく優秀です。
昔の中央部の役人のイメージはなく、
みなさん若く、希望を持っている。
そういう人と一緒に挑戦すれば、
日本企業の将来は明るいと思います。
柳井
そもそも外国人とビジネスする場合、
相手がどんな人か知り、その人を
信頼しないと商談は進みません。
一方で日本は、会社という看板を
隠れ蓑にして、なかなか個人が表に
出てこない。だから重要な経営判断
を下す場合でも、責任の所在が曖昧
になってしまう。かつての日本航空
も、それが原因で破綻したと思います。
稲盛
最初の頃は、破綻したのも自分の
せいだと思わず、前の経営者が
チョンボをやったからだとか、政府
や役人が干渉したからこうなった
とか、みんな他人のせいにばかり
していました。
そこで私は、「今度は我々で立て直さ
なきゃいけません」とい言い続け
ました。
柳井
僕はよく、こんなことを社員に言って
います。「おまえたちは自分の能力を
全然発揮していない。人間は普通、
自分の能力の3%しか使っていなくて、
残る97%の能力は眠っている。眠って
いる能力を覚ませ」と。
能力を覚醒させて本気で仕事に取り
組めば、分からないことや課題が
見えるはずです。課題さえ分かれば、
そのほとんどは解決できるものです
から、人は何倍も成長できる。
まずは課題意識を持つことです。
チームの先頭に立ってビジョンを示し、
問題があったら真っ先に飛び込む。
経営者がまず変わるべきです。
日経ビジネスは1969年の創刊から今年で45年になります。
今号から新創刊となり、誌面一新されただけでなく、
ページ数は大幅に減りました。
ところが、内容は凝縮され、筋肉質の体型に
変わった印象があります。
新春対談として、稲盛さんと柳井さんという
二人の偉大な創業者が、日本の現状を一刀両断に
切り込んでいます。
多くの日本人にとって、耳の痛い話が出てきますが、
真摯に耳を傾け、一人ひとりが現状に満足することなく、
日々努力し、成長していく気概を持つことが大切だ、
と強く思いました。
柳井さんの「経営者がまず変わるべきです」という
言葉が特に印象に残りました。
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